やはりトランプ前大統領が『鍵』 投票迫る「アメリカ中間選挙」“異常インフレ”でバイデン大統領・民主党に逆風 共和党・注目はジョージア&ペンシルベニア州 特派員&専門家が解説 2022年11月08日
日本時間の11月8日夜に投票が始まる、アメリカの中間選挙。
政権の通信簿とも言われていますが、バイデン大統領率いる民主党は劣勢が伝えられています。
今回、最大の争点となっているのが、記録的な「インフレ」。不満はバイデン政権へと向けられ、支持率は過去1年以上「支持しない」が「支持する」を大きく上回っている状態です。
そんな中、影の主役として存在感を示しているのが、2020年の大統領選で再選を果たせずホワイトハウスを去った共和党・トランプ前大統領です。
自身が推薦した共和党の「トランプ派」候補の元へ応援に駆け付け、「インフレはバイデン政権がもたらしたもの」と主張。トランプ前大統領の支持者からも「経済の悪化はバイデン政権のせいだ」という声が聞かれました。
前大統領が異例の存在感を示す今回の中間選挙。トランプ旋風が再び吹き荒れるのでしょうか。ロサンゼルス支局の水本翔記者が最新情勢を解説します。
【水本記者】
「上院は100議席あり、現在は、共和党と民主党で50議席ずつです。およそ3分の1が改選となるのですが、過半数を争う接戦となる見通しです。下院は、現在、民主党が過半数を超えているのですが、全ての議席が改選され、野党の共和党が過半数を獲得することになりそうな情勢です。こうなると、バイデン大統領がやりたい法案などが議会で通りにくくなりますので、この先2年間、厳しい政権運営になることが予想されます」
――Q:与党の民主党が劣勢になっている要因はインフレということですが、そちらで生活していても、その実感はありますか?
「この1年で食料品は10%、家庭のエネルギー関連の費用は20%値上がり。市民の生活は苦しく、その矛先がバイデン政権に向かっています。バイデン大統領への風当たりは強く、今回の中間選挙に出馬している民主党の候補者からは、『票が減るからバイデン大統領には応援に来てほしくない』という声も聞こえました」
――Q:トランプ前大統領の影響力というのはどれくらい感じますか?
「かなり感じます。トランプ前大統領は、自分が支持をする多くの候補者をかなり送り込んでいて、今でも大きな影響力を持っています。応援演説でもその人気は絶大で、実際に共和党の支持者に話を聞くと、『次の大統領はトランプさんに戻ってきてほしい』という人が本当に多いです。強いリーダーシップやアメリカファーストで、経済を取り戻してほしいという声が多いです」
――Q:トランプ前大統領の再登板を望む声が強いということですが、2年後の大統領選に、出馬する可能性はありそうですか?
「これまでにも『私はもう一度やる可能性が非常に高い』と出馬を示唆するような発言をしています。さらに8日午後、激戦州のオハイオ州で演説を行い、『今月15日に重大な発表を行う』と発言しました。15日に正式に出馬を発表する可能性があります」
大統領選の出馬表明をするとみられるトランプ前大統領。みずほリサーチ&テクノロジーズの安井明彦首席エコノミストは、その命運を握るのが、ジョージア州とペンシルバニア州だと言います。
トランプ前大統領が“推し”の候補を立てていて、勝てば求心力が上がりますが、負ければ「トランプ批判」に転じる可能性があるということです。
ジョージア州は、元NFLスター選手のハーシェル・ウォーカー候補です。トランプ前大統領と同じく中絶反対を主張していますが、以前、交際相手に中絶を強要していた疑惑が浮上しました。また、家族への暴力などで、息子からSNSで激烈な批判をされています。
ペンシルベニア州は、医師でテレビ司会者のメーメット・オズ候補です。人気健康番組に長年出演していて知名度は高いのですが、政治経験がないということで、大丈夫なのかという声もあります。
いずれもトランプ前大統領が推している候補で、2人がもし負ければ、大統領選に出たとしても、共和党の中で対抗馬が立つなど風向きが変わる可能性があるということです。
日本にもさまざまな影響が及ぶと考えられる中間選挙。下院の大勢は、日本時間の9日夜に判明する見込みです。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月8日放送)