「電気料金値上げ」「物価高」など値上げに苦しむ現場 29兆円を超える経済政策 効果はどれほどに 一方で家計に嬉しい"値下げ"をする精肉店も 2022年10月28日
兵庫県西宮市に住む、加藤武史さん。
小学生から高校生までの4人の子供と妻の6人家族です。
市内で樹脂製品を製造する町工場を経営していて、家庭でも職場でも値上げの影響を日々痛感しています。
【安藤製作所 加藤武史社長】
「食材とか調味料もそうだけど、値上がっているからどっか安いところに買いに行ったりする努力は(妻から)聞いている。食べ盛りの子供ばかりなので、僕もだけど、おいしいものを食べさせてあげたいから」
こうした家計を直撃している物価高などに対応するため、政府はまもなく新たな総合経済対策を閣議決定します。
その内容は29兆円を超える規模で、家庭や企業の電気料金の負担を2割程度抑えることや、ガス代やガソリン代などの値上げに対応する負担分を支援。
早ければ来年1月から一世帯あたり約4万5000円の負担が軽減されます。
例えば、標準的な家庭で、電気代はひと月およそ1800円、ガス代はおよそ900円、負担が軽減されます。
ガソリン価格は、これまでの負担軽減を継続し、現在の価格に照らし合わせると1Lあたりおよそ40円補助されます。
さらに、出産、子育てのために10万円相当を支援する案も盛り込まれる見通しです。
【街の人】
「ありがたいです、もう少しほしいけどね。主人と私国民年金2カ月に1回6万6000円、光熱費とか生活費足りない」
【街の人】
「月ごとに(請求の)金額来るじゃないですか、一気に上がってきたんで、「はぁ」みたいな…。すぐにでも実行してほしい。来年となるとなかなか。急に上がったので、何とも言えないですけど、なるべく早くしてほしい」
増えた経費の1つが、電気代です。
電気をよく使う機械も多く、今年4月の電気代はおよそ39万円でした。
蛍光灯に比べて電気代のかからない水銀灯も利用し、5月には契約する電力会社も変えましたがその後も、電気料金は上がり7月には、49万円を越えました。
さらに…この1年間で、扱うおよそ20種類の材料は全てが値上がりし、中には、仕入れ値が2倍になったものもあるといいます。
【安藤製作所 加藤武史社長】
「材料の値上げの(通知が)各社色々来るんですけど。最初、5、60円上がるっていう話なんですけど、最後は1000円近く上がりました。『1回、値上がり分なんとかそっちで飲んで(負担して)よ』って言うお客さんもいるし、『その代わり、2回目上がったとき2回分上げますよ』ってそういう交渉になってきている。今後どうするのって言ったら『お客さんからすんませんけど材料支給(用意)して下さい』っていうのが最後かなっていつも思う」
また人手不足の中で従業員を確保するには、給料の引き上げも避けられないのです。
とは言え、大手企業の取引先に部品の値上がり分を負担してもらおうにも、1年単位で契約している場合も多く価格を見直せるのは年1回。すぐに上乗せすることは難しいといいます。
東京商工リサーチによると近畿の中小企業406社のうち、原油・原材料の価格上昇分を取引先などに全て負担してもらえたのは、わずか6.65%にとどまっていました。
【安藤製作所 加藤武史社長】
「よく景気対策をしたというが大手向け。僕らに還元されたかというとなかなか感じないのが実情なんで。大手が僕らに還元する、だから大手に補助する、そういうシステムにしていただいたら僕らも助かる」
物価高で苦しむ中、こんな朗報も…
大阪・天王寺の「肉・まんのや」では、カルビやロースなどが入った焼肉用の肉が、100グラム690円から670円に…
炒めものや鍋にも使える万能な国産豚の薄切りが、100グラム88円から80円に…
さらにちょっとお腹がすいたときに食べたいミンチカツも230円から220円に値下げされます。
【萬野屋・大塚伸介常務取締役】
「世の中暗い話題ばかりで物価高や値上げって話ばかりでしょ。何か出来ないかってことで社内で色々と検討した結果、全品値下げをしてお客様の家計を応援という形で…。安くなった分、その分量をたくさん買ってください、たくさん食べてください」
賃金は上がらず、物価だけが高騰し、生活が苦しくなることしの冬をどう乗りきるのか?
政府はいまの臨時国会で経済対策案を成立させ、来年1月からの負担軽減を目指しています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月28日放送)