京都市 建物の"高さ規制"を一部エリアで緩和へ 景観守るために"独自で制限"も背景に「深刻な人口減少」 若い世代に住みやすい街となるか? 市民の意見も募集 2022年10月14日
昔ながらの町屋が並び、その向こうには山々という美しい景観が魅力の京都。
この景観を守るため京都市は2007年から独自に建物の高さを規制してきました。
それから15年が経ったいま。
【京都市 門川大作市長】
「景観政策はしっかりと守っていく、守りつつ、活かしていない伸びしろがあるやないかと。それをしっかりと活かしなさいという答申をいただいた」
■景観守るための独自制限を「緩和」へ
「活かしていない伸びしろ」の活用案が浮上。それが郊外などの一部の地域での高さ規制の緩和です。
エリアはオフィス街や住宅街が中心です。
京都駅南側の烏丸通沿いで、オフィスなどを対象にこれまでの20メートル・25メートルの規制から31メートルの高さまで緩和。
京都の市街地や大阪へのアクセスが良い阪急の西京極駅の周辺では、マンションなどを対象に20メートルから、31メートルに緩和されます。
一方で歴史的な建物が集中する市の中心部はこれまで通りの規制を維持します。
市民に話を聞くと―
【京都市民】「全然いいんじゃないですかね、住みやすくなるのが一番と思うので」
【京都市民】「京都は都会の中の田舎っぽさで売っていくのが本当に大事なことなんじゃないかと。それがまちの品格にかかわってくると思う」
【京都市民】「規制のことばかり言うよりも、自由な考えを持っている人に開発してもらう方がいいんじゃないでしょうかね」
一部に反対の声もあることについて、京都市は―
【京都市・平井忠之都市計画担当部長】
「とんでもない高さのものを認めようというのではなくて、西京極周辺は31メートルまでですし。住みたい・働きたい・学びたい・子育てしたい、そういった皆さんが京都を目指す、選ぶ、そういった街になってほしいと考えています」
■緩和の背景には「深刻な人口減少」
京都市はなぜ高さ規制の緩和を検討しているのか?その理由の一つが深刻な人口減少です。
京都市の人口は去年1年間でおよそ1万9000人減り、全国の市区町村で最も人口が減少した街となりました。
【京都大学大学院 大庭哲治准教授】
「京都の中心部では地価の高騰に伴って、若い世代や子育て世代の住みづらい環境になっている」
そこで中心部から少し離れたエリアに若い世代が住みやすい街を作ろうとしているのです。
繁華街の京都河原町駅から電車でおよそ10分の西京極エリア。高さの規制緩和を提案する専門家と歩いてみると…
ーーQ:このエリアで言うと向かいのマンションの高さぐらいが限界?
【京都大学大学院 大庭哲治准教授】
「その通りですね。5、6階までの中層マンションが高さ規制の限度かなと思っています。」
現在は、高さ20メートルまでのマンションしか立てることがでません。規制を緩和することで、比較的価格が安い住宅を増やし、人口の流出を食い止める狙いです。
【京都大学大学院 大庭哲治准教授】
「あのマンションなんか結構高いですよね。敷地面積はあそこまでないけど、(規制が緩和されたら)高さ的にはあれくらいのものが建つ可能性があるのかなと。このエリアの居住環境が整備されれば若い世代が住みやすいエリアになっていくと思いますし、京都市としての都に活気をもたらすことになると思う」
財政難に苦しむ市は税収が増えることにも期待を寄せています。
【京都市・平井忠之都市計画担当部長】
「働く(世代の)方が増える、住む方が増える。そういったことが最終的な税収にも繋がると思っていますので。目的はいい街をつくるという取りくみが、結果としてそういうことにいい影響を与えてくれるといいなと考えている」
京都市は今月17日から1カ月、市民の意見を募集したうえで、都市計画を固める方針です。