あと2年で切り替え可能? “紙の健康保険証”2024年秋に廃止でマイナンバーカードと一体化へ 近畿トップの普及率・養父市は「出張サービス」で赤ちゃんも取得 メリット・取得方法・個人情報漏えいの恐れについて解説 2022年10月13日
10月13日午前、河野太郎デジタル相は、2024年の秋をめどにいまの健康保険証を“原則廃止”し、マイナンバーカードへの一体化を目指すことを表明しました。近い将来、病院で診察を受ける際には、窓口でマイナンバーカードを提示することになります。
河野デジタル相はこれについて、「医療のIT化と質の向上のために必要な措置」と説明しました。
街の人からは「ややこしくていらん」「便利だとは思うがセキュリティの問題が…」「なくさないからちょうどいい。1枚で済むし」などさまざまな声が聞かれました。
■近畿トップの取得率 養父市の「出張申請サービス」
事実上の、マイナンバーカードの取得義務化ともいえる措置。しかし、10月11日時点の全国民の申請率は、56.2%に留まっています。
そんな中、普及率の高さで注目されている自治体の一つが、兵庫県養父市です。養父市では、10月2日時点で82.9%の市民がマイナンバーの申請を済ませています。一体、なぜなのでしょうか。
10月13日午前10時、養父市の民家を市の職員が訪れました。養父市では、市の職員がマイナンバーカードの申請を希望する人の自宅を訪問し、その場で手続きを進める「出張申請サービス」を行っているのです。
この日サービスを利用したのは、生後1カ月の森本魁ちゃん。布団の上で写真を撮ってもらい、お母さんが書類を書き込む間、職員の腕であやされていました。
――Q:赤ちゃんの申請は多い?
【養父市の担当者】
「多いです。0~9歳までで82%(申請)していただいているので」
「出張申請サービス」であれば、市役所に出向く必要はありません。申請・交付の際に欠かせない本人確認もその場でできる上、カードを後日届けてもらうこともできます。
さらに、マイナポイントの取得までサポートしてもらえます。
【魁ちゃんの母親】
「申請も早く終わったので良かったですし、お家に来てもらえるっていうのが一番かなと思いますね。まだ生まれて1カ月ほどでなかなか外には出られないので、市役所に抱っこして連れて行くのは大変なので」
養父市は今後のデジタル化を見据え、広く市民にマイナンバーカードを普及させ、市民サービスを平等に受けてもらいたいと考えています。
全国にある市の中で一番普及率が高いのは、宮崎県・都城市。養父市は現在全国2位となっています。
ーーQ:2位じゃだめなんですか?
【養父市 市民生活部 市民課 高橋純子課長】
「知名度も上がるかなと思いますし、養父市を知っていただいたり、『養父市ってどんなところだろう』って来ていただけることにつながればいいかなと思っております」
■普及半ばのマイナンバーカード 申請方法・保険証との一体化のメリットは
マイナンバーカードは、2017年3月の8.4%から「マイナポイント」第1弾、第2弾を経て、2022年10月には56.2%まで普及しました。
しかし、まだ国民の約半数が取得しておらず、普及率には自治体間でも大きな差があります。
近畿トップの普及率82.9%を誇る兵庫県養父市は、マイナンバーカード希望者への出張申請や、交付されたカードを職員が自宅に届けるといった努力をしています。
一方、近畿ワーストは、普及率30.6%の和歌山県広川町。町の担当者は「啓発や周知活動が不足していた」とし、「12月1日から来年3月末まで、マイナンバーカードを所持している人を対象に1万円分の商品券を配布することを決めた」と、普及率アップを目指しています。
マイナンバーカードは、基本的に、自宅に郵送されてきている個人番号(マイナンバー)カード交付申請書を使って申請します。郵送、パソコンやスマホによるオンライン、証明写真機、携帯ショップで申請することができます。
申請後は約1カ月で各自治体から交付通知書が届きます。交付通知書、運転免許証などの本人確認書類、通知カードなどの必要書類を持参して、役所の窓口で受け取ります。
マイナンバーカードに一体化される健康保険証を利用すると、さまざまなメリットが受けられます。
・自分の医療情報(処方薬や検診)を専用サイトで確認
・限度額を超えた高額医療費の一時支払いが不要に
・診察券がなくても顔認証でスムーズに受付
・支払った医療費がすべて記録されるため、確定申告の医療費控除が簡単に
紛失時の個人情報漏えいの懸念から、マイナンバーカードの取得をためらう人も多いようです。個人情報保護に詳しい中央大学の石井夏生利教授は「マイナンバーカードを紛失したり個人番号を知られても、個人情報が漏れる仕組みにはなっていない。ただ、数字4ケタの暗証番号を外に見える形で管理するのはやめてほしい」と言います。
マイナンバーカードを紛失しても、個人情報などは盗まれないということですが、暗証番号の取り扱いには注意が必要だということです。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月13日放送)