「毎日ミサイルの中で生活している。世界と温度差を感じる」 ロシアの攻撃にさらされるウクライナの暮らし キーウ在住のボグダンさんに聞く ロシアを挟んだ“隣人”日本への率直な思い 2022年10月12日
日本時間の10月10日、11日と続いた、ロシアによるウクライナへの攻撃。死傷者は、2日間で少なくとも140人に上っています。
緊迫する状況の中、ウクライナの人々は、今どんな生活を強いられているのでしょうか。首都・キーウから現地の様子を発信しつづけているボグダン・パルホメンコさんに、中継で話を聞きます。
――Q:今はどんな状況なのでしょうか?
【ボグダンさん】
「先日の攻撃で緊張感が高まった中で過ごしています。さいわい昨日と今日は、キーウ市内に着弾するような大きな攻撃はありませんでした。ただ警報は鳴っていますし、昨日も防空壕に降りて避難をしていました」
――Q:ここ数カ月は市民生活も少し落ち着き始めていたように思いますが、キーウの皆さんは今回の攻撃をどう受け止めていられますか?
「2月24日に戦争が始まったときと同じくらいの緊張が走りました。一方、戦争慣れしているのか、半分の人はおどおどしていたり自分が何をしたらいいか分からなかったり、防空壕に降りることすら、するべきなのか戸惑っていたようです」
――Q:皆さんがたくましくなられたと受け止めるべきなのか…ボグダンさんは違和感のようなものをお感じですか?
「多分人間の防御本能だと思いますが、ずっと危機的状況の中で生活するということが、大きなストレスになっている。なので体が現実を受け付けないというのが事実だと思います。私が冷静に見ている中でもおかしな状況だと思います。現在、警報は携帯やテレビで発信されます。そのタイミングで、できるだけ安全な場所に逃げるように心がけています。ただ、もう7カ月半戦争が続いていますので、それがただの警報なのか、それとも実際に攻撃があるのかというのは個人個人の判断になります。ここ数日はみんな、携帯の通知に非常に神経質になっていて、できるだけ安全な場所に身を隠すように努力しています」
――Q:寒い冬を迎える前の攻撃でしたが、今、どんなことを心配されていますか?
「ロシアはわれわれが早く白旗を上げるように、国民に対する攻撃というのをここ数カ月続けています。今回も発電所や水道の施設など、インフラ施設を狙って攻撃しています。今、夜中は5度くらいまで下がるなど非常に寒くなっています。暖房がないと過ごしにくかったりしますので、こういうふうに苦しめて、早くウクライナが降参するようにというのが、ロシアの考えではないでしょうか」
――Q:この事態を受けて、ゼレンスキー大統領とG7首脳が緊急会合を開き、「罪のない市民に対する無差別攻撃は戦争犯罪」「プーチン大統領らの責任を追及していく」といった共同声明を発表しました。国際社会の支援の状況はどのように感じていますか?
「ウクライナと世界で、非常に温度差を感じます。世界はゆっくりとしたスピードで物事を進めていますが、われわれは毎日ミサイルの中で生活していますし、多くの犠牲者が出ています。もう少し早く動いてほしいというのが、全てのウクライナ人の気持ちです」
――Q:日本に長く住まれていたボグダンさんはご存じだと思いますが、日本は武器支援が難しいです。日本の支援に対しては率直にどうお感じですか?
「私自身、民間レベルで多くの日本の方から支援をいただいていて、それでボランティア活動をさせていただいているので、すごく感謝しています。一方、日本政府からの大きな支援は防弾チョッキやヘルメットです。軍事支援ができない中でも、例えば仮設住宅。これから寒くなっていく中で、家の全焼や崩壊で生活ができない人が多くいます。夏の間は僕らもキーウ市内で屋根修理などをしていましたが、民間レベルでできることは限度があり、お金もかかります。そういうところを日本にしていただけないかなという気持ちがあります。日本とウクライナはロシアを挟んだ “お隣さん”なので、そういう気持ちもあって、日本には支援していただきたいというのが今の気持ちです」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月12日放送)