事件や事故を通報するときに、スマートフォンのカメラで撮影した現場を警察に送信。そんなシステムの試験運用がスタートしました。果たして、どんな効果があるのでしょうか。
1日およそ2600件の通報を受けている、大阪府警本部の通信指令室。10月から、通報者にリアルタイムの映像や写真を送ってもらうシステムが試験運用されています。一体どのようなものなのでしょうか。
事件に遭遇して、110番通報した場合…
【通信指令室】
「通話したまま、現場の状況を撮影していただくことはできますか?今からあなたの携帯電話にショートメールを送信します」
通信指令室が現場の映像が必要だと判断すると、ショートメッセージで映像を送信するためのURLが送られてきます。
そして、伝えられた「アクセスコード」を入力すると画面が切り替わり、撮影開始ボタンが現れます。
撮影開始ボタンを押すと自由に撮影でき、その映像がリアルタイムで警察へと送られます。このシステムを使って、通報の前に撮影していた映像や写真を送ることもできます。
【大阪府警 通信指令室 西村豊規さん】
「通報者の方から映像を提供していただくことにより、現場の状況をリアルタイムで把握することが可能となります。そうすることで、今まで以上に現場での警察活動を迅速かつ的確に行うことができ、通報者への現場での事情聴取などの負担軽減にもつながると思います」
全国の警察で半年間の試験運用を経て、2023年4月から本格的な運用を始めるということです。
全国に先駆けて、2020年10月から同様のシステムを導入している兵庫県警では、2022年8月末までに550件の運用がありました。
【兵庫県警 通信指令課 川端康義さん】
「通報があったときに、犯人の使用車両とか犯人の服装を撮影しているという情報をいただきましたので、その映像、画像を提供していただきました。提供していただいた画像に基づいて、パトカーが犯人を検挙したという事例がありました」
兵庫県では、けんかの目撃者が容疑者の姿と車両を撮影して通報時に送信したことで、犯人の早期検挙につながったという事例があったそうです。
また、行方不明者の捜索にも活用されています。これまでは、近くの警察署に写真などを持ち込んで説明する必要があり、時間がかかっていました。しかし、このシステムで写真を送ることで、捜索開始までの時間が短縮されたということです。
便利なシステムに思えますが、注意も必要です。撮影中の事故や、容疑者に撮影していることを知られて危害を加えられる恐れもあります。通報者の安全確保が最優先ということで、兵庫県警も「通報者が安全な場所にいることを確認してから依頼する」としています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月5日放送)