御堂筋の側道が4日から閉鎖 広い歩道で「シャンゼリゼ通り」に? 大阪のメインストリートで社会実験が始まる 車の利用者からは心配の声も いずれは「完全な歩行者天国」に…空飛ぶ車までを見込んだ“15年後”の構想は実現するか 2022年10月03日
大阪の大動脈「御堂筋」。車道本線と歩道の間に、「側道」と呼ばれるもう1本の車道があるのが特徴です。御堂筋の南側・道頓堀の辺りは、新型コロナ流行前は歩道が狭く見えるほど多くの人が行き交っていましたが…
2022年10月現在は側道がなくなり、歩道が随分広くなっています。こうした取り組みが、10月4日から御堂筋の他のエリアでも始まります。大阪に、どんな変化をもたらすのでしょうか。
■御堂筋の側道700メートルを閉鎖 社会実験スタート
大阪市の中心を南北に走る「御堂筋」。多くの車が行き交い、沿道は買い物客や観光客などでにぎわう、大阪のメインストリートです。
高級ブランドなどが道路沿いに立ち並ぶすぐ横には側道があるのですが、10月4日から、車が入れなくなります。
側道が閉鎖されるのは、御堂筋と長堀通が交わる新橋の交差点から道頓堀川の北側、宗右衛門町通りとの交差点までのおよそ700メートル。この範囲で10月4日から、東西両側の側道が閉鎖され、車の通行ができなくなります。
【大阪市 松井一郎市長】
「今は側道を一部閉鎖して、そこで社会実験をしている。御堂筋を閉鎖したときの、北から南への交通、どういうふうに周辺にう回してもらえるか、専門家も交えて協議をしたい」
大阪市は、御堂筋を歩行者や自転車に優しい空間に作り変えるプロジェクトを進めていて、目指すは「フランス・パリのシャンゼリゼ通り」。
買い物客などでごった返す狭い歩道は、これまで歩行者にとって快適とは言い難い状況で、歩行者が自転車とぶつかってしまう危険もありました。側道を開放することで、歩道は13.5メートルと、これまでの2倍以上にまで広くなるという計画です。
【大阪市建設局 企画部 小松靖明課長】
「歩道を広げることで、来街者の方が快適に安全に通行していただけるように、事業を進めてまいりたい。大阪・関西万博に向けて工事を進めてまいります」
大阪市は、既に難波駅から北に向けて同様の取り組みを行っていて、今回の範囲が終われば、御堂筋はミナミの主要なエリアで側道が閉鎖されることになります。
■どうなる車の駐停車 街の声は
側道閉鎖にあたって気になるのが、車の駐停車です。これまでは側道で荷物の積み下ろしやタクシーの乗り降りなどができていましたが、今後はどうなるのでしょうか。
【大阪市建設局企画部 小松靖明課長】
「アクセススペース、停車できるスペースを設けますので、そこで短時間ですけども停車していただくと」
既に工事が進んでいる道頓堀周辺の道路を見てみると、鉄パイプで囲まれた道路わきに車がやってきました。車が駐停車できるように作られた“アクセススペース”です。
道路のひと区画ごとに作られたこのスペースでは、5分間に限り荷物の積み下ろしなどができます。タクシーを降りることはできますが、乗車については指定の乗り場を使うよう、大阪市が呼びかけています。
側道がなくなることに対して、街の声はさまざま。
【買い物中の親子】
「不便になるかもしれないね」
「タクシー乗りにくい」
【女性】
「広くなるのはいいかもしれませんね、前やったら(観光客が)ダーッて横に並んで歩くから、通られへんかったからね」
【買い物中の人を待つ運転手】
「割と困る方ですね。(駐停車5分だと)いちいちまたぐるーって回ってこないと行けなくなりますよね」
周辺の店からは、期待の声も上がります。
【パン店の店主】
「側道がふさがれることで、お客さまが滞在する時間が長くなると思う。食べ歩き、飲み歩きが増えてくると思うので、相乗効果が出ると思っているんです。うちとしてはちょっとラッキーかなって」
大阪市の松井市長も、「御堂筋のシャンゼリゼ通り化」に向けて大きな期待を抱いています。
【大阪市 松井一郎市長】
「将来に向けて、御堂筋を今の車中心から人中心の、にぎわいある場所に作り変えたい」
10月4日から始まる側道の閉鎖。大阪市は、まずは交通への影響を調査した上で、11月から本格的な工事を始める予定です。
■15年後、御堂筋から「車道」がなくなる?
大阪市は、御堂筋完成100周年となる2037年に、御堂筋を全面歩行者天国にすることを最終目標として、未来予想図を公開しています。
現在は1日約5万台の車が南へ向かう御堂筋。車の大きな流れを止めることへの対策として、御堂筋の両隣を北向きに走る四つ橋筋と堺筋を、一方通行ではなくすという案なども出ているそうです。
また大阪市は、テレワークの増加や空飛ぶ車の実用化で、交通量が減る可能性も視野に入れているということです。
御堂筋の車の通行を止めるには、周辺の商業施設や地域住民の理解など、解決すべき問題が数多く残されています。大阪の中心街に緑とにぎわいを呼び込む「御堂筋のシャンゼリゼ通り化」実現のためには、今後の官民の取り組みがどこまで進むのかが、カギとなりそうです。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月3日放送)