栄養価も高く人気上昇中の“アーモンド”に異変!? 地球温暖化で世界の産地が…『危機』 カリフォルニアでは「類のない干ばつ」レベルの記録的大干ばつ 深刻な“水不足”に私たちが出来ることとは…? 2022年09月23日
日本で大人気のアーモンド。その世界の一大生産地がいま、気候変動で大ピンチを迎えているのです。
一体、何が起きているのでしょうか…
■食物繊維が多く栄養価も高い…日本で人気上昇の“アーモンド”に異変!? 価格高騰の懸念も
堺市にある「ALMOND De SAMUEL」。アーモンドバターなどを取り扱うアーモンド専門店です。
【Squirrel group合同会社 宮崎梢代表】
「コロナ禍になってしまって、お客の皆さん、健康に気を遣われる方が多くなったので。先月よりはバターそのものは(売上が)3倍に伸びています」
アーモンドは食物繊維が多く栄養価も高いことから人気でメーカー各社が多くの商品を取り揃えています。そんなアーモンドに異変が起きているのです。
【Squirrel group合同会社 宮崎梢代表】
「10年から15年に一度の大きい災害が今、毎年きている状況というのは拝見しています。アーモンド自体の値段が高騰するのは覚悟しているのですけど…」
世界で相次ぐ異常気象。その影響はアーモンドにも…。
■地球温暖化の影響…アーモンド産地を襲う“大干ばつの危機” 雨も降らず深刻化する「水不足」
アーモンドの一大生産地・アメリカ・カリフォルニア州。ここでは、世界で食べられるアーモンドの8割が生産されています。
しかし、カリフォルニアのアーモンド産業はいま、「ある異常気象」に直面しています。
【水本翔 特派員 リポート】
「カリフォルニア州の大きな水源「シャスタ湖」にきています。ここは元々、木の下あたり、地表の上あたりまで水があったのですが、ここ数年続いた干ばつで水位が大きく下がってしまっています」
これは、6年前のシャスタ湖の写真です。豊かな水がたくわえられています。
それが、現在は最大貯水量の「35%ほど」にまで減ってしまいました。
シャスタ湖はカリフォルニア州最大の貯水池で多くの産業や生活を支えているため、その影響は深刻です。
–Q:これまで見た中で最悪の状態ですか?
【地域住民】
「かなり近いです。ことしはかなりひどい」
カリフォルニア州はここ数年、ひどい干ばつに見舞われていて、州のほとんどが異常な乾燥状態で、そのうち半分近くが、最も深刻な「類のない干ばつ」、もしくは次にひどい「極度の干ばつ」とされています。
州は、水道の使用量を15%減らすよう求めるなど、水不足は深刻化しています。
【片平敦気象予報士】
「世界中で雨の降り方が大きく変わっている。カリフォルニアの辺りでは、湿った空気が流れ込むような気圧配置になりにくくなっていて、季節単位・年単位で雨が降らなくなってきている異常な状況となっている。カリフォルニアの気候が変わってきてしまっているという所まできていると思う。その背景には、地球温暖化が色濃く影響しているのではと思う」
■アーモンド農家を直撃 大干ばつで収穫量が激減…今できることとは?
アーモンド農園を営むゲンパリー・クリスティーンさん。シャスタ湖からの水を利用して、4000本のアーモンドの木を育てています。
アーモンドを育てるには多くの水を必要としますが、ことしは、例年より4割も少ない水しか使うことができないということです。
クリスティーンさんが“やせて小さくなった”アーモンドを見せてくれました。
【アーモンド農家 ゲンパリー・クリスティーンさん】
「水分が足りないと(アーモンドが)こうなります。いつもこうなってしまう恐れがあります。実際に干ばつが続くと品質は下がります。あまり水がないからです。十分な水を与えることができないと、実はやせてしまい、収穫量は減る見通しです。深刻な水不足のため、まだ収穫できるはずの木を間引くなどしてなんとかアーモンドを育てています」
–Q:干ばつが起きている現状について、人々はどうすべきだと思いますか?
【アーモンド農家 ゲンパリー・クリスティーンさん】
「みんなができることのひとつは、『ああ、こんな小さなこと、どうってことない』という考え方から離れることだと思うんです。これらをまとめてやれば、大きな違いになる可能性があります。 だから私たちは、できることはすべてやる努力をすべきだと思います。そして、本当に難しいことや、やりたくないこともです。そうすることだけが、前に進める方法だと思うからです」
地球規模で進む気候変動。今、一粒のアーモンドが私たちに警鐘を鳴らしています。
(2022年9月19日放送)