「5円上がって絶望」「プーチンさん何とかして」 地域の駄菓子店にも押し寄せる“値上げ” 子供たちにとっては大きい10円、20円 メーカーや店主は 2022年09月09日
政府は物価の高騰を受けて、食料品や電気代値上がりなどによる負担を軽減するため、低所得世帯向けに1世帯当たり現金5万円を給付することを決定しました。9月末が期限となっていたガソリン価格を抑えるための補助金について年末まで継続するほか、政府が売り渡す輸入小麦の価格を10月以降も据え置き、パンや麺などの価格を抑える方針です。
世界的なエネルギー高騰による物価高の波は、子供たちの楽しみ、駄菓子にも及んでいます。
【チーリン製菓 山本宗利課長】
「こちらの4品なんですけれども、30円から40円に値上げさせていただきます」
創業94年、駄菓子の老舗「チーリン製菓」は、プラスチック容器や砂糖、カカオなどの原材料費の高騰を受けて、9月から4つの商品を10円値上げしました。それぞれ発売から初の値上げです。
【チーリン製菓 山本宗利課長】
「プラスチック容器の原料の方が値上げ幅が大きくて、2008年に一部商品減量とか、あと容器の形を変えたりとかして原価をちょっと抑えていったりとかはしたんですけど。形を変えるだけでも数百万単位での費用がかかってくるので」
たった10円と言っても、もともと安い駄菓子にとっては小さなことではないようで…
【チーリン製菓 山本宗利課長】
「お子さまにとっては10円という価値はすごく大きいと思ってますので、本当はうちも値上げっていうのは我慢したいところではあるんですけれど。今後お子さまたちに喜んでいただけるように、商品を作っていけるように、今回はちょっと値上げしないともうダメだという判断をして、決断をさせてもらいました」
2022年は、うまい棒も42年ぶりに値上げ。税抜き10円が12円になりました。チロルチョコも定番の4商品を、税抜き20円から23円に引き上げています。
各メーカーの値上げを受け、神戸市兵庫区の駄菓子店「淡路屋」では、販売商品の1割にあたる20品目を5円~10円値上げしました。毎日のように買いに来る子供たちは敏感に反応します。
【子供たち】
「こんにゃくゼリーちょうだい。え、こんにゃくゼリー30円やったっけ?」
――Q:値上げしたの知ってる?
「うん、これ前まで10円やった」
「こんにゃくゼリーも前まで20円やった」
「いやだ、もうちょっと安くしてって感じー」
「(欲しい商品の)値段しか持ってきてないのに、5円ぐらい上がってる時は絶望した」
【淡路屋 伊藤由紀さん】
「言われますね、『上がったな』って。『ぼったくりや』とか。『違う!もう(元値)上がったから仕方ないねん』って言いますけど」
淡路屋では子供たちのために消費税分を負担しています。
【淡路屋 伊藤由紀さん】
「もう値上げは仕方ないと思いますよ、かわいそう。子供らにとってはあれやと思うけど、メーカーさんにとっては仕方ないと思います。よう頑張ったと思いますよ」
値上げを通じて社会を知ってもらおうという店も。93歳で駄菓子店「中川」を切り盛りする中川艶子さんは、値上げの背景を子供たちに教えています。
【中川艶子さん】
「ウクライナで戦争してるしな、燃料もな、油代が高いからこんな(価格が)上がってくんねんでって言ったら、『ふーん』って聞いてるけどな。『ソ連(ロシア)のプーチンさん、何とかならんのかな』とか言って、そんな話をする子もおるもんな。だから子供らの頭にも浸透しとるんちゃうかな」
そこへ近所の友人が、広告で作ったお菓子入れを届けてくれました。
【中川艶子さん】
「10円のガム買ってもな、これに入れんねん。みんな喜んでくれる。こんなにきれいにできるか?手で作るの?」
【友人】
「どう…何でするの?足でなんかできひんやん!」
笑いあふれる地域の駄菓子店にも、値上げの波が押し寄せています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月9日放送)