行き先は運任せ! 今人気のサイコロやくじがいざなう旅 “書店員のおすすめ”が送られてくる本ガチャも! 「セレンディピティ=すてきな偶然」の楽しみ方 2022年08月25日
今注目を集めている、「セレンディピティ」という言葉を知っていますか?
「すてきな偶然」という意味で、本や旅行など、さまざまな分野で盛り上がりを見せています。
その魅力を調査しました。
■本好きの好奇心をくすぐる本のガチャ
8月、本のオンライン販売で、ある試みが話題になりました。
【吉原功兼アナウンサー】
「表紙もないですし、タイトルも書いていない…ずいぶんざっくりしていますね」
短編や長編、ジャンルなどを選んで購入すると、書店員がおすすめする本がランダムに送られてくる「本のガチャ」。
届いた本にはカバーがかかり、すぐにはタイトルが分からないようになっているのも、ワクワク感を高めてくれます。
仕掛けたのは、本のネットショップ「honto」。
【「honto」販売マネージャー 高橋亜悠子さん】
「ネットはある程度欲しいものを決めて皆さん買い物に来るので、“店の中を歩いて何となく目に留まったものを買う”っていう出会いが作りにくいなと思っていて。『何が来るか分からないけど面白い文庫が来るよ』っていうのが、本好きの知的好奇心をくすぐったかなと思っています」
8月1日の発売後、即日完売となったこれぞ“セレンディピティ”な本。
反響を受け、9月にも第2弾を発売する予定だそうです。
すてきな偶然を楽しむ体験、どう思いますか?
街を歩く若者たちに聞いてみました。
【20代男性】
「新しい出会いとか新しい知識とか得たいので賛成派です」
【20代女性】
「その行為自体が楽しいから、中身が何でも楽しめそう」
【10代女性】
「何が出るか分からないっていうのが、ワクワクして楽しい」
消費動向のトレンドに詳しい専門家は…
【博報堂 楠田勇輝さん】
「ウェブ検索していると、自分の趣味趣向のものしか出てこないなっていう所が多分にあると思うんですけども、“そうじゃないものに一歩外れる”っていうぐらいの、『不確実性』みたいなものが、いつもの日常から非日常にいざなっていってくれるっていうことで。自分では見つからないものを見つけたいっていうのが、欲求としてあるのかなと思う」
■行き先はサイコロのみぞ知る JR西日本の「サイコロきっぷ」
そんな“一歩外れる体験”をしてもらおうとJR西日本が7月に発売したのが「サイコロきっぷ」。
一律5000円で往復の特急券が買えるのですが、その名の通り、サイコロを振るまで行き先が分かりません。
行き先は西日本の7カ所で、中には往復2万円以上かかる博多まで行けるチャンスもあるんです。
実際にサイコロを振った人に話を聞くことにしました。
大阪駅で落ち合ったのは、お笑い芸人をしている藤本さんと芸人仲間。
これから3人で、日帰り旅に出かけるそうです。
【リスナップ 藤本康志さん】
「これなんですけど…『東舞鶴』が出たときの絶望感」
【ハッピー中尾さん】
「まだ分かんない!どこに行くかっていう旅、なかなかないじゃないですか。自分が絶対行かないようなところに行けたりするんで、だからやってみようよと」
近くて遠い、京都府北部の東舞鶴。
これまで行ったことはなかったそうですが、せっかくなのでカメラを渡して、その旅を記録してもらうことにしました。
【吉原アナ】
「いってらっしゃ~い!」
藤本さんご一行は、京都駅から特急に乗って東舞鶴へ。
窓から見える景色も、のどかな雰囲気になってきましたが…
【ハッピー中尾さん】
「後ろ向きに進むんですね」
【リスナップ 藤本さん】
「途中から後ろ向きになったね」
なんと、途中の綾部駅で進行方向が逆向きに。これも、セレンディピティな旅ならではの発見です。
大阪を出て2時間半、いよいよ東舞鶴に到着しました。
まずは海鮮市場で腹ごしらえです。
ずらりと並ぶ新鮮な海の幸。食も旅の醍醐味(だいごみ)です。
カニたっぷりの海鮮丼にサザエのつぼ焼き、ぷりっとしたカキまで!
偶然がもたらした東舞鶴の旅。さて、次はどこに?
大阪にいる吉原アナが、リモートで話を聞きました。
【リスナップ 藤本さん】
「今、われわれは天橋立にいます」
【吉原アナ】
「うわ!え?東舞鶴って聞いてましたけど…天橋立?」
【リスナップ 藤本さん】
「ちょっとせっかくなので足を延ばして、車で」
【吉原アナ】
「藤本さん、大阪駅でテンション低かったの覚えています?」
【リスナップ 藤本さん】
「何のことだかさっぱり忘れていましたね!本当に今最高ですよ」
【ハッピー中尾さん】
「赤れんがパークもとれとれ市場も行って、意外と見るとこいっぱいあって。普段来ないところに来れるのはいいですね」
【Raynaさん】
「割と短い時間で大旅行みたいな気分になりましたよね」
切符は3日間有効なので、浮いた交通費を使って高級宿に泊まり、温泉ざんまいを満喫する人も。
このサイコロきっぷ、開始からわずか2週間で、およそ10万人が購入するほどのヒットとなりました。
ターゲット層の10代、20代はもちろん、旅行好きな富裕層にも響いているようで、旅の途中で早くも2回目のサイコロを振る人まで。
【TOMOさん】
「芦原温泉が出ました。これはこれで楽しみな旅行ですね」
■憧れの輸入車と行き先をくじで 古都を遊びつくす最高の1日
「セレンディピティ」な旅、体験してみたい!そんな吉原アナが訪れたのは奈良県です。
輸入車中古販売店が行っている、その名も「くじ旅レンタカー」。
憧れの輸入車の1日レンタルと奈良の観光マップのくじを、5000円で引くことができるプランです。
【ROUND MOTER 西井康二社長】
「くじにすることによって、輸入車の敷居を下げて、安く体験していただきたいという思いもございます」
吉原アナも早速挑戦。カプセルを開けると…
【吉原アナ】
「乗ってみたいなぁベンツ!出てこいベンツ!…はい、出ました。プジョー!」
【ROUND MOTER 西井康二社長】
「オープンカーです」
【吉原アナ】
「オープンカーですか?」
観光マップは、橿原(かしはら)神宮などをめぐる橿原定番コースに。
セレンディピティ=素敵な偶然に期待して、いざ出発です!
【吉原アナ】
「ふぁー気持ちいいな風が!オープンカーで良かったー!」
青空の下、軽快に車を走らせる吉原アナ。
【吉原アナ】
「雰囲気も変わってきました。のどかな田園風景…日本の原風景ですね~」
くじを引かなければ、きっと見ることがなかった景色です。その先に待つのは…
飛鳥時代に造られたとされる日本最大級の方墳、石舞台古墳です。
【吉原アナ】
「すごい迫力ですよ、近くでみるとこの石!めちゃくちゃ大きいですよこれ、すごいな…」
石の総重量は推定2300トン。その大きさに大興奮です。
【吉原アナ】
「大きい…!」
いにしえから続く歴史を感じることができる町、奈良。
続いて向かったのは…
【吉原アナ】
「こういう場所が奈良にあるんですね、小京都みたいな町並み」
石舞台古墳から車で15分の今井町。
江戸時代にお寺を中心に栄えたいわゆる「寺内町」で、歴史的な建物が残っている地域です。
そんな今井町で、おしゃれなお店を見つけました。
毎週金曜日限定でランチを提供している古民家カフェです。
【吉原アナ】
「うわ~おいしそう!…うーん!ジューシーで旨味も出てきて、弾力と脂身のふわふわが楽しめる」
この日のランチは、夏バテしないようにと考案された沖縄風。
週替わりのメニューは、店主のインスピレーションで作られているそうです。
【吉原アナ】
「その時その時に感じるものを表現していくってことなんですね。その辺りも“セレンディピティ”じゃないですか?」
くじに導かれた奈良の旅。
すてきな偶然にあふれた、セレンディピティな1日になりました。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年8月25日放送)