“まだ知らない淡路島”を調査 新人気エリアは…その名も「西海岸」 絶景!オーシャンフロントな貸別荘 廃校リノベーションで「地方創再生」 地元が気付かない「島の魅力」を“よそ者”が発見 「近場でぜいたく」を 2022年08月18日
周りを海に囲まれた淡路島。
今、その抜群のロケーションを生かした、ある変化が起きているんです。
“まだ知らない淡路島”を調査しました。
■淡路島に貸別荘が急増? その魅力とは
皆さん、「淡路島」と聞いたら何をイメージしますか?
街で聞いてみると…
【街の人】
「僕はもう玉ねぎしかイメージがない」
「ニューアワジ!お風呂がすごくいいですね!」
「ニジゲンノモリがけっこうでかくなってますけど…ドラクエとか」
「きのう行きました。幸せのパンケーキ食べに行ってきました」
定番の特産品や名所から、アニメやゲームなどをテーマにしたアミューズメントパーク「ニジゲンノモリ」、“映え写真”と絶品パンケーキが楽しめる「幸せのパンケーキ」まで、魅力的な観光スポットがどんどん増えているんです。
そんな、今大注目の淡路島に来ている新しい波が…
【吉原功兼アナウンサー】
「何これ!広い部屋に海が見えますよ!うわぁ~こんな部屋来たことない。たまりませんねぇ…海を独り占め!」
“貸別荘”です。
8月10日に南あわじ市でオープンした「Sola Villa(そらヴィラ)」は、全棟オーシャンビュー改め、“オーシャンフロント”の貸別荘。
【リバイト 坂本貴志 代表】
「これだけの海の前の立地で、それを最大限に生かして海を楽しんでいただきたいって思ったときに、中途半端ではなくて“最高の立地に最高の施設を”という思いでつくりました」
ジャグジーがついたこちらのスウィートヴィラは、プライベートテラスで地元産の食材を使ったBBQを楽しむことも。
1棟貸しで11万6000円から(平日・夕食付)と、ちょっと勇気のいるお値段ですが…こんな貸別荘が今、淡路島では増えているそうです。
淡路島全体の貸別荘やコテージなど「簡易宿所」の営業許可の件数は、4年前と比べて新規の登録が4倍以上。
さらに、淡路島の貸別荘を予約するための専門サイトまでできていて、運営会社によると、この夏休みの稼働率は95パーセント前後で推移しているということです。
■都会からの近さも武器 身近なリゾート島
なぜ今、淡路島で貸別荘の需要が高まっているのか?
専門家は、新型コロナの流行が背景にあると言います。
【大阪観光大学 小野田金司教授】
「『あんまり遠いところに行ったらだめよ』っていう風潮が日本ではありますし、大阪とか兵庫の都心の人たちが集まっているっていうのが1つあります。1棟貸しの方が安全で家族でゆっくり楽しめるっていうのがあるので、それはこれからも増えそうですね」
さらに、大阪から「Sola Villa」に来たご家族に話を聞いてみると、淡路島の貸別荘を選ぶ理由がもう1つ見えてきました。
【大阪から来た家族】
「気分転換にはいいですね…日常を忘れさせてもらえるかな」
「最高やなぁ、遠く行かんでいいもんな。遠く行かへん分、その浮いた交通費でもっとぜいたくできる」
【大阪観光大学 小野田金司教授】
「海外旅行に行けないので、今までハワイとかヨーロッパに夏休みに行ってた人たちが、やっぱり10万円以上の良いホテルに泊まろうかとか、そういう流れが大きいんじゃないですかね」
コロナで遠くに行けないから、近場でぜいたくに。
淡路島は「都会からの近さ」を武器に“身近なリゾート島”になっていました。
■“ただの海岸”が若者の集まる人気スポットに
そんな淡路島に、また新たな人気エリアが…
【吉原アナ】
「このエリア全体が“お洒落な若者の街”みたいになってますね…淡路島ってこういう場所でしたっけ?」
島の西岸に位置する、淡路市・西浦地区。
冬場は冷たい風が吹きすさび、地元の人たちから「商売に向かない」と言われてきた場所が、4年間で一変。
流行に敏感な若者たちが集まるようになり、“西浦”改め、“西海岸”と呼ばれる観光エリアになりました。
バーガーショップに並ぶ若者たちに話を聞いてみると…
【神戸から来た高校生】
「TikTokとかで見て来ました」
【吉原アナ】
「TikTokで?この後の予定はどうなってるんですか?」
【神戸から来た高校生】
「海に行って、夜ご飯食べる」
ご飯と聞いて吉原アナが訪れたのは、ダイニングバー「LONG」。
【吉原アナ】
「すごいですよ!店内から見渡せる海!最高!」
【神戸から来た人】
「思ったより海がきれいで、来てよかったです。この景色とご飯と撮りたいなって」
時間によって変わっていく景色は、絶景そのもの。
もちろん、料理にもこだわりが。地産地消をモットーに、淡路島産の食材を“主役”にしたメニューがそろっています。
■地元の人には“ただの夕日”でも… 「西海岸」の仕掛人
この「西海岸エリア」開発の仕掛け人の1人が、全国で飲食事業を手掛ける「バルニバービ」の佐藤会長。
食材の調達でもともと淡路島とはつながりがあったといいますが、その中でもなぜ、商売に向かないとされてきた「西海岸」に目を付けたのでしょうか?
【バルニバービ 佐藤裕久会長】
「やっぱり僕たちのビジネスって、人の心をくすぐったり、感動を与えないと成立しない仕事。西海岸に沈む夕日は大きく僕たちを後押してくれてますよね、感動を与えるかっていうことに関してはもう圧倒的な力ですね、なので西に僕たちは軸を置こうと決めました」
これまで30以上の企業を誘致してきた、淡路市の門市長にも話を聞きました。
バルニバービの佐藤会長の話を伝えると…
【淡路市 門康彦市長】
「新しく来られた方々にはまさにそう言っていただける、非常にありがたいことなんですけど、もともとずっと住んでる人にとっては、単なる夕日なんですよね。新しく来た方々が評価することによって(魅力を)再発見するんですよ」
また、市長はバルニバービのコンセプトに「ありがたい」と思っていることがあるそう。
【淡路市 門康彦市長】
「未利用だった小学校を利用していただいて。地元とジョイントをして、何をするにも地元に参加してもらってやるというね」
淡路島という「地方」で事業を進めてきたバルニバービが掲げている目標は“地方創再生”。
その拠点として2022年3月にオープンしたのが、廃校になった小学校をリノベーションした施設「SAKIA(サキア)」です。
■観光ではなく住みたくなる町づくりで“地方創再生”
よく耳にする「地方創生」ではなく「地方創再生」? なぜ、その拠点が廃校?
佐藤会長に聞いてみました。
【バルニバービ 佐藤会長】
「僕は根本的に『地方創再生』という言葉を使ってるんですけど、『創生』っていうと何もなかったところから新しく生み出すって感じでしょう?それは今お住まいの方に失礼じゃないですか。僕にとっての地方創再生というのは明確で、人が住みたくなる町となった時に、地方創再生が成立していくんだと思っているんですね。そのためには、地域がコミュニケートするベース(拠点)って絶対いるんですよ」
そんなことを考えていたときに売りに出されたのが、もともと地域の子供が集まっていた、この小学校でした。
目的は観光業ではなく、あくまで「地元の人の交流の場」をつくること。
カフェでは日常使いしやすいよう庶民的な洋食メニューを提供し、子供向けの図書館やコワーキングスペースも設けられています。
【地元の人】
「モーニング食べに…1つの楽しみみたいなもんやな」
「気軽に寄れてね、こう静かな感じで、特にこういう小さい子供用の図書館みたいなあったら利用しやすい」
年に2回、地元の人を集めた文化祭のようなお祭りも計画しているということで、初回は1000人以上が訪れたそうです。
【バルニバービ 佐藤裕久会長】
「観光ビジネスって、地方創再生の中では有効的でないと思ってる。体験して満足して帰っていく…それでは、地方は消費されるだけなんですよ。ここで居を構えたい、ここで子供たちを育てたい、ここで老後を過ごしたいと思えるような町づくりになっていくことこそが、僕は地方創再生だと思っているんですね」
リゾート地のその先を見据えて、まだまだ進化を続ける淡路島。
これからも目が離せません。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年8月18日放送)