「命を守ってるんだ!止まれ!」 飛び交う怒号 3年ぶり京都・亀岡市の花火大会で駅が大混雑…“身の危険”感じた人も 一体、何が起こっていたのか? 現場にいた人は「警備体制はできていなかった」 2022年08月15日
8月11日に京都府亀岡市で行われた保津川市民花火大会。
3年ぶりの開催となり、多くの人でにぎわいましたが、終了後、最寄り駅のJR亀岡駅北口の階段付近に多くの人が集まりました。
「絶対に押さないでください!」
「子供さんたくさんいらっしゃるんで絶対に押さないでください!!」
当日、JR亀岡駅で撮影された映像には、花火を見終わって電車に乗ろうとする人たちで大混雑する様子が。
花火大会を見に行ったという人に話を聞くと…
【花火大会に行った人】
「1回前に進むっていっても、2歩進んだらそれでもう終わりみたいな、2歩ないし3歩くらいですかね。それで進んでまたずっと待ってる、っていうのがずっと1時間以上続いてまして」
JR亀岡駅の階段付近にいた人は…
【花火大会に行った人】
「もうすごい人で、並んでたらどんどんどんどん後ろの方から押されてきて。ちょっとこれは危ないな、もしかしたら将棋倒しとかになるんじゃないかなって」
身の危険を感じるほどだったという階段前には、声を荒げて誘導するボランティアの姿があったといいます。
【誘導していたボランティア】
「止まれ!止まれ!命を守ってんだ!止まれ!はい次の3列、ゆっくりだぞ。ゆっくり行け!」
このボランティアは、少しきつく言いすぎてしまったと反省しているということですが、現場にいた人は、当時を振り返りこう話します。
【花火大会に行った人】
「優しい言葉で言ったら逆効果になる感じ。その時は自分はそう思ったので、強い口調で言ってもらった方が、危機感はそこにいた人に伝わると思う」
一体なぜ、このような状況になったのでしょうか。
JR亀岡駅の北には、改札につながる階段が2つあります。
実行委員会によると、混乱を避けるために、当日はうち1つの階段へ見物客を誘導していました。
また、ロータリー付近には整列のための柵を設置していましたが、先を急ぐ人によって壊されていたといいます。
そんな中、線路に人が立ち入ったことによりダイヤが乱れ、午後7時57分から駅構内への入場制限が始まりました。
結果、花火大会帰りの見物客で、駅の入り口が大混雑となってしまったのです。
現場にいた人は、当時の様子を…
【花火大会に参加した人】
「柵をするところでも途中がちゃんとなってないので、全然。最初に並んだ人が後から並んだ人より待たされるようなそういう状況。芝生のところに人が流れていく感じ。まともに並んでる人が損するような」
さらに、3年前よりも警備員の数は増えていたといいますが、入場制限のアナウンスなどは駅に向かう見物客に届いていませんでした。
【花火大会に参加した人】
「警備体制はできてなかった。『どれくらい時間かかる』とか、『もう少しお待ちください』とか、階段では色々されていたけど、遠く離れたところはなくて、私たちはどれくらいかかるか分からなかった、ただ待ちぼうけ」
花火大会実行委員会は今回の件について、「警備体制に問題はなかったと考えているが、実行委員会で当時の状況を確認、検証する」としています。
2001年、兵庫県明石市では花火大会の後、歩道橋が異常な混雑となり、転倒事故が起きて11人が死亡、247人が重軽傷を負いました。
今回の花火大会ではけが人はいませんでしたが、同様の混雑は、今後も起こる恐れがあります。
専門家に話を聞きました。
防災研究の第一人者・神戸大学の室崎名誉教授は、「花火大会は群衆による危険があると意識して行ってほしい」と話しています。
1平方メートル当たり5人以上が集まると、群集心理でイライラや不安が伝播(でんぱ)するそうです。
室崎教授は、花火大会を安全に楽しむために、以下の3点が大切だとしています。
・群衆に近づかない
・急いで帰らない 心の余裕を
・誘導には素直に従う
3年ぶりの花火大会が各地で開催されています。
混雑によって命を落とす可能性があることを、私たち1人1人が、改めて意識しておく必要があります。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年8月15日放送)