今、漫画に注目が集まっています。
絵が苦手な人でも漫画がつくれるサービスや、漫画を使った地方創生など。
広がり続けるその可能性を、取材しました。
■スマホ1つで誰もが漫画家に? 夢のアプリが誕生
累計発行部数2100万部を超える「SPY×FAMILY」のような大ヒット作が、毎年のように生まれる漫画。
ただ読むだけでなく、誰もが手軽に描くことができる時代が来るかもしれません。
集英社が運営する予定の「World Maker」というサービスは、スマホアプリにセリフやあらすじを打ち込むだけ。
自動でコマ割りが行われ、背景やキャラクターは用意されたパーツを選んで入れていくだけで、漫画の元になるネームを作ることができるんです。
優秀な作品は、実際にプロの漫画家が本物の漫画にして連載することも視野に入れているそう。
絵がうまくなくても、スマホ1つあれば漫画家デビュー!そんな未来も目前です。
■ふるさと納税が4倍に! 漫画を舞台で演じる女性劇団
阿蘇の雄大な自然に囲まれた、熊本県阿蘇郡、高森町。
人口6000人ほどの町に、7月25日、金子総務大臣が視察に訪れました。
【金子総務大臣】
「本当にびっくりしましたし、こういう取り組み・成功事例を全国に広めていくということが、我々にとって非常に重要なことだと思います」
総務大臣も驚いた成功事例というのが、漫画を使った地方創生です。
漫画のモデルになった場所を巡る“聖地巡礼”を取り入れたこれまでの「町おこし」とは違って、高森町では漫画出版社と共に新たな産業を生み出しているんです。
それが、今ブームの2.5次元。漫画が原作の舞台を公演する「096k(オクロック)熊本歌劇団」です。
メンバーは全国からオーディションで集められ、全員が女性というこの劇団。
演じる舞台の原作は、戦国武将たちの活躍を描く「前田慶次 かぶき旅」という漫画です。
このような漫画を通じた産業ができることで、町にもエンタメ関連企業が進出。
税収の面など様々な恩恵を町にもたらしているそう。
さらに彼女たちは、高森町のPRや住民のお手伝いなどをする「地域おこし協力隊」に任命され、地域を盛り上げるお祭りやイベントに参加しています。
彼女たちが「ふるさと納税」のPRをすることになってから、高森町への寄付額は4倍になったとか。
本格的な活動開始から1年。今後の目標をメンバーに聞きました。
【096k熊本歌劇団 菅井育美さん】
「自分たちの活動が、世界に向かって熊本から発信されていく、っていうのが一番の目標になっているので。漫画をコンテンツにした演劇がどんどん世界にも広がっていくっていうのが、やっぱり一番の目標だなって思っていて」
【096k熊本歌劇団 谷口亜湖さん】
「エンターテインメントとスポーツとか、全体で熊本を盛り上げていけたらいいなって。その力添えをより一層できたら最高だなって思っています」
■公立高校で漫画を学べる? 日本初の学科が登場
さらに来年の4月には、熊本県高森町で新たな取り組みが始まります。
県立高森高校に、日本初の「マンガ学科」が開設されるのです。
カリキュラムとしては、国語や数学などの通常の高校でも習う授業の他に、専用のパソコンなどを使い、絵の描き方やコマ割りなどをプロの漫画家たちから学べるとのこと。
ただ、高校から漫画を学ぶのは早いのでは…?そんな疑問を、高森町とタッグを組んで活動中の、少年ジャンプの元編集長で漫画原作者でもある、コアミックスの堀江社長に聞いてみました。
【コアミックス 堀江信彦社長】
「少年ジャンプも、将来優秀な漫画家、ヒットを飛ばした人とかいうのは、大体高校生ぐらいの時に持ち込んでます。中学生ぐらいの時まではそんなに上手じゃなかったりしても、高校3年間ぐらいの年齢のときの成長は目を見張るものがあります。だからその時期を漫画漬けで暮らせるっていうのは、大変な財産になるでしょうね」
2022年に開設予定のマンガ学科。
取り組みを主導する高森町の草村町長は、漫画で盛り上がる町の未来に期待しています。
【高森町 草村大成町長】
「イノベーションは、人材に投資しない限り起きませんので。そういうことを町として全面的にバックアップしていく。特に今後、このマンガ学科で、人に投資を、町としてする、それが最終的には仕事になって、『漫画シリコンバレー』のような形になるのではないかと思っています」
漫画を地方創生につなげるという、高森町の取り組み。
7月27日に開かれたマンガ学科のオープンスクールには、定員の2.5倍以上、100人を超える学生が全国から訪れたそうです。
まだまだ広がる漫画の可能性から、今後も目が離せません。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月28日放送)