大阪府が高齢者に「不要不急の外出自粛」を要請 20~40代への「受診自粛」も要請の方針 全国最多の死者を出した第6波の反省は生かせるのか 2022年07月27日
7月27日午後、大阪府の新型コロナ対策本部会議が開かれました。
【大阪府 吉村洋文知事】
「病床だけでなく発熱外来、救急外来、小児、入り口の部分も含めて、(医療)全体としてひっ迫しています。ですので『医療非常事態宣言』を発令します」
大阪府は、27日に病床使用率が50%を超えたこと、24日に救急外来の搬送が難しくなるケースが過去最多となったこと、発熱外来もひっ迫していることから「医療非常事態」を宣言。
オンライン診療の枠組みなどを整え、20代から40代の軽症者のうち重症化リスクの低い人に対して、病院などへの受診を控えるよう要請していく方針を示しました。
要請は8月中をめどにスタートする見通しです。
【大阪府 吉村洋文知事】
「オンライン診療を強化していますから、ぜひ活用してもらいたい」
また高齢者に対し、医療機関への通院・食料など生活必需品の買い出し・職場への出勤・屋外での運動や散歩などを除く不要不急の外出を控えることを、新たに要請しました。
【大阪府 吉村洋文知事】
「リスクの高い高齢者のみなさんにうつらないようにする、自分の身を守るという観点からぜひご協力をお願いしたい」
街の人に、高齢者への不要不急の外出自粛についてどう思うか聞いてみたところ…
【80代】
「それについては何の異議もありません、用事がなければ家にいた方がいい。今日は前からの約束の事務連絡で来ることになったけれど」
【30代】
「出歩いてるのはどちらかというと若い人とか中高年、比率からしたら高齢者以外の人の方が出歩いている。そこからいろんな人に感染していくかもしれないので、高齢者だけ自粛しても意味ないかなと思う」
【80代と50代の2人連れ】
「自粛、大切よ」
「自粛でいいと思います」
高齢者への対策に重点を置く大阪府。
背景には第6波の“反省”があります。
大阪府は、第6波で全国最多の死者数を記録。(12/17~6/24で2151人)
軽症・中等症病床がひっ迫する中、高齢者施設などでクラスターが相次ぎましたが、今年3月の時点では、施設で治療ができる医療機関がおよそ3割にとどまっていました。
大阪府は、治療を行う提携医療機関を増やすほか、治療が受けられない場合は、大阪府に登録している往診チームを派遣する体制などを整えてきました。
実際に高齢者施設などに往診を行っている「KISA2隊(きさつたい)」の小林医師は、第6波との違いを実感しています。
【KISA2隊 大阪隊長 葛西医院 小林正宜院長】
「私たちが治療、診療に行く回数は第6波よりもかなり減ったという状況。大阪府の指導・要請によって、治療ということに関して言えば嘱託医や連携医療機関でできているようになってきたんじゃないかという印象」
小林医師らは治療のほか、感染対策の指導も行い、陽性者が出ても小規模に抑えられるよう高齢者施設などに働きかけています。
【KISA2隊 大阪隊長 葛西医院 小林正宜院長】
「今回の第7波はなるべく(陽性者が)数人のうちに早期に入って、感染拡大を予防するための感染制御に注力しているので、そこが大きな違い」
しかし、今後さらに感染が広がれば、第6波の反省を繰り返してしまうと警鐘を鳴らします。
【KISA2隊 大阪隊長 葛西医院 小林正宜院長】
「現時点でここまで抑えられているから安心というふうには思っていない。ギリギリの状態でなんとか抑え込んでピークアウトさせられるかどうかが今後の分岐点になってくるのかなと」
27日の対策本部会議では、7月28日~8月27日の間、以下の『行動の自粛』が呼び掛けられました。
■高齢者・重症化リスクの高い人:不要不急の外出自粛を要請
■高齢者の同居家族:感染リスクの高い行動を控えるように求める
行動の自粛を高齢者とその同居家族に求めた理由として、「とにかく重症化率の高い高齢者の命を守る」ということが上げられます。
第7波に入って以降、季節性インフルエンザのようなペースで感染が広がっており、これまでのように全世代に行動制限をかけて抑えこむという段階ではなく、重症化しやすい、特に命のリスクがある高齢者に対策を絞ったというかたちです。
その背景には、第6波への反省があります。
大阪府の第6波の死者数は2151人と全国で最多。
そのうち97.3%が60歳以上でした。
現在は感染のペースが第6波よりも早く、より多くの影響が出ることが懸念されています。
全国最多、約3700の高齢者施設を抱える大阪府。
第6波では、高齢者施設でクラスターが相次いで入院が困難になり、適切な治療が受けられず、高齢者施設や自宅で亡くなる方がたくさん出ました。
そこで、高齢者に医療を届けるため、「協力医療機関の確保」「往診チームの派遣」といった対策を取ってきましたが、第7波でも100件以上のクラスターが発生している現状です。
そんな中、27日の対策本部会議では、高齢者以外を対象にした要請の話も飛び出しました。
20~40代の軽症者のうち、基礎疾患がない人は、できる限り診療・検査医療機関の受診を控えてもらう、といった内容です。
そのフォローとして、オンライン診療による薬剤処方や自宅待機SOS(相談窓口)を充実させるとしています。
発熱外来ひっ迫への対応として、8月中をめどに検討を進めるとしています。
入院が必要となる可能性が高い高齢者の方などに適切な治療を届けるため、一種のトリアージを行うということです。
社会経済活動は維持しつつ、高齢者への対応に重点を置く第7波への対応。
第6波の反省を生かすことはできるのでしょうか。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月27日放送)