7月24日、奈良県で、1歳の女の子が自宅の駐車スペースを発進した軽のワンボックスカーにひかれました。
車を運転していたのは49歳の祖母で、女の子は頭を強く打つなどして病院に運ばれましたが、およそ2時間後に死亡が確認されました。
女の子は事故当時、敷地内で水遊びをしていましたが、家族がプールを片付けている最中に事故にあったということです。
女の子は、家族がプールを片付けていた際、車の前方右手の辺りにいたとみられています。
そこに、買い物に行こうとした祖母が車を発進させて、女の子をひいてしまいました。
祖母は警察の聴き取りに対し、「前をよく見ておらず、はねてしまった」と話しました。
こうした事故を防ぐためにはどうすればよいか、岸和田自動車教習所の花岡さんに聞きました。
【岸和田自動車教習所 管理者 花岡康成さん】
「車には死角という部分が存在します。運転席に乗ってしまうと、その死角があるために、その部分が見えないんですね。特に背の低いお子さんであると、車の直前で座ってる、もしくは立ってても見えないかもしれない」
一体どれくらいの範囲が見えないのか、ロードコーンを使って検証しました。
実際に運転席に座ってみると、前方はおよそ4メートル、後方はおよそ12メートルの範囲が死角になりました。
この死角に子供が入り込んだとすると、運転席から全く見ることができません。
さらに教習所では、子供の目線を体感してもらうためにこんなものも…
【花岡さん】
「こうやってのぞき込むことによって、子供の目線がどのくらいの高さになるのかを大人が見ることができる」
子供の目線で見てみると、ドライバーの姿は全く見えませんでした。
こうした中で大切なのが、車に乗る前の“ちょっとしたひと手間”だといいます。
【花岡さん】
「乗る前に一度前にまわっていただいて、後ろもまわって、『何もないかな』と確認していただいてから運転席に乗る。このひと手間を加えていただくだけで、今回起きたような悲惨な事故は未然に防げたのではないかなとは思います。安全な場所というのは存在しないので、特に小さいお子さまに関しては保護者の方が注意していただくのが一番だと思います」
こういった事故はたびたび起こりますが、今回の事故も、3歳以下の事故の特徴が多く当てはまる状況でした。
交通事故総合分析センターがまとめた資料によると、事故当時の車の行動の74パーセントが「発進」で、今回の事故も発進時に起きたものでした。
また、加害車種はミニバンが30パーセント、ワンボックスが22パーセントと、背の高い車が半数を超えています。
今回も、軽のワンボックスカーで事故が起こってしまいました。
こういった背の高い車は低い位置が死角になりやすく、確認を怠る傾向にあるとのことです。
さらに、事故理由は、「安全確認を怠った」ことが93パーセントを占めています。
今回の事故でも、祖母が警察の調べに対し、「前をよく見ていなかった」と話しています。
事故を防ぐための注意として、交通事故総合分析センターは以下の2点を挙げています。
・車の近くでは保護者が手をつなぐことを習慣に
・発進前の周囲(死角)確認を習慣に
お出かけや帰省も多くなる夏休み、悲しい事故が起きないように注意が必要です。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月25日放送)