7月21日午前、大阪府の新規感染者が2万人を超える見込みだと明らかにした吉村知事。
【大阪府 吉村知事】
「大阪においては昨日約2万2000人。本日の新規陽性者数も昨日と同程度になります」
ただ、府民全員に「行動制限」を求めるのではなく、リスクの高い高齢者に的を絞り、感染対策を強化することで対応する考えを示しました。
感染者が急増する中で、懸念されているのは病床のひっ迫です。
【大阪府 吉村洋文知事】
「医療現場の皆さん、本当に今一生懸命やっていただいてますけど、これには限界があるということも事実としてとらえていかなきゃいかんと」
7月13日、大阪府はすぐに運用できる病床を増やすよう医療機関に求めましたが、20日時点で軽症中等症病床の運用率は、すでに59.4パーセントとなっています。
中等症患者を受け入れている大阪市此花区の大阪暁明館病院では、コロナ患者用の12床がすべて埋まっています。
【大阪暁明館病院 西岡崇浩 事務長】
「(症状は)みんな複合しているので、発熱、せき、喉の痛み等は個人差がありますので全員がそうというわけではないですけれども。重症化しての転院搬送はめったにないので、重症化は少ない状態です」
この病院では大阪府からさらなる要請があれば19床に拡大する方針ですが、その分の人員の確保は容易ではありません。
【大阪暁明館病院 西岡崇浩 事務長】
「遊んでいる職員は一人もいないので、病床を空けるとなると他から人を回さないと回らないですね。例えば夜間の救急だけ止めるとかそういう対策は必要になってくるかと思います。通常の患者さんがいる中でそれをシフトしていくというのは、作業としては割と大変です」
急速な感染拡大による病床のひっ迫は、コロナ以外の病気の治療に大きな影響を及ぼす恐れがあります。
また、第7波の対策として期待されていた塩野義製薬の飲み薬「ゾコーバ」については、厚生労働省の分科会が20日、緊急承認を見送り、審議継続としました。
厚労省の分科会では「同時に使えない薬が多い」など、現場で使いにくいとの意見が相次ぎました。
現時点の治験のデータは有効性を推定するには不十分で、塩野義が11月にまとめる治験の最終結果を待つべきだとして、緊急承認は見送られました。
大阪府内では7月20日現在、「重症病床」の使用率は3.8パーセントと低いものの、「病床」の使用率は40.6パーセントと高くなってきています。感染状況を示す、いわゆる大阪モデルの「赤信号点灯」の基準となる50パーセントに近付いている状況で、現在の「黄色信号」から、近日中に「赤信号」に変わるとみられています。
こうなると、行動制限が気になるところですが、国は新たな行動制限は行わないとしていて、吉村知事は「リスクが高い人を守ることに力を注ぐ」と話しています。
大阪府が感染者を対象に行ったアンケートでは、感染したと思われる場面でマスクを着けていなかった人が約半数に上り、吉村知事は「基本的な対策を取れていない場面で感染したと思われる人が多い」と述べました。
夏休みを迎え、熱中症対策でマスクが推奨されない状況もある中、感染対策をどこまで厳しく実施していくのか、課題となっています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月21日放送)