京都アニメーションのスタジオが放火され、36人の尊い命が奪われた事件から3年となります。残された人たちの悲しみは、今なお続いています。
■夢を絶たれた社員たち 遺族らが無念の死を悼む
京都市伏見区の京都アニメーション第一スタジオの跡地では事件の発生時刻にあわせて追悼式が営まれました。
遺族や京都アニメーションのスタッフなどおよそ120人が参列し、1分間の黙祷を捧げました。
式場には京都アニメーションがこれまでに作り上げてきた数多くの作品のポスターが飾られ、夢を断たれた無念の死を悼みました。
【弔辞】
「あの日、どんなに怖かったことでしょう。無念だったことでしょう。まだまだ続くはずの未来を突然絶たれてしまった悔しさ、悲しみは母も貴方と同じです」
3年前の7月18日。
第一スタジオがガソリンで放火され、36人が死亡、32人が重軽傷を負いました。
事件で亡くなった津田幸恵さん(当時41)は、20年に渡って着色や仕上げの担当をしてきました。
父・伸一さんは普段の生活の中でよく幸恵さんのことを思い出し、「3年という区切りはない」と話します。
【津田伸一さん】
「みんな普段通り、仕事してたんですよね。それが突然襲って来たんですよ。何が変わったのかなって何も変わることはない。振り返れば、あっという間に3年が経った」
事件を起こした青葉真司被告(44)は殺人や現住建造物等放火などの罪で、2020年に起訴されましたが裁判が始まる見通しは立っていません。事件当時、全身のおよそ9割に重いやけどを負った青葉被告。
■青葉被告の元主治医 「一刻も早く裁判を始めて欲しい」
青葉被告の主治医を務めた上田敬博教授は、事件が風化していくことを危惧していて、一刻も早く裁判を始めてほしいと訴えています。
【鳥取大学医学部附属病院・上田敬博教授】
「事件の時から止まっているのと同じことになりますので。そうすると記憶が薄れたり印象が薄れたり風化してしまう。(青葉被告と)会話をしている中で孤独、疎外、絶望、これは間違いなくあったのではないかと感じている。そこに何か介入があれば、何とかなったのかもしれませんし、そこは裁判を通して検証しないといけないと思う」
そして、被害者に対していま何を思っているのかなど、自らの言葉で説明してほしいと考えています。
【鳥取大学医学部附属病院・上田敬博教授】
「犠牲になられた方、けがをされている方、ご家族や関係者に謝罪の言葉を述べてほしいと思いますし。絶対に目をそらさずに、裁判には向き合ってほしいそしてありのままを語ってほしいと思います」
京都アニメーションの八田社長は裁判について、「亡くなられた社員、被害にあった社員、近しい方々の無念を思うと心が痛むばかりです。法の定めるところに従い、しかるべき対応と判断をいただくほかないと承知しております」とコメントしています。
(2022年7月18日放送)