7月から大阪府の条例が改正され、客引きへの規制が強化されました。
客引きが多く見られた場所は、今どうなっているのでしょうか。
西日本を代表する歓楽街、大阪・ミナミ。
【記者リポート】
「宗右衛門町に入ります。少ないですよねめちゃくちゃ、ここら辺にも結構いましたからね」
規制強化から1週間がたった7月7日。
記者が街を歩くと、明らかに客引きの数が減っていました。
大阪府は2005年、ミナミで強引な客引きが相次いでいたことから、キャバクラやホストクラブのような、「客について接待する店」の客引きを、条例で原則禁止としました。
その後、ガールズバーのように、店員が酒や食べ物を出すなど「接客」のみに形態を変えて規制から逃れる店が増えたため、条例を改正。
7月からは、「異性に対して好奇心をそそるような方法で接客する店」も規制の対象となりました。
改正条例が施行される前、6月24日の戎橋(えびすばし)。
橋の両側には、客引きがずらりと並び、あちこちから「ガールズバーどうですか?」といった声がかかります。
規制が強化された7月、客引きはほぼいなくなりました。
【街の人は…】
「変わりましたね、結構この辺にお姉さんがいたイメージだったんですけど、最近見なくなったなって。やっぱり条例の効果があるのかなと思う」
「治安は良くなるのかな、長い目で見たら」
「(客引きの)イメージもここにあったんで、そういう意味では寂しい部分もある。活気があるかないかの話なんですけど」
大阪府警が進めてきた、今回の条例改正。
既に摘発された例もあります。
7月5日、ガールズバーの客引きをしたとして、風俗店の従業員の男など、合わせて5人が逮捕されました。
その中には、アニメやゲームなどの世界観を取り入れ、コスプレして接客をする「コンセプトカフェ」いわゆるコンカフェの店員も含まれていました。
あるコンセプトカフェのオーナーは…
【コンセプトカフェのオーナー】
「7月1日から、うちは全く外に出なくなりました。ビラ配りに行かず、店内でできる配信とかしてます。実際に逮捕されてしまっているのが…危機感持ってやらないといけないなって」
しかし、しばらく記者がミナミを歩いてみると…
【コンカフェの客引き】
「どうですか?」
――Q:なんですかこれ?
「コンカフェ、コンセプトカフェ」
店の前で、店員3人が控えめに客引きをしていたのは、別のコンセプトカフェ。
【コンカフェの客引き】
「しんどいです、どうやって呼べばいいんやろって。声掛けたお客さんが来てくれることもあるから、看板をちらっと見た人に『ちょっとどうですか?』って言うだけっていう。『どんな感じのところ?』なんて聞いてくれたら料金説明」
――Q:自分から言ったら…
「『行きましょ』と言ったら捕まっちゃう」
新たな条例での規制を警戒し、店員から先に声を掛けるのではなく、看板を見て、興味を示した人に声を掛ける手法へと切り替えたと説明します。
さらに取材を進めると…
【記者リポート】
「ここがかなり(客引き)いますね、むちゃくちゃいる。ここはあまり変わってないですね。通る人、通る人に声掛けてる感じですね」
全体的に客引きの数は少なくなっていると感じるものの、以前と変わらない場所も。
【客引きする男性】
「何かお探しは? 一応言ってもらえればどこでもいけますよ。案内所のあるもの全ていけます」
――Q:逮捕怖くない?
「いや…」
――Q:ここ結構(客引き)いますよね
「みんなそうです。(他の所は)いないでしょ」
――Q:全然いなくて
「声も掛けられないと思う」
――Q:ぼく、さっきから歩いてるんですけど声掛けられなくて
「多分スーツの人には基本的に(声掛けない)」
――Q:警察を警戒してる?
「そうです、はい。でも、それは昔からそうなんで。ただガールズバーとかコンカフェとかは厳しくなってるんです」
条例の改正で、ある程度の効果はあったものの、違反を気にせずに客引きを続ける人の姿もありました。
この実態に、道頓堀商店会の会長は…
【道頓堀商店会 上山勝也会長】
「実際それで迷惑掛けられている人ってたくさんいる。せっかく楽しみに大阪に来たのに怖い目に遭ったとか嫌な目に遭ったとかそれだけが残って、我々の街のイメージになる。それが街の中で当たり前のように行われていることがおかしい」
警察は、今後も客引きの取り締まりを強める方針です。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月12日放送)