KDDIは5日午後、ホームページを更新し、大規模な通信障害が「全面復旧した」と発表しました。
発生から4日、最大3915万回線に影響が出た通信障害は、ようやく収束したようです。
一方、今回の通信障害で注目されたのが、公衆電話です。
【60代】
「僕ら公衆電話世代やから。(Q:あった方がいい?)もちろん。こないだはつくづく思いました」
■公衆電話の今 子供は使い方を知らない?
そもそも公衆電話の歴史は古く、明治の末には全国に463台が設置され、時代のニーズに合わせて進化を続けてきました。
1982年にはカード式公衆電話が登場。公衆電話から数字を打ち込み、「ポケベル」にメッセージを送るために使われた時代も。
しかし、公衆電話は今…
【30代】
「使ってない、もうどこにあるかもわからない」
【10代】
「1回カードで使ったことあります、回数券みたいな…」
「テレホンカードやん」
「それ、テレホンカード! 手段として出てこない感じ、公衆電話」
【30代】
「子供も使い方知らないと思う、公衆電話自体知らんのちゃうかな」
「公園の遊び遊具になっている。かくれんぼの遊具」
■阪神大震災の記憶 南海トラフ地震を見据えて公衆電話を守り続ける老人ホーム
すっかり人々の日常から遠くなった公衆電話ですが、今も設置を続けている場所があります。
兵庫県尼崎市の特別養護老人ホーム「園田苑」です。
オープンした1988年から設置されている公衆電話。守り続けるには理由がありました。
【阪神共同福祉会 中村大蔵 理事長】
「阪神淡路大震災が起こって、この公衆電話が大活躍した」
1995年に発生した「阪神淡路大震災」。
この時、公衆電話には人が殺到しました。
公衆電話は、緊急時に電話が混み合った場合も通信が優先されるほか、電話回線を通じて電力が供給されるため、停電時にも使うことができるのです。
【阪神共同福祉会 中村大蔵 理事長】
「阪神間の老人福祉施設のグループの代表をやってましたから。この電話を通じて県庁に毎朝状況を報告していた。午後には県庁からこの公衆電話に電話があって、いろんな指示とか厚労省の動きとかを知るのに重宝した」
いざという時のために残し続けている公衆電話。
利用頻度が少ないと撤去の対象になるため、理事長は仕事の電話などを、なるべく公衆電話からかけるようにしています。
その思いを知った全国の人から、テレホンカードが送られてくることも。
結婚式用に作られたものからアイドルがプリントされたものまで、その数はおよそ2000枚にもなりました。
――Q:公衆電話はいつまで残すんですか?
【阪神共同福祉会 中村大蔵理事長】
「南海トラフが目前に迫ってるから、それに備えようと。これをきっかけに公衆電話をもう少し増やしてほしい、地域にね」
■激減中の公衆電話 20年で5分の1以下に
いざという時に心強い公衆電話ですが、設置台数は激減しています。
2000年は全国に約73万5000台がありましたが、2021年には約14万5000台となりました。
さらに2022年4月には、法改正で公衆電話の設置基準が改定。
従来は、市街地であれば「500メートル四方に1つ」でしたが、今後は「1キロメートル四方に1つ」となるため、単純計算で4分の1となります。
公衆電話の設置場所は、NTTのHPや自治体のハザードマップで公開されていますので、平時に確認しておくのがおすすめです。
携帯電話が主流となった現代、15~24歳の男女の3割が「使ったことがない」、1割が「見たこともない」とするアンケート結果もあります。
改めて【公衆電話の使い方】を確認してみましょう。
1.受話器を取る
2.お金かテレホンカードを入れる
3.電話番号を押す
10円で通話できる時間は、相手が固定電話(近距離)の場合、午前8時から午後11時までは56秒、それ以外の時間は76秒です。
相手が携帯電話の場合は、時間帯を問わず、15.5秒です。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月5日放送)