6月22日に公示、7月10日に投開票が行われる参議院議員選挙。
京都選挙区では2つの枠を争い、9人が立候補しています。
新勢力の進出と、盟友との決別で、構図が激変。混戦を極めています。
■“会社員”また“主婦“としての目線を武器に・・・日本維新の会・楠井祐子候補
【新人・日本維新の会・楠井祐子(くすいゆうこ)候補(54)】
「このままでは日本人が減り続けて大変なことになります。その社会の中に皆さんのお子さん、お孫さんいるんです。私は、『自分たちの時代は良かった…』と、絶対に子ども・孫に言いたくないんです。だから立ち上がりました」
維新の幹部が「最最最最重要区」と掲げる京都。吉村副代表は、公務の合間をぬって、何度も京都で応援演説を行っています。
【日本維新の会 吉村洋文 副代表】
「京都の財政だって、このままいけば財政破綻すると言われています。地下鉄の運賃が上がるんでしょ?絶対に改革政党が必要。大阪もひどかったんです、他人のことを言えません。それが昔の自民党の政治だったんです」
京都生まれの楠井候補は大阪ガスでESG推進室長を務めていましたが、休職して立候補しました。30年以上、子育てをしながら働いてきた経験から、“会社員”また“主婦“としての目線を武器にしています。
【新人・日本維新の会・楠井祐子候補】
「相対的貧困層といわれる年収の低い方が増えています。その家族である子どもに、『お金がないから、受けたい教育が受けられない』っていうのを減らしたい思いが強くある。経済格差の解消に向けて、教育の無償化をしていきたい」
楠井候補の隣に立つのは、国民民主党の前原誠司代表代行。京都2区選出の“衆議院”議員です。維新との“政策の一致”を理由に、国民民主党を挙げて維新の推薦をするという異例の展開になりました。その理由は…
【国民民主党 前原誠司 代表代行】
「残念ながら、旧民主党だけで政権をもう一度とれる状況ではないので。改革マインドを持った維新と力あわせて非自民、非共産の大きな塊を作る」
前原代表代行は自身の支援者たちに、楠井さんを紹介して回ります。
【国民民主党 前原代表代行】
「もう一度自民党に代わる、新たな選択肢を作ろうではありませんか」
【新人・日本維新の会・楠井祐子候補】
「本当に今のままで何も変わらないことが怖いんです、だから私、楠井祐子はより良い未来に向かって変えていく変化を、皆さんで起こしていきたい。シニアも子どもも若者も、その笑顔が持続可能な社会をつくりたい」
■“京都愛”を前面に…唯一の現職 立憲民主党・福山哲郎候補
【現職・立憲民主党・福山哲郎(ふくやまてつろう)候補(60)】
「ありがとうございます、ありがとうございます」
京都選挙区に立候補した9人の中で唯一の現職、立憲民主党公認の福山哲郎さん。今回の選挙戦では、全身に“あるもの”を身に着けています。それは…
【現職・立憲民主党・福山哲郎候補】
「丹後のネクタイと、西陣織のタスキと、実はお見せできないですが、下着は綾部のグンゼです」
京都の地場産品を身に付けているとPRして、“京都愛”を全面に押し出しています。というのも…
【現職・立憲民主党・福山哲郎候補】
「京都のことは京都で決めると。『大阪の改革を』と言われる筋合いはないと僕は思っています」
福山候補は、大阪で大きな影響力を持つ「日本維新の会」を意識しているからです。さらに今回の選挙戦では、その維新の支援に回った“盟友との決別”がありました。その盟友とは、今回の選挙で維新の応援に回った国民民主党の前原代表代行です。
実は、前原代表代行は、旧・民主党時代から長年、福山候補の選挙を支えてきたのです。平成28年(2016年)参議院選挙では、前原代表代行は福山候補を応援していました。
【民進党(当時)・前原誠司議員(2016年参院選)】
「京都の代表としてこれほど素晴らしい人は他にいない。福山さんと一緒に頑張ることをお誓い申し上げてご挨拶と致します」
参議院議員を4期・24年間務め、他のどの候補者にも負けない知名度の高さを誇る福山候補ですが、今回の選挙戦では危機感を隠せません。
【現職・立憲民主党・福山哲郎候補】
「本当にご都合主義なやり方を政府・自民党がしています。いつの間にか国会で平気で、総理や大臣が嘘をつくようになりました。ぶれない強い野党が絶対に必要です」
かつて党の幹事長まで務めた福山候補、今回の選挙戦をどう見ているのでしょうか?
【現職・立憲民主党・福山哲郎候補】
「油断をしているとか、余裕があると有権者の皆さんに映るのは良くないと思いますので、基本的には京都を出るつもりはありません」
かつては、福山候補の秘書を務めていた立憲民主党の泉健太代表。今回の選挙戦に強い危機感を覚えた泉代表も、福山候補の応援に駆けつけます。
【立憲民主党 泉健太代表】
「皆さん、福山哲郎さんは安全圏ではありません。福山さんの議席を失うなんてことは、絶対あってはいけない」
厳しい選挙戦に挑む福山候補、公示日には感極まった場面も見られました。
【立憲民主党・福山哲郎候補】
「今のまま放ったらかしにしたら、物価高を国民の皆さんが浴びて、景気がもっと悪くなって、円安が進んで、資源価格が上がって、国民の生活はますます厳しくなる。やれ核共有だ、やれ核武装だ。こんな無責任な議論を放置しておく訳にはいかないと考えています」
■政界引退の二之湯智国家公安委員長の後任 初の国政選挙に…自民党・吉井章候補
【新人・自民党・吉井章(よしい・あきら)候補(55)】
「25年30年、日本だけがやはり成長してこなかった、この事実を踏まえて、しっかりと財政出動、積極財政の中で前へ進めていく」
自民党公認で、公明党の推薦を受ける新人の吉井章候補です。京都市山科区出身で、市議会議員を4期・15年務めた吉井さんは、政界を引退する二之湯智国家公安委員長(77)の後任として、初めての国政選挙に挑みます。
吉井候補は京都市議会での経験を活かし、地域に寄り添った発展を実現したいと考えています。
【新人・自民党・吉井章候補】
「(市議の時は)半世紀ぶりに地元・山科区に市バスを走らせたとか。(大切にしたいことは)安心安全、そしてまた均衡ある発展、そこだと思います。光が当たってない所っていうのは絶対あると思うので」
吉井候補、実は政界に入る前、プロゴルファーを目指していたという異色の経歴も持っています。
【新人・自民党・吉井章候補】
「ベストスコアは71ですかね」
地元の山科区には支援者がいますが、他の地域での知名度の向上が鍵となります。
【新人・自民党・吉井章候補】
「今求められていることは、アフターコロナの中で社会経済活動を前へ進めていくこと。同時に失われた経済を復活させていくことです。この日本を守ることができるのは我々、自民党そして友党・公明党、連立政権だけであります」
自民党京都府連といえば、国政選挙前に候補者からお金を集め、地方議員に1人当たり50万円を配っていたのではないかという「マネーロンダリング疑惑」が問題となりましたが…
【新人・自民党・吉井章候補】
――Q:マネーロンダリング疑惑について?
「法的には問題ないと思う。ただ、ご心配をかけていることは事実なんでね」
新人候補を応援しようと、自民党の大物が次々と京都に駆けつけています。
【自民党 岸田文雄総裁(7月2日)】
「京都の市バスの復活ですとか、安祥寺川の改修ですとか、間違いなく結果を出してきた吉井さん。これからの日本を、これからの京都を考えた場合に、間違いなく吉井章しかいないと自民党総裁・岸田文雄からも、改めて心からお願いを申し上げる次第です」
大物議員の引退を受け、初の大舞台に挑む吉井候補。課題の知名度不足の克服へ…、選挙戦終盤に向けて追い込みが続きます。
【新人・自民党・吉井章候補】
「日本国としての計画を立てて、10年20年30年スパンの計画を立てて、大企業も中小企業もしっかりと利益を出していただく。そして雇用を生み、皆さんの給料をしっかり上げていただく」
■小さな「つぶやき」を国会へ届けたい…共産党・武山彩子候補
共産党の候補は新人の武山彩子さん。
【新人・共産党・武山彩子(たけやまさいこ)候補(51)】
――Q:京都が注目の選挙区となっていることについて?
「びっくりしています。とにかく議席を取りに行くとは最初から思っていたが、こんなに注目される選挙区になると思っていなかったので、やりがいある」
5期・17年、長岡京市議を務めた経験から小さな「つぶやき」を国会へ届けたいと、立候補しました。
【新人・共産党・武山彩子候補】
「長岡京で実現できた中学校給食はたまたま出会った(生徒の)お母さんの『あったらいいな』の一言がきっかけ。たった一人のつぶやきも、政治を動かす力になる。これが私の政治信条」
若い人や、無党派層にも知ってもらうため、タウンミーティングを開催し、市民との対話を重ねます。
【新人・共産党・武山彩子候補】
「最低賃金、時給1500円目指して!」
【スーパー店員】
「がんばってください!」
【衣料品店店員】
「物価上がるわ、でも給料は上がらないわ…ではねぇ」
【新人・共産党・武山彩子候補】
「そら、お買い物もできませんわね」
このミーティングは誰でも参加できて、武山候補は若い人たちとも積極的に対話します。
【ミーティングに参加した大学生】
「僕は福山さんと武山さんで迷っている。気候危機の事で決めようと思っている。短期的な目先の利益を求める政治が続いていると感じている」
【新人・共産党・武山彩子候補】
「気候変動対策、ありがとうございました。2030年までに60%、二酸化炭素の排出を減らす具体的な政策を持っている」
京都で地盤を持つ共産党。2013年の参院選では、共産党の倉林明子(くらばやし・あきこ)議員が「改憲反対」を掲げて、15年ぶりに議席を獲得。その後も2期連続で当選を果たしています。
注目の選挙区とあって、共産党からも、党幹部が続々と京都入りしています。
【志位和夫委員長】
「有力4人の候補者の中で、軍拡より暮らしが大事ときっぱり言っているのは武山彩子さん一人ではないでしょうか」
【小池晃書記局長】
「物価が上がっているときに、何で年金を下げるのか、物価が上がっているのに何で、10月から、高齢者の医療費を2倍にするんですか!江戸時代の悪代官だって、こんなひどいことはやりません!」
2022年で党の創立100年となる共産党。今回の選挙戦で存在感を示せるのでしょうか。
【新人・共産党・武山彩子候補】
「一生懸命働いている、贅沢もしてない、でも賃金が上がらへん。子どもの教育にかかるお金が年々増えていく。だからいつまでたっても、ゆとりができない。今度は直接、国会でみなさんの声、暮らしの声届けて政治を前に動かします」
■NHK党、諸派からも
また、NHK党からは、いずれも新人の星野達也さん、近江政彦さんが立候補しています。
【新人・NHK党・星野達也(ほしの・たつや)候補(33)】
「無関心の若者たちに対し、政治って楽しいものそういったものを伝えていって将来明るいそして希望のある日本を共に一緒に作り上げていきたい」
【新人・NHK党・近江政彦(おうみまさひこ)候補(52)】
「年金受給者の方々(受信料を)無料にする公約を掲げています。参議院選挙に勝ってNHKをぶっこわ~す!」
京都選挙区ではこの他、ご覧の3人が立候補しています。
大激戦を勝ち抜く2人は誰なのか…。投開票日は、7月10日です。
(2022年7月4日放送)