児童8人が犠牲となった大阪教育大学附属池田小学校の事件から、21年が経過しました。
学校の安全と向き合い続けた遺族の思いを取材しました。
事件が起きた午前10時過ぎ、附属池田小学校では在校生や教職員が黙とうしました。
追悼の式典で児童代表は「自分の命を大切に、そして周りの命も大切にして、精一杯生きていくことをここに誓います」と言葉を述べました。
2001年6月8日。
小学校に刃物を持った男が侵入し、児童8人の命が奪われ、15人が重軽傷を負いました。
この事件で、当時7歳だった酒井麻希さんを亡くした父・肇さんは「学校の安全」と向き合い続けてきました。
【酒井肇さん】
「いつも考えているのは、亡くなった子供たちの命を無駄にしないと。そのことだけなので。それが私たちの原動力だと思っています」
事件については、教師の当時の対応や児童の避難誘導などがもう少し良ければ、被害を抑えられた可能性があったと考えられています。
しかし、学校の対応についての第三者による公的な検証や報告書はなく、時間の経過を理由に、今後も検証する予定はありません。
酒井さんは、教訓が受け継がれないことを危惧しています。
一方で、酒井さんにとっての成果となったのは、学校で重大な事件や事故が起きた場合の調査や報告書の指針が、2016年に文部科学省でまとめられたことです。
酒井さんは、文部科学省の有識者会議で、指針作りに携わりました。
2021年11月、酒井さんが見過ごすことのできない、子供たちの安全を脅かす事件がありました。
宮城県のこども園に、刃物を持った男が侵入したのです。この事件で、幸いけが人は出ませんでした。
酒井さんは、こども園で「できていたこと」に注目します。
【酒井肇さん】
「真っ先に子供たちを避難誘導したこと、それから声掛けをしたこと。複数の先生方で犯人に対応して取り押さえたこと。不審者の侵入に対して、しっかり対策を講じ、訓練をしていたことです」
事件では、酒井さんたちが重視してきた対応が実行されていました。
【酒井肇さん】
「しっかりと考え、自らが行動することに尽きると思います」
事件後、多くの課題を指摘された附属池田小学校は、「安全教育」や教員の訓練で、自らの役割を果たすための取り組みを続けています。
事件から21年がたった6月8日。
当時6年生の担任だった真田巧校長は、追悼の式典でこう述べました。
【真田巧校長】
「事件で亡くなられた8人の皆さん。皆さんが大好きだったこの附属池田小学校は、日本中の学校と、さらには世界中の学校と手を携え、学校が安全で安心して学べる場所であるように、これからも努力を続けます」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年6月8日放送)