5月末から接種が始まった、ノババックスの新型コロナウイルスワクチンは、新たな選択肢として定着するのでしょうか。
気になる副反応などについて、接種を受けた人を取材しました。
■他社とは異なる「組み換えタンパクワクチン」
ことし4月に厚生労働省が正式に承認した、ノババックスの新型コロナワクチン。
5月末から順次、大阪府や兵庫県で接種が始まりました。
国内メーカーの「武田薬品工業」が製造するノババックスのワクチンは、ファイザー社製やモデルナ社製とは異なる「組み換えタンパクワクチン」と呼ばれるタイプです。
接種対象は18歳以上で、これまでに他社のワクチンを打った人でも接種することが可能です。
■初週の予約 集団接種会場では34%
大阪市は6月1日からノババックスのワクチンの集団接種会場を設けていますが、一日に最大で520人分の予約枠に対し、初週の予約はおよそ34%、翌週は16%程度となっています。
【大阪市 感染症対策課 甲藤博宜 推進担当課長】
「ご覧の通り空きがある状況です。これまでmRNAワクチンを打てなかった方が待っていたというようなことで、初日はある程度予約は入っていたんですけど、平日は少なくなる傾向にある。国内製造のワクチンで副反応も少ないというような情報もありますので、そういった方々が少しずつ問い合わせをしてきている状況です」
■副反応は? 接種を受けた人の声
大阪市の担当者が言うように、ノババックスのワクチンは副反応が少ないというデータがあります。
これを理由に接種を決めた人もいるようで…
【ノババックス接種の女性(35)】
「悩んでたんですけど、病院で勤務しているんで、打たないとだめだなと思って。でも、子どももいるので、熱出たらしんどいなって悩んでる中で、今月から始まるということで、やってみようかと思って」
副反応は出たのでしょうか。接種翌日、電話で様子を聞いてみました。
ーーQ:現在の体調は?
【ノババックス接種の女性(35)】
「普段と変わりなく過ごせてます。腕の痛みは少しだけあるけど、それも寝てる時に寝返り打ったり、少し抑えたら痛いくらいで、何もしなければ何も違和感もなく。あまりにも副反応がないので、ちょっと効いてるんかなって心配になるくらい」
もう一人、これまでに2回ファイザー社製を接種し、腕が腫れて38度を超える熱が出たという女性にも、話を聞きました。
ーーQ:今回の接種はどうだったのでしょうか?
【ノババックス接種の女性(39)】
「腕がちょっと腫れてて痛いのと、頭痛ですかね。熱は夜中に37度8分まで上がったんですけど、38度は超えなかったです。注射の痕の周りがちょっと腫れてる感じ。1回目の時は内出血みたいになって腫れて熱を持ってたんですけど、それに比べたら全然マシかなって。3回目が一番何もなかったです」
■これまでのワクチンとどう違う?
大阪府の吉村知事は、伸び悩んでいる3回目の接種率を上げるきっかけになればと期待を寄せています。
【大阪府 吉村洋文知事(5月20日)】
「ノババックスのワクチンも副反応は一定あるけど、メッセンジャーRNAワクチンよりは少ないとされているので、副反応でちょっとという方は、ぜひこのノババックスのワクチンを検討していただけたらと思います」
国内で4種類目となる、ノババックス製のワクチン。
「組み換えタンパクワクチン」と呼ばれるタイプで、インフルエンザワクチンと同じような種類です。
アレルギーを理由に、ファイザー、モデルナのワクチンを接種できなかった人も接種可能ということです。
また、このワクチンは武田薬品が国内で生産しているので、安定供給が見込めるとされます。
交互接種も可能で、1回目、2回目がファイザー、モデルナだったという人も接種可能です。
厚生労働省が発表した海外の臨床試験の結果では、ノババックスの有効性は、ファイザー、モデルナと同じ90%台です。
気になる副反応ですが、接種部位の痛みに関しては、ファイザー、モデルナに比べると低い割合となっています。
頭痛にはファイザーとほぼ同じ割合、発熱については約6%と1ケタ台にとどまっています。
現時点のデータからは、他のワクチンより副反応が少ないと言えそうですが、専門家にその理由を聞いてみると、「今の段階でははっきりとした理由は分かっていない。なので、数字だけで判断しない方がいい(関西福祉大学 勝田吉彰教授)」とのことでした。
接種率向上の起爆剤となるか、今後の動向に注目です。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年6月3日放送)