3年前、堺市で当時中学2年生の女子生徒がいじめを受けて不登校になった末、自殺した問題。
堺市は6月2日、いじめの問題などに対応するための専門の部署を新たにつくると発表しました。
【堺市 永藤英機市長】
「子どもたちを放っておかないというところが、私たちとしても責務であると考えております」
いじめや不登校に悩む子どもたちのために、新たな支援室の設置を決めた堺市。
【自殺した女子生徒の母親】
「私もやっぱり相談窓口にたどりつくのにすごく距離があったので、そこが本当に寄り添ったものであるかどうかという役割について、もっと明らかにしてほしい」
こう訴えるのは3年前、中学2年生だった娘を失った母親です。
当時中学2年生だった女子生徒は、部活動で同級生から「死ね」「うざい」と言われるなどのいじめを受け不登校になり、その後、自宅近くのマンションから飛び降りました。
堺市は、第三者委員会への調査を依頼。
その結果、自殺について「不登校に陥った時期と自殺した時期に1年以上の時間的乖離がある」などとして、いじめとの因果関係は認めませんでした。
一方で第三者委員会は、教育委員会のずさんな対応の数々を厳しく指摘。
女子生徒は中学1年の時から不登校になりましたが、中学2年の担任は女子生徒とほとんど顔を合わせず、聴き取りもしていませんでした。
さらに学校は、国が義務付けているいじめ調査のアンケートを女性生徒に実施していなかったことも明らかになったのです。
当時の教頭は取材に対し、「現場任せにしていた」と話しました。
【当時の教頭】(2021年)
「(いじめの)認知はできていたと思います。ただ、対応がまずかった」
――Q:生徒の困りごとなど聴き取りはした?
「学校としてはできていません。その辺も管理職としては全然把握をせずに、時間ばかりがたってしまった」
母親は当時の学校の対応について…
【自殺した女子生徒の母親】
「『問題ないでしょ。子供同士のけんか・もめごとでしょ?どうして親が出てくるの?』という対応だった」
この問題を巡って、6月2日に新たな動きがありました。
【堺市 永藤英機市長】
「いじめ不登校対策支援室を市長部局の中に設置します」
堺市は、いじめや不登校に対応する新たな部署「いじめ不登校対策支援室」を、7月から設置することを決めたのです。
児童や保護者が学校と教育委員会に相談しづらい場合や、当事者の間で解決に至らない場合の窓口となるということです。
【堺市 永藤英機市長】
「教育委員会や学校と保護者との信頼関係はすでに損なわれて、半ば手詰まりと思われる状況があります。その対応が本当に望ましいのか、もし行き詰まっているならどういうことが考えられるかを、一緒に協議しながら解決策を見出していく」
支援室が相談を受けた後は、教育委員会や学校と情報を共有します。
児童や保護者たちへの対応はどうするのでしょうか。
――Q:支援室が主体的にやるのか市教委が引き続きやるのか?
【堺市 永藤英機市長】
「信頼関係が失われてしまったところであれば、もう一度そこに戻すのは適切ではない。堺市教育委員会が全面的に信頼できないのであれば、市教委ではなくて私たち市長部局の中で解決策を見出していく」
【日渡円 教育長】
「教育委員会の組織を上げて機能的に無理だということも認めざるを得ない。広く市民をどう見るかという視点で、市長の力を借りなければならない」
市の対応について、自殺した女子生徒の母親は…
【自殺した女子生徒の母親】
「しっかり子どもたちと保護者の声が届く場所にしてほしい。ちゃんと(声を)拾って対応していただける場所にしてほしい」
新たな対策で児童・生徒に寄り添った対応ができるのか。
堺市に、厳しい目が向けられています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年6月2日放送)