5月、大阪府泉佐野市にオープンした「こどもカフェ・COCCHA(コッチャ)」。
接客をするのも調理をするのも、全て中学生です。
オープンまでの、子どもたちの挑戦を追いました。
■みんなで準備した3カ月
小中学生が宿題や食事をしに集まる、地域の憩いの場「こども食堂」。
この食堂を使って「こどもカフェ」をオープンしようと発案したのが、12人の中学生です。
安全面や衛生面で大人のサポートを受けながら、3カ月間、自分たちの力で準備を進めてきました。
メニューを検討中のキッチンでは…
【中学生スタッフ】
「やばい、みかんにチョコかかった、最悪や…汚くなったー」
子どもたちが、デザートプレートを前に試行錯誤です。
このカフェの大きなテーマは「挑戦」と「ふれあい」です。
多くの学校で行われていた職場体験が、新型コロナの影響で3年連続の中止に。
そこで、お仕事に挑戦しながら地域の人と交流できるカフェをつくろうと考えたのです。
■門限ギリギリまで続く会議
今度は、3種類のオリジナルジャムをお客さんにどう買ってもらうか、作戦会議中。
【中学生スタッフ】
「来てくれるお客さんにはご飯のメニューあるけど、時間ない人に『ジャムだけでも』みたいな。外に(ジャム販売を)書いておくとか」
「『買ってくれたら特別包装します』とかは『おーっ』てなるかも」
子どもたちの会議は毎回、門限ギリギリまで続きます。
本番を想定した接客も練習も行いました。
慣れない言葉遣いに四苦八苦です。
【中学生スタッフ】
「もしよければご購入…“していければ”…どうでしょうか…?」
■「こどもカフェ」オープン!
いよいよ迎えたオープン初日。
2日前に中間テストを終えたばかりの子どもたちが、頭を切り替えて仕込みやテーブルセッティングに励みます。
さあ、お客さんのお出迎えです!
【中学生スタッフ】
「いらっしゃいませ!」
「失礼します。コッチャプレートでホット紅茶の方…?」
「ごゆっくりどうぞ!」
メインディッシュは、ふわふわのたまごが自慢の「COCCHAプレート」(500円)です。
【お客さん】
「ソーセージがふわってなる」
みんなの頑張りで、ランチタイムには待つ人も出る大盛況。
【中学生スタッフ】
「ジャムも売っているんで、ぜひよかったら…」
【お客さん】
「おすすめのバナナジャムを2つ」
オリジナルジャムの売れ行きも好調です。
■失敗できる環境があること
予想を上回る人気ぶりに、品切れになってしまったメニューも。
【中学生スタッフ】
「プリンが足りてなくて、ワッフルセットに交換って大丈夫ですか? ありがとうございます、すいません」
忙しさのあまり、キッチンと接客担当の連携が上手くいかない場面もありましたが…
【中学生スタッフ】
「これ何番テーブルのワッフル?」
【お客さん】
「子どもは全部初体験でしょ? 失敗できる環境があることがすごくいいですよね」
あたたかいお客さんたちに見守られて、なんとか初日を終えることができました。
【お客さん】
「また来月来るね。成長楽しみにしてる!」
【中学生スタッフ】
「ありがとうございました!またのご来店お待ちしております」
最後のお客さんを見送った子どもたち。「お疲れさまでした!」の声に座り込みます。
うまくできなかったと落ち込んでしまう子も…たとえ小さな失敗でも、子どもたちには大きな壁だったようです。
【中学生スタッフ】
「お客さんが来て、ご飯食べてもらってお金払ってもらうっていうのは、当たり前ではないので。感謝を伝えたりとか失敗した時は謝ったりとか。気持ちを伝えるのが大事だと思いました」
初めての経験をいっぱいして、トラブルを何度も乗り越えて、一歩大人に近付いた子どもたち。
「こどもカフェ」はこれからも、月に1回オープンします。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年5月27日放送)