大阪市の小学校で、児童が1年半にわたって別の教室に隔離されていた問題。
この児童が教育委員会の職員から暴行を受けていたにも関わらず、市が公表していなかったことが、関西テレビの取材で新たに分かりました。
問題となっているのは、大阪市立の小学校に通う6年生の児童を巡る対応。
児童は2年生のときから、同級生によるいじめで精神的に不安定な状態が続いていました。
学校はこれを理由に、保護者の同意を得ることなく、4年生のときから1年半にわたり児童を別室に隔離し、個別で指導していたことが判明したのです。
――Q: 1人で授業を受けているときはどんな気持ちだった?
【児童】
「寂しいなとか。先生と2人で雑談してても共通の話題少ないし、そこまで楽しいわけではなかった」
5月19日、大阪市教育委員会は「不適切な対応だった」と謝罪しました。
さらに、関西テレビの取材で、同じ児童に対して別の不適切な行為があったことが新たに分かりました。
教育委員会の職員からの暴行です。
3年前、当時小学3年生だった児童に対し、市教委から学習支援のために派遣されていた60代の非常勤職員が、暴行を加えたというのです。
教育委員会などによると、暴行が行われたのは多くの教師がいる職員室。
当時、児童は教頭に悩みを相談していました。
そこに、他の生徒とトラブルを起こしたと勘違いした職員が、児童を問いただしにやってきます。
児童は否定しましたが、職員はそのまま椅子ごと倒し、馬乗りになって両腕を押さえつけました。
その後も校長や教頭の静止を聞き入れず、職員は5分ほどにわたり馬乗りを続けたといいます。
【教頭】
「『教頭先生は黙っといて、僕が指導してるねんから』と。やめてくれと言っても全然聞かないんです」
【児童】
「『離して』って振り払おうとしても、振り払われへんかった。ちょっとでも、隙間できた瞬間に息したり」
この事案を受け、保護者は学校に説明を求めましたが…
【保護者】
「(職員からは)謝罪等はなく、『自分がやったことは正しい行為で、自分が教えていた時代では当たり前のことだ』と言いました」
職員は謝罪することなく、自主退職したといいます。
その後、職員は暴行容疑で書類送検されましたが、不起訴となっています。
この事案について、大阪市の教育委員会は「不適切な行為だった」と認めています。
しかし、発表の対象ではないとして公表はしていませんでした。
関西テレビは5月13日、一連の対応に問題がなかったか、教育委員会に聞きました。
【大阪市教育委員会 担当者】
「非常勤嘱託職員というのはいわゆる「契約社員」ということで、そもそも処分の概念がない。すなわち公表の対象でもない」
――Q:契約社員でも子どもからしたら先生ですよ。その先生からされたことに対して、規定でそう決まっているから公表しなくても適切だった、という回答でいいんですか?
【大阪市教育委員会 担当者】
「……個人のあれになるので差し控えさせていただきます」
大阪市教育委員会は、5月19日になってこの説明を訂正。
「『契約社員なので処分の概念がない』という説明は間違っていた」としました。
一方で、元職員が不起訴となっていることなどを理由に、“公表しなかったこと自体に問題はない”という立場は崩していません。
しかし、大阪市のトップは…
【大阪市 松井市長】
「不適切には違いないと思います。そういう悪いネガティブな情報こそしっかりみんな共有すべきだし、そこを隠そうとするのはダメだと思う」
大阪市は第三者の専門家チームを学校に派遣し、1年半の隔離の問題と合わせて、暴行問題についても検証する方針です。