事件を解決に導くきっかけの一つが、警察の「似顔絵」です。
絵のプロではない警察官たちがどうやって技術を磨いているのか、取材しました。
黙々と鉛筆を走らせ似顔絵を作成する、京都府警の警察官33人。
犯人の似顔絵を描く技術が優秀と認められている「捜査用似顔絵指定員」たちです。
この日は、犯人の検挙につなげるため、京都市立芸術大学美術学部・飯田真人教授の指導を仰いでいました。
【飯田教授】
「線の強弱、線一本の同じ線じゃなくて線の中にも強弱をつける」
似顔絵は、警察官が事件の目撃者から犯人の特徴を聞いて描くもので、去年、京都府警では227の事件で作成されました。
そのうち29件が検挙に結びついたといい、ある窃盗事件では、似顔絵を見た警察官が以前接触したことのある人物だと気付き、検挙に至りました。
【飯田教授】
「線がなくても顔って分かるんですよね、不思議と。特徴的なところだけを鉛筆の強弱を使いながら描いていってもらったら」
実際の似顔絵作成を想定した研修では、スクリーンに投影された顔を目撃者役が説明し、その目撃情報だけで似顔絵を描く訓練を繰り返します。
【目撃者役】
「髪が・・・」
【似顔絵担当】
「髪が全然違う?」
【似顔絵担当】
「前髪ってぱっつんですか?」
【目撃者役】
「ぱっつんかな、サイドはズドンと落ちてます…ごめん、ズドンと落ちてるっていう言い方が悪いんかな」
【目撃者役】
「髪はボブ」
【似顔絵担当】
「ボブが分からん、ボブってこういうこと? 女性ってあんまり描いたことないわ、男性被疑者ばっかりやわ…」
求められるのは「上手い絵」ではなく「特徴を捉えた絵」。
犯人の印象に、少しでも近付けなければいけません。
【飯田教授】
「そろそろ正解を見ていただいて」
教授の声で、スクリーンに投影された実際の顔と、自ら描いた似顔絵を見比べる警察官たち。
【似顔絵担当】
「奥二重ですかね…」
「あ~なんとなく似てる」
拾いきれなかった特徴を確認したり、絵の仕上がりに納得したりと、さまざまな反応が見られました。
【研修に参加した鑑識課員】
「鉛筆の強弱とかで年齢や雰囲気も表現できるんだなというのは、改めて教わって勉強になりました」
【研修に参加した地域課員】
「(目撃者の方も)犯人が捕まることにつながったらいいなという思いで話してくださってると思うんで、その思いを形にできるようにしていきたいと思います」
1件でも多くの事件の検挙を目指して、警察官たちは似顔絵を描き続けます。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年5月12日放送)