4月13日から始まった、大阪・造幣局「桜の通り抜け」。この「桜の通り抜け」をおよそ30年間、陰で支えている職員がいます。造幣局の「桜守(さくらもり)」と呼ばれる渡辺秀勝さんに密着しました。
■造幣局の”桜守” 30年に渡る桜の世話
【造幣局施設課 渡辺秀勝さん】
「(ハサミは)5代目ぐらいじゃないですかね。その都度メーカーからいい新商品が出るので、試して使ってみて」
335本ある桜、1本ごとに生育状況を確認して、それぞれに「カルテ」を作っています。
ーーQ:桜はお子さんみたいなものですか?
【渡辺さん】
「お子さんより手をかけてるかも分からん(笑)」
渡辺さんが入局したのは1991年。最初から、貨幣の製造施設の修繕と桜の管理を行う施設課に配属されました。
【渡辺さん】
「入るまで樹木のことは全然分からなかったので、入ってからです。切ったら1番分かりやすいんですけど、枯れていたらここ(断面)が茶色くなるんですよ。ここら辺(枝の表面)もシワシワになるんで。生きてる枝は艶があるというか、見慣れてきてだんだん分かるようになってきた」
■大阪春の風物詩「桜の通り抜け」を守る
「通り抜け」が近づくと、枯れた枝を見分けて剪定。花が咲いたあとは、毛虫の駆除。造幣局の桜守として守るのは、桜の健康だけではありません。
【渡辺さん】
「足がひっかかったらこけるかもしれないんで、これ(歩道から少し出た根)取りたいと思います。桜にとっては、根を切るので良いことではないかもしれないですけど、通行人の妨げになるんで仕方ない」
テントの骨組みに巻かれた紅白のカバーも、飾り付けかと思いきや…
【渡辺さん】
「障害者の方がぶつかったら危ないから、目立つようにクッションを付けてる。前見てられたらいいけど、桜見てて急に(障害物が)出てきたらだめなんで、安全に通ってもらおうと思って」
■2年連続中止を経て、3年ぶり「桜の通り抜け」開催
例年は、1週間で100万人以上が訪れることもある大阪の春の風物詩。新型コロナの感染拡大が始まったおととしは中止。去年も、準備をしたにも関わらず、直前で開催を諦めました。
【渡辺さん】
「2年間、実際に実物の花を見てもらうことができなかったので、ことしは限られた人にしか見てもらえないかもしれないけれど、せっかく通り抜けも3年ぶりに開催するので、実物の桜を見てもらえたらと思う」
そして4月13日、大切に育てた桜を見てもらえる日が始まりました。
【訪れた人】
「実際見ると実感がわきますね、やっぱり桜やって。造幣局の方の手入れは大変な努力やと思いますけど、それがあって私らが楽しめたというか」
「色が濃いの、関山(かんざん)が、すごいきれいだった」
「どうやって手入れしてるんやろって思います。枯れることなく、全部きれいに咲いてるんで」
渡辺さんも初日を見守ります。
【渡辺さん】
「なんとか関山も咲いていい初日かなと。ちょっと暑いですけどね。折れそうな枝もあるんで、気を付けながら、事故のないように」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年4月13日放送)