関西テレビ「報道ランナー」キャスター・新実彰平が、スタジオを飛び出し気になる話題を深掘りする「新実取材」。
今回のテーマは、開催まであと3年に迫った「大阪・関西万博」。
会場の舞洲の今の様子や万博に向けて準備する人たちを取材しました。
■万博まで3年 巨大工事が進む舞洲では今
【新実】
「2025年万博が開催される夢洲です。相変わらず何もないじゃないかと思われるかもしれませんが、変化はあります。3カ月前まではここは工事車両でいっぱいだったんですが、今はなくなっています。3月いっぱいで造成工事が完了したということなんです」
日々変化している夢洲。
新しい駅の工事は新たな段階に入っています。
現れたのは、直径6.8メートル、トンネルを掘る「シールドマシン」。
穴の形状や地盤などに合わせ設計されたオーダーメイド品で、お値段はなんと20億円ほどだということです。
現在開通している夢咲トンネルから新駅までのおよそ700メートルを、1年かけて掘り進めます。
刻一刻と近づいている大阪・関西万博。
3年後、この場所で何が見られるのでしょうか?
■半世紀の時を経て“2度目の万博”に挑む!
1970年、日本で初めて開催された万国博覧会(=大阪万博)には、半年間でおよそ6400万人が訪れれました。
人気のパビリオンには連日長蛇の列が…。
世界に最新技術をアピールしようと、日本の企業も力を入れました。
家電メーカー「三洋電機」(現:パナソニック)のパビリオン。
洗浄から乾燥までを自動で行う「人間洗濯機」が大きな話題を呼びました。
この人間洗濯機の開発者のひとり、上田マナツさんは当時を振り返ります。
【三洋電機 元デザイナー 上田マナツさん(87)】
「(当時の会長が)『6億予算あんねんと。使え』と言うわけ。『洗濯機で儲かってるから、洗濯機で人間の身体を洗えるようなもんできへんか』と言われ、洗えないことないけどなあと思った」
試行錯誤を重ねて、実現させた「人間洗濯機」。
そしていま87歳になった上田さんが、3年後の万博に再び関わろうとしています。
そのプロジェクトというのが“近未来型の「人間洗濯機」”です。
AI技術を駆使し「体だけでなく、心もキレイにする」未来のお風呂を万博で出展しようと、入浴機器メーカー「サイエンス」で開発しているのです。
オファーしたのは、52年前、「人間洗濯機」に魅了された青山恭明会長。
【サイエンスホールディングス 青山恭明 会長】
「『体こすって血が出るまで洗い』と言われた時代に、これからは体を洗わんでええようになる、どんなふうに人間の生活で変わるんだろう?と、もう本当に自分としては“万博小僧”になっちゃったんですね。小学生だった私が、50年経っても感動が頭の中に残っている。今の小学生の子供さん方が見て『嘘やろ。そんなこと出来るようになるの』という感動を絶対に与えたい」
50年以上の時を経て、同じ大阪で行われる万博。
上田さんも高揚感を隠せません。
【上田マナツさん】
ー-Q:2025年の万博決まった時はどう感じた?
「しめたと思った。活躍できるやろうから、なんか役に立てるやろうからしめたと。みなさん喜んでくれて。ぼく、医者じゃないけど、人を喜ばせることができれば本望やね」
■万博まで3年 大阪の人の実感は…
3月には公式キャラクターが発表されるなど、少しづつ具体的なイメージが見えだした大阪・関西万博。
開催まであと3年、街の人はどんな期待をしているのでしょうか?
【新実】
ー-Q:次の万博がどこで開催されるかご存じですか?
【街の人は】
「知らないです」
ー-Q:万博のイメージは?
「公園。遠足とかでよく行く(万博公園ね)」
【新実】
「会場は夢洲です、どんなイメージあります?」
【街の人は】
「考えたことない」
大阪ですら、まだまだ機運は高まっていないようです。
■万博まで3年 開発者が描く「未来社会」
こんな状況を変えようと3月、夢洲で行われたトークイベント。
2人のキーパーソンが登壇しました。
1人目は、「空飛ぶクルマ」SkyDriveの福澤知浩 代表取締役CEO。
2020年、日本初となる有人飛行実験に成功、2025年の実用化に向けて2人乗りの機体を開発しています。
そしてもう1人は、3次元の仮想空間「メタバース」を手掛ける、クラスターの加藤直人代表取締役CEO。
大阪をモデルにした「バーチャル大阪」を手掛けています。
2025年には、万博会場を仮想空間の中に作り、世界中の人とつながる万博を目指しています。
2人のホープが語る2025年の“万博”とは?
ー-Q:どんなビジョン持っているか?
【SkyDrive 福澤 代表】
「空が日常的に走れるように気軽に移動できるような感じの世界を目指しています。実際に万博会場で乗ってもらい、見てもらうことで、将来どんな世界が広がるのかを実現できたらいい。2025年の万博の時に「空飛ぶクルマ」のサービスを開始できるよう開発を進めています」
【クラスター 加藤 代表】
「昨今、全世界的にメタバースという言葉が流行するようになりましたが、まさにこれからはデジタルとフィジカルが融合した社会がやってくる。日本というのはITなど誇るべきものがたくさんあるので、それを世界に発信できる取り組みができたらなと」
ーーQ:50年後に振り返った時、「メタバースの」そして「空飛ぶ車」の万博になる?
【SkyDrive 福澤 代表】
「私は100%なると思う。空を環境の負荷なく、楽しく、早く、移動することはどう考えてもみんなやりたいこと。時間の問題はあるとしても、間違いなく実装される」
【クラスター 加藤 代表】
「全く同じです。イノベーションというのをどうやって社会に実装していくか、世に広めて、世界を巻き込むかが、すごく大事になるのかな」
【SkyDrive 福澤 代表】
「1番の発明家はSFもしくはアニメなんですよ。そこで最初に技術の制約なく考えて実行できる。それがリアルになるのには技術の成熟がいるので。空飛ぶ車はみんな知ってるんですよね。SF、アニメで、みんなで親近感をもってもらえるのはいい」
ー-Q:技術が追いついてきたのがこのタイミングだったと?
【クラスター 加藤 代表】
「まさにマトリックスが描かれたのが2000年、当時僕は小学校ぐらい、当時それを見ていてビックリしていたけど、世界がようやく追いついてきた。そろそろできるんじゃないかという時代になった」
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げる大阪・関西万博。
それぞれの思いが詰まった万博は、私たちにどんな未来を見せてくれるのでしょうか。
(2022年4月4日放送)