UAE、アラブ首長国連邦で半年にわたって開催されていたドバイ万博が、3月31日、閉幕しました。
およそ2300万人の来場者が訪れ、盛況のうちに終わったドバイ万博から、3年後の大阪・関西万博の成功のカギを探りました。
■お目当ては個性的なパビリオン 広大な敷地に
世界各地から人々が集まり、熱気と高揚感に包まれるドバイ万博。
中東やアフリカでは初めての万博で、過去最大級となる192の国と地域が参加しました。
閉幕が近づくにつれ、入場者はどんどん増えていきました。
そのお目当ては、ドバイの広大な敷地を活用し、多くの国が独自に構えた個性的なパビリオンです。
【記者リポート】
「人気のパビリオンの一つサウジアラビア館です。なんとこちらの鏡、大きさでギネス記録に登録されているということです」
様々な文化や価値観が一堂に会す、万博ならではの不思議な世界が広がっています。
■注目浴びる日本館
個性的なパビリオンが集まる中でも、注目を浴びているのが日本館です。
1日900人限定の完全予約制で、最も入ることが難しいという意味で、王様のパビリオンと呼ばれています。
人気の理由は、「体験型」の展示で、現地では、何日も並んでいるのに入れないという嘆きの声が次々と聞かれました。
さらには、日本のパビリオン近くで取材していた関西テレビの記者に対し、「日本のパビリオンに入りたいんだが、何とかならないか」と、並んでいた人がお願いする場面もあったほどでした。
■「30回以上来ている」万博は大盛況
新型コロナウイルスの影響を受けながらも、来場者は約2300万人と、目標の2500万人に迫る勢いです。
【来場者】
「30回以上万博に来てる」
「1週間に1,2回は来てる。万博が終わって欲しくないわ、本当に楽しいから」
「様々な文化を経験したり、これまでにみたことのない技術を発見できるパビリオンを探してたんだ」
「万博では子供たちも冒険ができて、色々な場所を探検できて、とても良い経験ができる」
ドバイ万博の広報責任者も手応えを感じています。
【ドバイ万博の広報担当者】
「今週末、金土日の間だけでも100万人が来場しました。現時点でも2300万人を超えています」
「これだけの来場者を集められたのは、どんなときでも素晴らしいことだが、パンデミックの中で達成できたのは特にすばらしい」
■成功の3つの理由
コロナの影響を受けながら、なぜドバイ万博は成功したのでしょうか?
広報担当者は、徹底したコロナ対策に加え、アクセスの良さ、中東・アフリカ初という注目度の高さなどを成功の理由に挙げました。
【ドバイ万博 広報責任者】
「国内でパンデミックを抑えることにUAEは成功しました。万博のスタッフは、全員が2回目の接種を義務付けられたのです。ドバイは地理的にユニークな場所にある。UAEはもちろん、中東、アフリカ、南アジアの地域で初めての万博開催となり、多くの国が集まりました」
万博効果は会場の中だけでなく、街中の飲食店にも。
ドバイにある日本料理店では、売り上げが、コロナ前と比べて2倍ほどになったということです。
【ドバイの日本料理店 木村屋 茂木貴洋 店長】
「コロナ前よりも活気がある状況です。コロナの流行でドバイも事実上ロックダウンをしてしまったが、ワクチンの接種にすごい積極的に取り組んで、他の国に行けない人も、万博ドバイにいこう、となった。万博のおかげでドバイは活気を取り戻してきたというのは感じますね」
■大阪会場はドバイの3分の1 戦略は
最後まで大盛況だったドバイ万博。
3年後の大阪の会場は、ドバイのおよそ3分の1で(ドバイは438ヘクタール、大阪・関西は155ヘクタール)、同じ条件での開催はできません。
招致活動のため、現地入りしてパビリオンを回る吉村知事に、どんな戦略でのぞむのか、直接聞きました。
【吉村洋文 大阪府知事】
「ドバイはもちろん大成功を収められてると思います。でも、大阪は、命輝く未来社会というテーマを成功させるために、大阪らしい、日本らしい万博をやりたいなと。(ドバイは)会場は広いけど。日本は歴史、伝統が深い。そこが強み。様々な文化とかパフォーマンスとか、そういうのを世界の皆さんに披露できるような会場も設立したい。日本の魅力を世界に伝えるいい機会になる」
吉村知事は、あくまでも大阪らしさを貫くと話しました。
一方、大阪・関西万博への参加を表明しているルクセンブルクは、パビリオンの規模は縮小することを決めています。
【ルクセンブルク館 館長】
「(大阪・関西万博の)パビリオンの規模感については適切な判断だったと思います。パビリオンの大きさにこだわるのではなく、訪れた人に残す印象が、一番大切なのではないでしょうか」
ドバイ万博の来場者に、大阪・関西万博について聞いてみると…
――Q:日本のどこで開催されるか知ってますか?
【来場者】
「東京かな、わからないけど」
――Q:次の万博がどこで開催されるか知ってる?
【来場者】
「日本!」
―――Q:日本のどこで開催されるかは知ってる?
「東京?東京?一番大きな都市じゃない?」
「大阪? あ、大阪だね」
大阪の認知度は、まだまだのようです。
熱心に参加を呼び掛けた甲斐もあり、目標の150カ国の参加は現実的なものとなりつつあります。
これからは大阪の存在感や開催意義を、どこまで世界に発信できるのかが、万博成功のカギになりそうです。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年3月31日放送)