「コンテナ」で暮らす新生活 車輪付きで移動可能なコンテナホテルも人気 今、「コンテナ」に革命【ヒットにワケあり!オカネのヒミツ】 2022年03月01日
「コンテナ」と聞けば、船で運ぶ「海上コンテナ」をイメージする人が多いと思います。しかし実は最近、コンテナ界で革命が起きているのです。
2021年4月、淡路島にオープンした『淡路シェフガーデン』。
よく見ると、建物が全てコンテナで出来ています。実はそれぞれ独立した飲食店で、地元の名店など27店舗が営業しています。
他にも、堺市にはコンテナで営むパン屋さんがオープンするなど、物流以外で、コンテナを使う人が増えているというのです。
なぜ今、コンテナが注目されているのでしょうか。
■駅前のホテル苦戦の一方で高い稼働率「コンテナホテル」
薄田ジュリアキャスター:
「コンテナの活用はお店だけではないんです。ずらりと並んだコンテナ、ホテルとして利用されているんです」
2021年10月、滋賀県東近江市にオープンしたコンテナホテル『HOTEL R9 The Yard 東近江』。
元々コンテナを使ったレンタルルームを経営していましたが、4年前からホテル事業を展開。ここ東近江は関西初進出です。
HOTEL R9 The Yard 広報 小原衣代さん:
「室内はビジネスホテルと同様の設備が揃っております」
薄田キャスター:
「空調がついていて、驚きなのがコンテナって窓あるんですね」
小原さん:
「ベッドも大きめのシモンズ製のダブルベッドが入っております」
広々とした、約8畳のダブルルーム。もちろん、バス・トイレも完備しています。
小原さん:
「壁の中にはしっかり断熱材が入っておりますので、建物と同じように空調も大変よく利きますし、基本的には鉄骨造の建物と同様でして、きちんと建築物としてみなされるような仕様です。安心してお泊り頂けます。全国に46か所展開しておりまして月に1、2店舗はオープンしておりますので、稼働率も常に70%を超えるような稼働でございます」
最近、駅前のシティホテルが苦戦を強いられる中、高い稼働率を保っている裏には、大きなヒミツが…。
小原さん:
「駅前のホテルさんですと増築が難しいと思うんですけど、コンテナであれば土地さえあれば広くすることも可能でございますし、逆にコンテナを撤去してしまえば客室数を減らすことも出来ますので、常に需要に合わせた客室数の提供が出来る所がポイントなのかなと思っております。普通、ホテルはオープンまでおそらく1年半から2年半ほどかかってくると思うんですけども、弊社のホテルですと半年ほどでオープンしてしまいます」
一般的なホテルと比べ、建設コストも抑えられるそうです。そしてコンテナをよく見ると、簡単に増築や撤去ができる、秘密が隠されていました。
小原さん:
「弊社のコンテナホテル、下に車輪がついておりますので、すぐに動かすことが可能でございます。客室の下に車輪がついておりまして、動かす時は客室のヘッドの部分を牽引して。こちら建物ではなく客室は『車両』でございます」
薄田キャスター:
「車両扱いになってるんですか?当たり前ですけど車両だからナンバーがついてます。滋賀ナンバーでした」
小原さん:
「ホテルは不動産から、弊社みたいなコンテナホテルとして動く『動産』に変わりつつあるのかなという風に思います」
止めてあるジャッキを外し、牽引車とつなげると、30分足らずで簡単に移動させる事が出来るのです。自由自在に動かせる「動産」こそ、コンテナハウスの、最大の人気の秘密。
小原さん:
「最近ですとコロナ禍で臨時医療施設の増築ですとか、そういった時にご要望頂きましてコンテナホテルをレスキューホテルとして展開しております」
有事の際は、必要な場所にコンテナを移動させ、例えば臨時病棟や、仮設住宅などに活用できます。コンテナが到着したその日から使えるので、緊急時には大活躍。すでに、全国各地へ何度も出動しているそうです。
コンテナホテルは他にもプロ野球「東北楽天ゴールデンイーグルス」の本拠地の球場内にオープンしたり…、USJの近くにもオシャレなコンテナホテルがオープンしたりと、ビジネスだけでなく、観光ホテルとしても注目を浴びているのです。
サンユー都市開発 山口浩司次長:
「年間通じると80%以上は稼働しておりまして、2021年で言いますと11、12月は90%以上となっております。遊休地の一時利用や土地の活用が定まらないところでそのまま置いておくよりも…という所でいくと、ホテルとしてコンテナが活用できるかなと思います」
■コンテナハウスの住人「普通の家とシェアハウスのちょうど間」
コンテナの活用は、ホテルや店だけではありません。
大阪府豊中市にあるシェアハウス『アーキペラゴ豊中』。
一つ一つが独立した、あわせて8つのコンテナが組み合わさった集合住宅で、2020年にオープンし、既に全部屋満室だそうです。
オーナーの田中さん夫妻もここで暮らしています。
オーナーの田中竜童さん:
「12平米ぐらいで、窓など、どこを開口部にするかとかは結構自由に決める事が出来ます。ワンルームなのに戸建てに住んでるような気分にはなりますね。壁をお隣さんと共有してないので、音の問題とかは結構気楽です」
それぞれが独立しているので、隣の音が気になる事もありません。
基礎に杭を打ち込み、風や耐震性も、普通の家と変わらないそうです。
他にも、住人たちが自由に使えるシェアキッチンや、中庭にはバーベキューなどが楽しめる空間も。そして2階にあがると…。
薄田キャスター:
「ずいぶん違いますね、屋根がないと。すごく開放的。コンテナに住むとなると閉鎖的な暗いイメージがありましたけど、見え方違いますね、全く」
2021年9月からコンテナハウスで暮らしている女子大学生は…。
女子大学生:
「シャワーとトイレはちょっと変わった感じではあるんですけど、それ以外は普通の家と変わらない感じで快適な住み心地です。他のシェアハウスよりもパーソナルスペースが確保しやすいような感じだったのでいいなと思って。キッチンに行ったら誰かと会えたり交流があるので、本当にちょうど間みたいな感じで私にとってはすごい居心地がいいですね」
薄田キャスター:
「コンテナっていう感覚は全くないような感じです」
オーナーの田中さん:
「案外住んでみると普通の空間ですね」
コンテナで暮らすという新しい生活。今後も、さらに人気が広がるかもしれません。
(関西テレビ2022年3月1日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)