大人気の「究極の背徳感」レーズンバターとは…各社「バターに商機あり」と熱視線 “かじるバターアイス”も復活 【ヒットにワケアリ! オカネのヒミツ】 2022年02月22日
1世帯当たりのバター購入量。総務省家計調査によりますと、ずっと横ばいだったものの2016年から右肩上がりに。そしてコロナ禍に陥った2020年はここ20年で最多となっています。
これを受け、企業やお店は今「バターに商機あり」と見て、様々なバター関連商品を世に送り出しています。まさにコクウマの代名詞、ヒット連発のバター関連商品が売れるヒミツを取材しました。
■人気爆発でバターアイスも復活
大ヒットを続ける“バター推しの商品”。東京みやげで人気の「シュガーバターの木」からは、去年4月に姉妹ブランドとして本格バタースイーツの専門店がオープン。
形を保てる限界までたっぷりとバターを溶け込ませたクッキーは発売から1カ月で30万個を売り上げました。
そして、バター好きに激震を与えたのが、去年期間限定で発売された「かじるバターアイス」。
まるで本物のバターを食べているような背徳感と斬新さからSNSで人気が爆発。あっという間に販売終了となったのですが、2月22日、いちご味になって帰ってきました。
薄田ジュリアキャスター:
「歯を入れた食感が、バターが溶けている時みたいな、しっとりねっとりした感じです。バターのコクは舌に残っているんですけど重たさは全くないです」
赤城乳業 開発マーケティング本部 対馬祥さん:
「コロナ禍においておうち時間でバターの消費量、需要が大きくなっていたっていうところがあったので。バターを脇役から主役にしてかじって食べるシーンっていうのがあってもいいんじゃないかと」
■バターサンドに奈良漬が合う不思議
多くの人を虜にするバター。なぜ今、こんなにバター人気が広がっているんでしょうか。
ファミリーマートでは「バタービスケットサンド」が大ヒット。去年6月の発売から、わずか半年たらずで2000万食を突破。
ファミリーマート デリカ食品部 デザート担当 大塚侑子さん:
「バターサンド自体は結構色んな専門店さんも多く出店されているなと感じておりまして、コロナ禍で外出もままならない中、せめて我々も近くのコンビ二で本格的なスイーツを楽しんでいただけたらという思いで開発しました。気軽にプチ贅沢となるようなスイーツをお客様に提供したいというところが一番のコンセプトです」
さらに、このバターサンド人気に目を付けたのが、京都の老舗奈良漬店。バターサンドに豪快に挟まれているのは「奈良漬」です。
薄田キャスター:
「(食べて…)合いますね。奈良漬の発酵した塩味とバターのまろやかなコクがすごく合う」
田中長奈良漬店 田中長兵衛社長:
「奈良漬のファンは50代から上、60-70代になりますんで、もう少し若い方にも奈良漬を知っていただきたいなというのがひとつのきっかけです」
意外にも乳製品と奈良漬の相性はバツグン。オンラインショップで発売したところ1時間で売り切れてしまう程の人気商品に。美味しさのヒミツを探りに工房へお邪魔しました。
できたてのバタークリーム。奈良漬の味を引き立てる為にも砂糖は控えめにしていると言いますが、ここから大事な作業があるそうで…。
伍彩菓 開発担当 檀上尚秀CEO:
「ではホイップします」
ポイントは、バターに限界まで空気を含ませること。そうすることで香りがたち、軽さが出てくると言います。
薄田キャスター:
「美味しい!甘みもバターもふわっと優しくなるライトな感じ。空気を含ませただけでこんなに変わるんですね」
檀上CEO:
「そうなんです、味が劇的に変わるんです。バターだと色んな物を包み込むようなマスキング効果っていうのがあるので。それで奈良漬はアルコール発酵しているものですから、それを少し抑える意味でもバターがちょうどいいんじゃないかなと思って」
またパティシエから見ても、バターは今、とても魅力的な材料だと言います。
檀上CEO:
「数年前ですかね、バター不足っていうのは記憶に新しいと思うんですけども。逆にそれが高級志向につながってきて。(スイーツの)単価が高くても、高級っていうお客様のイメージがついています」
さらに生クリームと比べ形がつくりやすく、冷凍庫に入れれば長期保存も可能となり、扱いやすい事も利点だといいます。
■「濃厚さ」が強刺激求める傾向とマッチ
では、バター人気が広がるワケとは…。食文化や生活史などを研究する専門家に聞くと、やはり度々起きたバター不足が関係しているそうです。
生活史研究家 阿古真理さん:
「バター不足を解消するために政府は足りなくなった分を輸入できるような体制を作ったんですね。選択肢が増えた事で『こっちのバターが好き』とか、今まで食べていた普通のバターとは違うバターを発見する人も出てきました」
さらに、ストレスの多い今だからこそ、バターの濃厚な味が求められていると分析します。
阿古さん:
「強い味を求める傾向がずっと続いていますから。例えば強炭酸や麻辣味が流行るとか。強い味を求めるということの中にバターの濃厚さというのも入っているんじゃないかなと」
■贅沢感×背徳感が究極のご褒美に
そんな濃厚さが求められる今、神戸にあったのが究極のバタースイーツ「レーズンバター」。
店主の薮根さんはバターをそのまま食べるというとっておきの贅沢感を味わってもらいたいと去年8月に専門店を立ち上げました。
レーズンだけではなく、リンゴやイチゴなど10種類以上のバリエーションがあり、味もひと工夫しています。
薄田キャスター:
「こっちのほう、ちょっとクリーミー。このイチゴの食感なのか、カリッザクッみたいな」
クリーミーでザクザクとした食感。そのヒミツは…。
ジュエリーボックス 薮根るり子さん:
「バターベースにクリームチーズを入れることで、お酒を飲まない方でもスイーツ感覚で楽しめるような、食べやすいマイルドなバター感になります。そしてこれはザラメです」
独特なザクザク食感の正体は「ザラメ」。いちごのつぶつぶ感を表現するために入れています。他のフルーツでもはちみつや練乳を使い分けて素材の魅力を引き立てています。
徐々に人気の波は広がり、1月には10日間で3000本を販売するまでに成長しました。
薮根さん:
「バターそのものを食べるのでちょっと高価なイメージと、カロリーが高いし食べたいけど我慢してしまうという人が多いと思うので。ある意味で『夢のような食べ物』。贅沢感と背徳感を味わえるっていうのは魅力だとは思います」
広がるバター人気。その美味しさは、私たちを幸せにしてくれるとっておきの「ご褒美」になっているようです。
(関西テレビ2月22日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)