現役の女子中高生による、今年のヒット予測の言葉部門で、特に注目が集まっているのが「平成レトロ」です。(2022年JC・JKトレンド予測「コトバ部門」ランキングより JCJK調査隊調べ<株式会社AMF>)。
主に平成初期のものを指すそうですが、令和のトレンドとして大注目の平成レトロ。そのヒットのヒミツを取材しました。
■平成の人気商品が令和に再び注目
今、巷でブームという「平成レトロ」。
1985年に発売され、特に平成初期の1996年頃に大人気となった『シルバニアファミリー』が、令和に入り、また売り上げが伸びているそうです。
【ヨドバシカメラ マルチメディア梅田 エンタメ担当 野田真衣子さん】
「大学生から20代前半の女性の方が多いです。外で一緒に写真を撮ったりするのを、皆さん結構好まれているみたいで」
一方、子供から大人まで夢中になっているのが、タミヤの『ミニ四駆』です。
1982年の発売以来、販売台数は1億8000万台を超えていて、ミニ四駆を題材としたマンガが昭和、平成などのブームをけん引。最近は、プロジェクションマッピングを使ったサーキットが登場するなどしています。
【ヨドバシカメラ マルチメディア梅田 エンタメ担当 庄司大輔さん】
「ミニ四駆自体、昔から人気の波がありましたが、最近また上がってきています。家族ぐるみで来られる方が結構多いです」
令和の今、ハマり始めた子どもたちに加え、昔のミニ四駆熱が再燃する大人も増えているそうです。なぜ今、平成レトロが人気なのでしょうか。
平成レトロを象徴するアイテムといえば、1990年代から2000年代に小学生の間で大流行したプロフィール帳。一度製造を止めていたメーカーも再び販売を始め、売れているそうです。
ほかにも、撮影したその場でプリントが楽しめる1998年発売のインスタントカメラ「チェキ」も今人気が再燃。
レトロなデザインに100通りの撮影パターンが楽しめる最新機種が登場するなど、富士フイルムによると、2021年度の売り上げは昨年度を上回る見込みです。
【ヨドバシカメラ マルチメディア梅田 カメラ担当 山口寛史さん】
「若い方に非常に売れておりまして、男女かかわらず、昔ながらのフィルムカメラの画像を楽しめるところで、SNSでもチェキが流行っています」
どうやら盛り上がっているのは10代から20代のZ世代と呼ばれる若者たち。その魅力を聞いてみると…。
【20歳女性】
「現像するまで見られないじゃないですか、1回きりなのが特別感があっていい」
【別の20歳女性】
「ちょっとおしゃれで、エモい感じの写真が撮れるので」
デジタル世代の若者は、アナログや懐かしさを新しいと感じるようです。トレンド分析の専門家は…。
【日経BP総合研究所 品田英雄上席研究員】
「平成の時代は、30年かけてデジタル革命が進んだ。新しい技術や製品・サービスが生まれて、どんどん世の中が新しくなってカッコよくなった。それが生まれた頃から当たり前である人たちにとっては、昔からあってそんなに新しくない、決して最先端ではなく完璧ではないけど感情を揺れ動かされるという意味の、『エモい』という言葉が広がっていますけど、それにちょうど当てはまるものが平成レトロだと思います」
■子供をメインに親も巻き込む
そして、平成レトロを代表するアイテムはもう1つ。
1996年に発売され、爆発的なブームが当時社会現象にもなった「たまごっち」。液晶画面のペット欲しさに長蛇の列ができ、初代のモデルだけで4000万個以上も売れました。
時代とともに進化を遂げてきたたまごっちは、去年11月に発売から25周年を迎え、再び人気を集めています。
【ヨドバシカメラ マルチメディア梅田 エンタメ担当 野田真衣子さん】
「こちらはたまごっちの新しい商品になっておりまして、今は腕につけられるスマートウォッチ型になっています。『たまごっちスマート』ですね」
最新版は触ったり声をかけたりして世話ができるようになりました。
【バンダイ ネットワークトイ企画部 安田江利果さん】
「たまごっちは、1回電源を入れるとオフにできない手のかかるおもちゃなんですけど、ちょっと手がかかったり、面倒くさいことに愛着がわくようになっているんじゃないかなと感じています。今、メインターゲットは小学生ですが、20代30代、そして初代を持っていた40代の方も買ってくれていて、親子2世代で買ってくれているような感覚はあります」
懐かしさを感じる親世代を巻き込んでいるのも、平成のレトロブームの特徴のようです。
■ルーズソックスを20年間作り続ける工場
さらに1990年代半ば、女子高生たちの間で大流行したルーズソックス。令和の今、新たなファッションとして再ブレイクしているようです。
【23歳女性】
「お母さんとかは、『昔履いてたようなやつ、また履いてんな』って言ってました。逆に1周回っていいかな?みたいな」
以前からコスプレ衣装として販売していた店では、以前は、多く売れても月に10足程度だったといいますが、去年から売り上げは伸び始めたといいます。
【ドン・キホーテ道頓堀店 河田由紀さん】
「去年の9月頃から徐々に伸び始めまして、12月は約300点売れました。色んなファッションに合わせて使う方が増えているので。カラフルな色やボーダー色等も入荷しています」
そして、靴下の町で知られる奈良県広陵町で、ルーズソックスを作り続ける工場を見つけました。
【吉岡靴下工場 吉岡正貴さん】
「これがルーズソックスの機械ですね。針で糸をくって編んでいる形になっている」
ルーズソックスは、専用の機械を使い、約10分かけて片足ずつ編み上げていくそうです。作る長さも40cmからと様々で、中には「2m」というサイズも。
ブーム再燃で注文が殺到しているそうで、さぞ儲かっているのかと思い、聞いたところ…。
【吉岡靴下工場 吉岡正貴さん】
「機械が1台しかなくて、1日50足しか作れない状況なんで、(注文を)断るしかできないんです。断ったケースの方が多いぐらいで」
当時10台ほどが稼働していた専用の機械は、ブームの終わりとともに処分したそうで、約500万円もする高価な設備なだけに、簡単には買えないといいます。
ブームの裏で生産はギリギリのようですが、ルーズソックスを求める人がいる限り、作り続けたいと話します。
【吉岡靴下工場 吉岡正貴さん】
「20年間作っているんで、多少ルーズソックスの愛着もあるんで。これからも作り続けたいという気持ちもあるんで、機械を極力壊さないようにしてやっていきたいと思います」
(関西テレビ2022年1月25日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)