コロナで食べる機会増…「餅」の売上アップ 簡単に細かく切れる「調理グッズ」も大ヒット商品に 【ヒットにワケあり! オカネのヒミツ】 2022年01月04日
お正月と言えば、『餅』。総務省の家計調査を見てみると、1月の2人以上世帯の支出額はコロナ禍の去年、その前の年より34%も増えていました。
これまでは年末の12月に買って、残った物を1月に消費するというパターンだったようですが、最近は食べ方にも変化が起きています。そのヒミツを取材しました。
■「自粛生活の中で手軽に調理できる」
日本の冬の風物詩『餅』。古くは、平安時代から餅つきが行われていたと言われています。この時期になると食べる人が多いですが、最近は季節を問わず餅を食べている人も増えているそうです。
大阪市のスーパー『フレッシュマーケットアオイ昭和町店』を取材すると、30種類以上もの餅が販売されていて、その売り上げも…。
【アオイサポート 内田寿仁社長】
「昨年は前の年に比べると約15%伸びました。自粛生活の中で手軽に調理ができる餅の売り上げが伸びたと思っております」
餅の人気を受け、各メーカーから多種多様な商品が販売されています。
去年9月に発売されたサトウ食品の『サトウのまる餅 乳酸菌プラス』は、丸餅を3つ食べるだけで、乳酸菌が100億個分摂取出来るそうで、最近のヘルシー志向にぴったりな餅です。
また去年8月に発売された、たいまつ食品の『お餅屋さんが作ったいなりもち』は、付属の油揚げに切り餅を入れ、電子レンジで温めるだけ。
【薄田ジュリアキャスター】
「(食べて…)すっごく合う、お餅に。いなり寿司の中がお餅になったような感じ。これは美味しい」
また、同じたいまつ食品の『おはようギザギザもち』は、お餅の断面がギザギザになっていて、あんこを挟んだり、塗ったりしてもこぼれにくくなっています。火も通りやすく、忙しい朝でも楽しめる一品です。
餅の仲間「フルーツ大福」の専門店も、去年から増えています。
2年前、名古屋で創業した『弁才天』もその1つ。もち米を粉末状にし、砂糖などを加えて練り上げた求肥と、フルーツのみずみずしさが最高の組み合わせだそうです。
【覚王山フルーツ大福 弁才天 大野淳平社長】
「今、全国70店舗展開しておりまして、総じて売り上げ約30億円というところまで来ました。昨年度が3億、4億ぐらいだったと思うので、10倍近い伸びになったのかなと思っております」
■“日常使いの便利な食材”として見直される
なぜ今、餅が注目を集めているのでしょうか。業界最大手のサトウ食品に聞いてみると…。
【サトウ食品 経営企画部 浅川梨乃さん】
「昨年からの新型ウイルス禍によって色んな方の在宅率が上がったと思うんですけれども、お餅の色んなアレンジをちょっとやってみようっていうお餅の調理をする機会が増え、それによってお餅を食べる機会が増加したという傾向にあります」
簡単にストックできて、日常使いの便利な食材として見直された事が人気の秘密。さらに、背景にはこんな要因も…。
【サトウ食品 浅川さん】
「今、当社が販売させて頂いている商品、一部除くんですけれども、24ヶ月=2年間の賞味期間となっております。最初は15カ月という賞味期間だったんですけれども、当社の小包装に長持ちフィルムという透明なフィルムがございまして、酸素を吸収する特殊のフィルムになっておりますので、24カ月、2年間に延長いたしました」
特殊包装で酸化を防ぎ、水分の保持力もアップ。賞味期限が伸びた事で長期保存ができ、いつでも気軽に食べられる食材に。
■米どころ新潟の会社が知恵絞りヒット“アイデア調理グッズ”
しかし、その一方で街ではこんな声が…。
【女性】
「私、介護のお仕事してるんですけど、お餅は絶対に出さないので」
【別の女性】
「詰まらせるのがやっぱり。伸びるから。だから細かく切ってます」
【別の女性】
「喉に詰まらすのが怖い」
確かに大きな餅は喉に詰まる心配も。
そんな中、『東急ハンズ 梅田店』にずらりと並んでいたのは餅グッズ。作っているのは、新潟にある曙産業というアイデア調理グッズを数多く販売する会社です。
【曙産業 開発部 佐藤弘幸さん】
「新潟のメーカーとして、農家としてお米の消費を少しでも増やしていきたいという気持ちから、お餅の新しい食べ方を提案するようなグッズを開発しようという事になりました」
餅が喉に詰まる心配がない、画期的な商品を次々と考案しています。
【曙産業 佐藤さん】
「まず黒い部品を外してください。(お餅を)ぎゅぎゅっと詰め込む感じ。それでお餅を歯の方に当たるように。あとはテーブルに置いて、テーブルの上から黒い部品をゆっくり押すだけです」
【薄田キャスター】
「(スライスされる餅を見て…)あー!思ってた以上にすごく薄いんですけど。びっくり!」
簡単に切り餅を薄くスライスできる便利グッズです。
【曙産業 佐藤さん】
「なかなかお餅って固くて包丁で切れなくて。特に高齢の方なんかは力がいりますので。そこでお餅を薄切りにしたりですとか、食べやすくしたりして悲しい事故が少しでも減ればいいなという気持ちでいます」
型抜きも同封されているので、自分好みのデザインにカットして楽しむこともできます。
ほかにも『モチワリ』というグッズは、お餅にかぶせて上から押すだけで、8つに割れる優れもの。包丁いらずで、あっという間に小粒サイズの餅にできるため、ぜんざいやスープに入れる時、大活躍間違いなしです。
餅のアイデアグッズは、累計2億円も売り上げる大ヒット商品になりました。
【薄田キャスター】
「(食べて)サイズ感がすごくいいですね。何よりも早く火が通る」
【曙産業 佐藤さん】
「色んな料理にお使い頂けるかと思います。子供から高齢者の方まで幅広く召し上がって頂けると思います」
種類だけでなく、楽しみ方も増えた餅。今後も、さらに人気が広がるかもしれません。
(関西テレビ2021年1月4日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)