相次ぐストーカー事件を受け、京都府警では、被害者だけではなく、加害者の支援にも力を入れています。
事件を起こす前に、いかにカウンセリングに結び付けるのか、模索が続いています。
かつてストーカーの加害者だった男性に話を聞くと、ストーカー行為をしている認識がなかった実態が分かりました。
■「男は押しの一手だと」加害者が語る
【元加害者の男性】
「仕事に自信を持ち始めたころで、少し傲慢になりがちな所があった」
「男は押しの一手なんだと思って、何回もプロポーズを繰り返していけばいいんだと思って、それをしていたということですね」
職場の後輩にストーカー行為をして、7年前に有罪判決を受けた男性(60代)。
当時、女性をデートに誘ったり、机を拭いてあげたりしていたところ、ある日突然、警察から連続して電話をするなどのストーカー行為をやめるよう「書面で警告」を受けました。
【元加害者の男性】
「過去に女性に対して真剣に話をしたり、接したりということができない感じでいたんですが、今回は最後と思って頑張らないといけないんだって」
「(書面警告に)なんでそんなことをするんだろう(と思った)」
■警告を受けてもストーカー行為をやめず
警察庁によると、「書面警告」を受けた人の8割はストーカー行為を止めるそうですが…
【元加害者の男性】
「数カ月したらもう1度電話してみればいいやと思っていて。電話したらツーツーという話中の音だったので、5分後にもう1度。合計4回電話をかけたんです。そしたら、それは連続電話なんだと、逮捕された後、説明されたんですね」
「本当に、え、って思って。すぐにこれは間違いだったって警察が認めてすぐに釈放されるんだろうなって」
男性は、ストーカー行為をしている認識が最後までなかったといいます。
■支援団体「やめられない衝動が沸き起こってくる」
20年以上加害者のカウンセリングを行っている、「NPOヒューマニティ」の小早川明子理事長は…
【NPOヒューマニティ 小早川明子理事長】
「8割がたは警告すれば止まる。1割とか5%の危険な加害者をどうするかが核心です」
「頭では分かっているけど、やめられない、衝動が沸き起こってくる、寝ても覚めてもその人が忘れられない」
「早期の発見、予兆の発見がすごく大事です」
男性は今、小早川さんの元で、ストーカーに至った心理的な要因を分析し、生活支援などを行う治療プログラムを受けています。
【元加害者の男性】
「自分は人の話も聞かなかったし、相談を人にするのをよしとしなかったところがあるんですね」
「思い込みが激しくて、1度決めたことをなんとか頑張ろうとしすぎていたという、それで自分勝手になっていたんだと思います」
■警察もストーカー加害者支援
11月24日、京都府警に専門家たちが集まり、ストーカー加害者のカウンセリングに関する意見交換を行いました。
京都府警では、京都に住んでいた男がストーカー行為の末に女性を刺した事件をきっかけに、4年前、加害者からの相談も24時間受け付けるストーカー専門の相談支援センターを全国で初めて設置しました。
さらに、警察が、カウンセリングが必要と判断した場合、専門機関での受診料を5回まで全額公費で負担することにしました。
【京都府警人身安全対策課 西田勝志課長】
「警告をしたりしても、なかなか行為が止まらない。そういった方には声掛けするようにしております。カウンセリングなんか受けたくない、と言う方もたくさんおられて、その辺をうまくつなげていくのも課題の1つかもしれません」
(関西テレビ「報道ランナー」2021年12月1日放送)