10月の衆議院選挙では、自民党が絶対安定多数の議席を獲得し、日本維新の会の躍進が目立つ一方、立憲民主党など、「野党共闘勢力」は議席を減らした。
野党共闘に意味は無かったのか。
立憲民主党に未来はあるのか。
ジェンダー平等などを訴え、今回の選挙では、候補者の応援演説を行った、大学院生で「政治アイドル」の町田彩夏(まちだあやか)さんに聞いた。
■「候補者1本化」の先を示してほしかった
――Q:「野党共闘勢力」は議席を減らしました。共闘に意味はなかったのでしょうか。
今回の野党共闘に関して言うと、1つ思うのは、結局「野党共闘とは何か」ということを考えないといけないと思っています。
今回の野党共闘は、そもそも共闘すること自体が斬新で新しいことだと思います。
ただ事実上は、小選挙区の候補者をほとんど立憲に1本化するということが、イコール野党共闘でした。
そもそも、候補者を1本化するだけで大変だったと思います。
しかし、候補者を1本化した先に何があるのか、ビジョンがあまり見えてこなかったというのがあります。
野党共闘をして何を目指すのか。
それは本来、政権交代だったはずです。
ただ、候補者の中には、あまり政権交代に触れていないと思う人もいました。
1本化した先に何があるのか、もう少し党首クラスが説明してもよかったのではないかと思います。
■かつての勢いは…「4年間、しっかり現場を回っていたのか」
――Q:2017年に立憲民主党が誕生した際の勢いは、どこにいってしまったのかと思うことがあります。
立憲民主党は、希望の党が誕生し、民進党が分裂していく中で誕生した政党で、小さい台の上に立ち、崖っぷちの中で力強く演説する枝野さんの姿を覚えています。
ただ、政党は、成長させていかなかれば、支持がなかなか広がらないものだと考えています。
それで言うと、今回の衆院選で、立憲は、当時とは違った、また新しい希望や勢いを、有権者に対して見せていく必要があったのではないでしょうか。
4年間丸々時間があったわけですから、地方選挙に力を入れるとか、候補者の女性割合を高めるために努力をするとか、準備する時間があったはずなんですよね。
それから、この4年間、現場をしっかり回っていたのかどうか、というところも気になっています。
市民活動の現場に行って声を聞くとか、そういう部分にもう少し注力してもよかったのかもしれないとも感じています。
■方向を転換したいというのであれば、すればいい
――Q:立憲民主党が議席を減らした原因について、「左に寄りすぎた」という論調もあります。
もし立憲民主党の内部の人たちが、方向を転換したいと言うのであれば、それも転換すればいいと思います。
「立憲をもっと右にしよう」であったり、「立憲をもっと左にしよう」であったり、その結果を有権者が選べばいいだけです。
選択肢が増えることは、有権者としては、いいことだと思います。
■辻元さんに代わる女性を育ててこなかった
――Q:町田さんは、去年の立憲民主党の結党大会で、「幹部や指導的立場に女性が1人もいないのはどこか不自然」と訴えました。近く代表選挙が行われますが、党の次世代を担う女性の顔がなかなか見えてきません。
枝野さんは、自分が退く時に、次は辻元清美さんかなと思っていたかもしれません。
しかし、辻元さんは落選しているわけです。
そして、いざ党の代表選挙をやるとなっても、ふたを開けてみれば、男の人ばかりです。
辻元さん以外にも、党の指導的立場を担える人をたくさん育てておかないといけなかったと思いますが、それをやってきませんでした。
ジェンダー平等が票になるとか、ならないではなくて、やるべき問題なんだということをきちんと認識していただきたいと強く思います。
(取材は、2021年11月8日に行った。その後、西村智奈美衆議院議員が出馬を検討する考えを示した)
■何か言いたくなるということは、まだ希望はある
――Q:立憲民主党に未来はありますか
課題があるということは、変えられるということです。
直すところがなければ、それは絶望だと思いますが。
けれども、みんなが思わず、「立憲民主党が左によりすぎた」だったり、そういったことを言いたくなってしまうという状況は、逆に幸せだと思っています。
何にも出てこない方が、よっぽど先がないじゃないですか。
みんなが、何かを言いたくなってしまう、言えるというのは、まだまだ希望があると私は思っています。