今回の衆議院選挙を象徴するような構図となっている滋賀4区。
候補者は、新総裁を迎えた自民党と全国的に共闘する野党の統一候補です。
共闘を仕掛ける野党が逆襲するのか、議席の死守が至上命題の与党が振り切るのか。
激戦区を取材しました。
戦国時代、天下統一を目指した織田信長も本拠地を構えた近江の地。
滋賀4区は、琵琶湖の南東、近江八幡市など、4つの市と2つの町から成る選挙区です。
2人が立候補しています。
立憲民主党公認の新人、徳永久志さん。
【徳永久志候補】
「私たちの暮らしの足元、仕事・経済がコロナで傷つき痛み、そして歪んでしまっています。これを立て直さないといけません」
自由民主党公認の前職、小寺裕雄さん。
【小寺裕雄候補】
「さらに課題を解決して、滋賀をより前に進めていく。私自身は、そのことが問われている選挙だと考えています」
4年前も議席を争った2人の候補。
しかし、今回は情勢が大きく変わっています。
今回の衆院選を前に、滋賀県内の野党と市民グループが政策協定に調印。
自民党1強となっている情勢を打破するため、滋賀県の1区から4区まですべてに事実上の野党統一候補が立ち上がったのです。
この「共闘作戦」、徳永さんにとっては大きな意味があります。
前回、4年前の衆院選では徳永さんと議席を争った共産党ですが、共闘が成立すると、単純計算で、徳永さんが7000票以上、上回ります。
滋賀県に吹く野党共闘の風。
旗振り役は、前滋賀県知事・嘉田由紀子参議院議員です。
2019年の参院選で野党共闘を成功させ、国政への進出を果たしました。
共闘のシンボルとして、野党勢力の結集を呼びかけます。
【嘉田由紀子参議院議員】
「小異があるのは当然です。いろんな思いはある。でも小異は捨てなくていいんです。小異を活かして大同につく。どうかこの野党統一、滋賀から進めていただきたいとお願い致します。いかがでしょうか」
徳永さんも「政権交代」を掲げ、必勝を誓います。
【徳永久志候補】
「野党共闘はこれで最後にしたいと思います。次は、与党共闘にしましょう。どうかよろしくお願いいたします」
徳永さんは、2007年の参議院選挙で初当選。
旧民主党政権では外務大臣政務官を務めました。
しかし、その後3度の国政選挙ではいずれも自民党の候補に敗れています。
「野党共闘」という追い風を得てもなお、油断はできません。
【徳永久志候補】
「前回の票の出方がこうだったから、足し合わせればこうなる(勝利する)よねとか、単純な足し算ではないということは当然なんですけども、今までにはなかなか関係の薄かった人たちが、今一生懸命、活動を手伝って頂いているという状況は、非常に大きなポイントだと思っています」
多忙を極める選挙戦。
徳永さんの息抜きは趣味の読書です。
【徳永久志候補】
「あのキングダムという漫画が大ファンで。選挙期間中であった先週の木曜日も、しっかり購入をして、昼休みの時間にこっそりと連載を読んでいたと。ほっとする一瞬ですかね」
激戦が予想される4区には、大物議員も応援に駆け付けます。
【立憲民主党・蓮舫参議院議員】
「この選挙区はわかりやすい選挙区になりました。与党か野党か。野党か与党か。二者択一です。もう1強多弱とは言わせない。国会から逃げ、予算編成から逃げ、総選挙が終わったら何をやるか分からないけど、票を入れてくれたらお配りをするという、そういう無責任な政府・与党にはどうかみなさん。間違っていると、徳永久志を使って、しっかり目を覚まさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか」
徳永さんは、消費税の時限的な引き下げや所得税の見直しをすることで、新型コロナで傷ついた経済の復活を強く訴えます。
【徳永久志候補】
「コロナで痛めつけられた暮らしと仕事をしっかりと立て直していく、それは国民に寄り添うことのできる我々立憲民主党の徳永だと。声を枯らしてお訴えしたいなと」
徳永さんを迎え撃つのは自由民主党の前職、小寺裕雄さん。
新たに発足した岸田内閣で「内閣府大臣政務官」に任命されました。
担当分野は「防災」や「国土強靭化」など多岐に渡ります。
【小寺裕雄候補】
「我々の地域には(滋賀4区)たくさん農業用のため池とかあって、ため池をもう一遍リニューアルしたり、つぶしてなくしたりは国土強靭化の予算を活用してやってきたので、それは農林分野を中心にやってきた私だからこそできる1つの大きな役割かなと考えています」
大臣政務官に就任してわずか1週間余り。
解散を控えた国会へと向かいます。
【小寺裕雄候補】
――Q:.どういった思いで政務官室を出た?
「勝って戻ってきたいよね。正直なところ」
――Q:.初めての一騎打ち、どうみてる?
「いや、正直楽な選挙ではない。厳しいと思います」
前回の総選挙では滋賀県議会議員を辞職して急遽出馬を決意。
国政の経験で得たものは大きいと話します。
【小寺裕雄候補】
「やはり自分なりに地方議員の経験を活かしながらやってきたら、意外とやれるなって手ごたえも感じられたし、実質、選挙戦は始まっているという認識なのですぐに(滋賀に)取って返します」
迎えた出陣式。
地元、滋賀の代表として、地方創生への思いを訴えます。
【小寺裕雄候補】
「滋賀がいつまでも豊かで、皆さんが安心をして暮らせるそんな地域にしたい。そう思ってこの4年間取り組んでまいりました。共に、この地域をより豊かに。素晴らしい地域にするために、小寺ひろおに、小寺ひろおに、ご支援をよろしくお願い申し上げまして、私からの第一声とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます」
「大臣政務官」として、プレッシャーがかかる選挙戦。
接戦が予想される小寺さんの元に、河野太郎広報本部長もやってきました。
【自民党・河野太郎広報本部長】
「ここで、国政にみなさんにしっかりと押し出していただかなければ、せっかくの内閣府大臣政務官、仕事をやる前に終わってしまっては何にもなりません」
【小寺裕雄候補】
「10年前に、あの悪夢と言われた民主党政権の血筋を引く立憲民主党の人たちと、さらに共産党さんまでが一緒になって、野合と言われるような、考え方が全く違うのに、このような人たちに、この厳しい時の国のかじ取りを任せていいのか。そのことが問われている今回の総選挙でございます」
心強い応援を受け、陣営も大きく盛り上がります。
小寺さんは、地元の仲間とともに、かつてない厳しい選挙戦に臨んでいます。
【小寺裕雄候補】
――Q.相手は野党共闘、小寺候補の陣営は?
「うちはもう、従来通り、いつもの人たちでやってるという感じ。努力は結果を裏切らないということを先輩が教えてくれたので、その言葉を信じて結果を出せるようにがんばります」
(カンテレ「報道ランナー」2021年10月27日放送)