マグロでおなじみの近畿大学に、新たな名物が誕生です。
人気ラーメン店がプロデュースした「初代・近大ラーメン」、お店のオープンのウラ側を取材しました。
大阪府東大阪市の近畿大学のキャンパスにラーメン店がお目見えしました。
その名も「近大をすすらんか。」
看板メニューは「初代近大ラーメン」です。
野菜がこんもり盛られ、その上に甘辛く炒めた国産ホルモンが鎮座。
大学時代にラーメン店でアルバイトし、今も週4回は麺をすする記者が実食します。
【記者リポート】
「中太のストレート麺にスープが良く絡みます、ほんのり貝の香りがしますね。甘辛く味付けされたホルモンなんですけど、出汁に変化を加えてこれがまたいいですね」
【近大農学部水産学科3年・西奈槻さん(21)】
「僕、近大生なんですけど、このラーメン僕たちが作ったんですよ」
近大ラーメンの生みの親は、現役の近大生なんです。
学生の起業を支援しようと、近畿大学が店のスペースを提供しました。
実は、近畿大学3年生の西奈槻(にし なつき)さんは、奈良の人気ラーメン店「すするか、すすらんか。」を経営しています。
一番人気の「麻婆豆腐ラーメン」は、本場中国の7種のスパイスで作られた麻婆と太縮れ麺が絡みつくやみつきの一杯です。
【来店客は…】
「美味しい」
「うまい、めっちゃおいしい」
高校生まではプロのドラマーを目指していた西さん。
アメリカへオーディションに行った時に、心境の変化が生まれたといいます。
【西奈槻さん】
「俺ってあんまりドラム好きじゃないなって、好きな人がいすぎて。なんかを通じて人の心を動かすっていうことに、すごい生きがいを感じてて。別にそれがドラムである必要はなかったなっていう。それでドラムっていうのはキッパリ辞めて、今ラーメン屋をやっているっていう人生ですね」
2020年、料理好きの友人・奥野さんとともに、「人の心を動かすラーメン」をつくろうと一念発起。
口コミが広がり、行列のできる人気ラーメン店となりました。
そして、次なる目標が「近大ラーメン」の開発でした。
【西奈槻さん】
「近大マグロっていうブランドが近大にあるじゃないですか、それが頭突き抜けているっていうか…。僕がいま掲げているのが近大系ラーメンって「二郎系」「家系」に劣らない、近大系ラーメンっていうのをこの世に残したいなっていうのも、一つの楽しみじゃないですか」
試行錯誤の末、たどり着いたのが…、ホタテのエキスを抽出したホタテ油です。
昆布やしいたけを煮出した出汁に秘伝のホタテ油を合わせて「初代・近大ラーメン」が完成しました。
【西奈槻さん】
「僕の口癖が『やるか、やらんか』なんですけど、やるっていうことを決めることと、やらないことを決めることってすごい人生において大事やと思っていて、まずやる!やってから色々なことが、世界が見えてきて、やらなかったらまず見えないっていうところなんで。『すするか、すすらんか』っていう選択があって、その奥にやるかやらんかっていう選択があることを僕はラーメンを通して伝えたいなと思います」
何か動き出したくて悩んでいるそこのあなた、「やるか やらんか」。
近畿大学は、「KINDAI Ramen Venture」と銘打ち、西さんが卒業する予定の2023年4月以降もラーメン店を経営したい学生に東大阪キャンパスの飲食スペースを起業支援の場として提供するということです。
ガス代や水道代などは大学が負担。学生は、電気代、共益費、調理器具、原材料費、人件費などを負担し、店舗を経営します。
また、期間は最長1年で、経営する学生は、四半期ごとに決算報告を行う必要があります。
学生に借金を背負わせないため、2期連続で赤字経営となった場合には原則撤退となる仕組みです。
西さんは、自らが卒業した後も、後輩たちが近大ラーメンをどんどん進化させていき、家系や二郎系のように「近大系」として日本中にその名が知れ渡るラーメンを確立してほしいと話しています。
(2021年9月30日放送)