「おつまみ」だけじゃない『ピスタチオ』…スイーツなどにハマる人続出 女性ニーズ高まるワケ【ヒットにワケあり!オカネのヒミツ】 2021年08月24日
全国の輸入実績で、2016年からの5年間、輸入量が右肩上がりで増えているピスタチオ(神戸税関より)。
今、ピスタチオが身近な商品にも色々使われていて、まさにブームとなっています。その裏側にはどんなヒミツがあるのか、ヒットのワケを取材しました。
■“むき身”輸入量2年で4倍以上の会社も
ピスタチオの輸入が好調ということで、やってきたのは神戸港。輸入ナッツが保管されている倉庫に案内してもらうと…。
【薄田ジュリアキャスター】
「お、袋にピスタチオって書いてますね。この中にピスタチオが入っているんですか」
【富永貿易 商品部 青木雄一部長】
「そうですね、この中に約1トンのピスタチオが。これがよくおつまみの用途で使われる殻付きです」
ピスタチオは主にアメリカやイランなどから輸入され、おつまみなどでお馴染みの「殻付き」のほか、殻を外した「むき身」の状態で届くそうです。
【富永貿易 青木さん】
「(むき身は)メーカーさんの方でローストされて、カッティングされて、ペーストにしてお菓子の中に入れたり、アイスクリームの中に入れたり。大手のメーカーさんは今まで使われていなかった製菓原料・原材料としてお使いになる傾向になっています」
今も輸入は殻付きがメインですが、この貿易会社では、むき身の輸入量が2018年からのわずか2年間で4倍以上に急増していると言います。
■「ナッツの女王」が本領発揮
確かに最近、ピスタチオ味のお菓子やスイーツをよく見かけるようになりました。
例えば、スーパーマーケット成城石井で大ヒットしている「ピスタチオスプレッド」は、砂糖などを加えた濃厚なペーストが、今までにない新たなパンのお供として、女性を中心にハマる人が続出しています。
今多くの人をとりこにするピスタチオ。
その魅力は何なのでしょうか。
やってきたのは、神戸にある老舗のナッツメーカー・東洋ナッツ食品。
ピスタチオの売り上げはここ1年で1割ほど伸びているそうで、人気の背景にはこんなヒミツが…。
【東洋ナッツ食品 管理栄養士 大谷奈津実さん】
「ピスタチオは女性の大敵である『むくみ』の予防に効果のあるカリウムや、脂肪燃焼効果の高いビタミンB2、あとは美しい肌や髪の毛に必要なビタミンB6など女性に嬉しい栄養をたくさん含んでいます。『ナッツの女王』と呼ばれております」
ほかのナッツにはない深い味わいに加え、美容効果などに期待できると注目され、女性のニーズが高まっているそうです。
■高くても売れる…外食控えも影響か
さらなるヒミツを求め、ピスタチオを使ったスイーツを扱っている店、大阪市北区の『パティスリー ロネン』を訪ねました。
【薄田キャスター】
「ショーケースの中、色とりどりのケーキが並んでますよ。これですね、ピスタチオ。見た目がすごくインパクトありますね。雨粒をはじいた苔石のような見た目です」
一見、和菓子のようなスイーツは、表面に砕いた抹茶クッキーとピスタチオをあしらい、中に、玄米茶のムースやソース、ピスタチオのブリュレなどを入れたこの店一番の人気商品です。
その味はというと…。
【薄田キャスター】
「口に入れた瞬間に、玄米茶の和の香ばしいコクとピスタチオのまた香ばしいコクが重なって香りでも味わいでも楽しめるスイーツですね」
【パティスリー ロネン代表 西澤拓実さん】
「ピスタチオはケーキ屋では定番のアイテムです。ナッツの中でも高級感があって味も濃くておいしいイメージなので高級な食材にはなってきます」
実はピスタチオはナッツ類の中でも値の張る高級食材。
店内にあったクッキーを見ても、同じナッツで200円近く値段が違います。
【客】
「高いなとは思いますけど。ほんと最近よく見るのでどんどん好きになる感じ」
高くても買ってしまうのは、外食を控える今、贅沢感を求めている人が増えているからかもしれません。
また大阪・梅田で今年3月にオープンしたお店『ハノック』も、看板商品はピスタチオのスイーツ。
新作をレギュラー化するなど、積極的にメニューに取り入れています。
【ハノック パティシエ 須山裕也さん】
「(人気のポイントは)やはり色味。この色のケーキやお菓子は抹茶とかしかなかったところにピスタチオが出てきて。ショーケースの色味としても非常に重宝されます」
その鮮やかな緑色はファッション界でも注目され、「ピスタチオグリーン」と呼ばれるトレンドカラーにもなっています。
ただおいしいだけでなく、見た目の美しさが人気を後押ししているようです。
■ピスタチオが好き過ぎるプリン専門店のオーナー
そんなピスタチオ人気が広がる中、密かにブームを盛り上げるお店を見つけました。
3か月前から週3日間だけピスタチオスイーツの販売を始めたお店『プーサン』。
実は、本業は13年続けるプリンの専門店なんです。
【プリンのお店 プーサン 松本伸オーナー】
「ずっと(ピスタチオが)好き過ぎてやりたいなと思っていたんですけど、一念発起してついに始めました。一番は特別感。ミックスナッツでも一人だけ殻に守られているあの特別感がなんとも」
オーナーの松本さんの独特なピスタチオ愛から生まれたスイーツブランド、その名も「ピスタチオ愛好会」。
メニューに合わせて産地を変えるこだわりようで、一つ一つ丁寧に手作りしています。
愛が詰まった、ピスタチオのプリンのお味は…。
【薄田キャスター】
「舌にのせる手前で香ばしい香りがフワって。なめらかなプリンの中にピスタチオがどんだけ入ってんのっていうぐらいです」
【松本さん】
「ここは贅沢に入れてますね」
お客さんの評判も上々ということで、今後もピスタチオの魅力を伝えていきたいと話します。
【松本さん】
「個人的にはもうちょっと静かにやりたいなぁとは。深くゆっくり、ほんまに好きな人と話し込める時間を過ごしたいです」
(関西テレビ8月24日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)