戦後76年となり、戦争体験者の高齢化が進んでいます。
そんな中、戦時中のモノクロ写真を最新技術などによってカラー写真にする取り組み「記憶の解凍プロジェクト」が進んでいます。
8月6日、広島に原子爆弾が落とされました。
10万人以上が命を落としたとされています。
プロジェクトによって、当時撮影されたモノクロだった「きのこ雲」の写真が、カラー化されました。
大阪府枚方市では記憶の解凍プロジェクトから選ばれた写真を展示するイベントが開かれました。
爆発する特攻機の写真や、やせ細った日本兵のカラー写真が展示され、親子連れからお年寄りまで様々な人が訪れました。
この「記憶の解凍」プロジェクトを行っているのが、東京大学大学院の渡邉英徳教授と広島出身の東京大学2年、庭田杏珠さんです。
現代のカラー写真とそれをモノクロに加工した写真、数百万枚を使って、人工知能AIに学習させ、自動的に色付けします。
しかし、その作業で最も重要なのは、技術による色付けではなく、資料を調べ、戦争体験者への聞き取りを行い、実際の色に近づけていく作業です。
戦時中に撮られた家族写真。
写真を提供した戦争体験者との対話によって、映っている花の色付けが変わりました。
【東京大学2年生 庭田杏珠さん】
「植物図鑑で調べて映っている花がシロツメクサだと判断したので(白っぽくした)。実際にお話しさせてもらった時に、これはタンポポ畑だったんだとお話されて」
【東京大学大学院 渡邉英徳教授】
「いろんな人と対話しながら、一緒に色を再現していくというところこそが、実は一番人間らしいところ。人と人じゃないとなしえないことだし、人と人がやるからこそ意味があるプロセスが、記憶の解凍の実は一番大事なところ」
戦争を知る人がいなくなる未来。
AI技術と戦争体験者との対話によって色づけられた写真が戦争の記憶をつなぎます。
(カンテレ「報道ランナー」8月12日放送)