ゲーム配信から3か月弱で700万ダウンロード突破し、注目を集めている「ウマ娘 プリティーダービー」
今なぜ、こんなに人気なのでしょうか?
その秘密を探りました。
「ウマ娘 プリティーダービー」は、実在する競走馬をモデルにしたキャラクターを育成し、レース勝利を目指すゲームです。
「ハルウララ」や「サイレンススズカ」など、誰もが耳にしたことのある名前のキャラクターも登場します。
2月の配信開始以来、瞬く間に注目を集め、5月14日には、3カ月弱で700万ダウンロードを突破するなど、勢いが止まりません。
「ウマ娘」プロジェクトが発表されたのは2016年。
その後、漫画や音楽など様々なメディアでの展開がスタートしました。
2018年4月にはアニメ化。
今年1月には第2シーズンもスタートし、話題となりました。
競馬実況歴16年の関西テレビ・吉原功兼アナウンサーも、ちょこっと登場します。
アニメ第1シーズンのDVDの特典映像で実況しました。
【アニメでの吉原アナウンサーの実況】
「実況は私・吉原と、解説・細江さんでお送りします」
「スペシャルウィーク迫る迫る迫る!並んだ!スペシャルウィーク、皐月賞の主役に躍り出ました!」
人気の秘密は一体何なのでしょうか?
注目点は、競馬ファンの心をくすぐる再現度の高さです。
■競馬ファンの心をくすぐる再現度の高さ「その1」 …競走馬の個性をキャラクター化で忠実に再現
例えば、アニメに登場したキャラクターの「トウカイテイオー」が見せた独特の歩き方。
これはモデルとなった競走馬「トウカイテイオー」が、レース直前にしていた「テイオーステップ」と呼ばれる、弾むような足取りを再現しています。
馬に対する愛を感じますね。
■競馬ファンの心をくすぐる再現度の高さ「その2」…あの名実況をアニメでも!
競馬ファンの心をくすぐる点と言えば、注目して欲しいのが、当時の名実況まで再現しているところです。
例えば、1992年の産経大阪杯(G2)。
競馬実況の神様と呼ばれる、杉本清アナウンサーの当時の実況がこちら。
【92年 産経大阪杯】
「トウカイテイオー3番手。トウカイテイオー3番手。まだ岡部(騎手)の手はほとんど動いていない。トウカイテイオー3番手。前の2頭はもうどうでもいい!」
前の2頭は、もうどうでもいい…こんなことまで言ってしまったこの実況について、杉本清さんにお話を伺いました。
【元関西テレビアナウンサー・杉本清さん】
「ファンも待ち望んでいた、およそ1年ぶりのトウカイテイオーの復帰レースで、ファン代表として出てしまった言葉です」
これがアニメの中でどうなっているかというと…
【アニメ 第2シーズン 実況】
「トウカイテイオー3番手。トウカイテイオー3番手。まだ動かない。まだ動かないぞ。トウカイテイオー。前の2人はもうどうでもいい!」
こうして、名実況もちゃんと再現されています。
競馬への惜しみないリスペクトと、可愛らしいキャラクターが融合したことで、競馬ファンのみならず、ゲームやアニメファンの心をつかむことができたのです。
(カンテレ「報道ランナー」 Hello!ニューノーマル「よのなかラボ」 5月20日放送)
■【解説】アニメ・ゲーム・漫画などで「マルチ展開」…幅広い層に支持される「ウマ娘」
この作品、制作者の競馬への熱い想いを感じます。
実況も含めた競馬のロマン、サラブレットの歴史などを、徹底した取材に基づく、こだわりをもって表現しているんです。
「if展開」=「もしも」ということを見せてくれるのも魅力の一つです。
サラブレットは当然しゃべれませんが、もし仮にしゃべれたらどうなるんだろうと。
競走馬をキャラクター化した「ウマ娘」が、まさに代弁してくれていると感じます。
過去の名馬と「ウマ娘」を照らし合わせながら、気持ちをリンクさせていくということです。
そして、競馬を知らない方でも問題ありません。
ゲームなどでは、キャラクターの育成で楽しむこともできますし、「スポ根」の要素もあります。
「ウマ娘」が大きなレースに向かって涙ぐましい努力を積み重ね、時にはケガもしながら頑張って栄光を目指すドラマもあって、泣けるんです。
関西テレビの竹上萌奈アナウンサーは「私はアニメにハマって全部見ました。性格が本当に良く再現されていて、ゴールドシップちゃんと、メジロマックイーンちゃんの絡みが最高にかわいいんです」などと話していましたが、競馬ファンのみならず、アニメが大好きな人、スポ根モノが好きな人など、幅広い層に支持されるところが人気の理由です。
アニメ・ゲーム・漫画などでマルチ展開されるという、いかにも今らしい作品だと思います。
(関西テレビ放送アナウンサー 吉原功兼)