大阪・関西万博の会場予定地「夢洲」 視察した参加国からは"期待"と"懸念" 「コスト高騰」や「夢洲へのアクセス」など課題のクリアがポイントに 2022年11月14日
10月25日と26日の2日間行われた「大阪・関西万博」の「国際企画会議」。参加を決めた各国の代表者が予定地の視察などを行いました。各国の代表らからは期待、そして懸念の声も聞かれました。
10月26日の朝、5台のバスが大阪・関西万博の会場予定地に乗り入れました。
「夢洲」に降り立ったのは、万博の現状を共有するために開かれた「国際企画会議」の参加者たち。100以上の国と地域から万博担当の代表者らが現地を視察しました。
2年半後、万博会場の中心になる予定の場所から、周囲を見渡します。各国の代表らは、自分の国のパビリオンの場所がどのあたりなのか、確認しました。
まだ一面が更地状態の予定地を見て、ポーランドの代表者は、「空っぽという印象ですねと」感想を述べたあとに、2年半後に向けた期待を語りました。
【ポーランド万博担当 エリザ・クロノフスカ・シヴァクさん】
「日本の習慣だと思うけど、最初は決めるまで時間かかるかなというところ。着工したらすぐ完成するということで、すごく期待しています。(ポーランドのパビリオンは)恵まれた場所に置かれているんじゃないかと思います。(大屋根の)リングも特に近いし、夜のイベントがよく見られるかなと」
ポーランドは、10月25日夜に大阪で行われた調印式で、各国に先立って参加契約した9カ国のうちの1つです。
2021年から2022年にかけて行われたドバイ万博では、パビリオンの建物から独自で建設する「タイプA」の方式で出展。「渡り鳥」をコンセプトにしたデザインは最優秀賞を受賞しました。
日本でも、ドバイ万博と同様にタイプAで出展する予定で、現在、外観のデザインの募集を行っている最中です。
パビリオンの建設が始まるのは2023年の春。建設に向けた準備が進む中、懸念もあるといいます。
【ポーランド万博担当 エリザ・クロノフスカ・シヴァクさん】
「コストは非常に大きな悩み。世界共通ですね、その問題は。円安だけではなくポーランドでもインフレがひどくなってきます。これから予算もっと見直さなければならなくなるんじゃないかなと思います」
パビリオンに使う資材は日本でも調達するため、円安や価格の高騰が予算に大きく影響します。
この状況は、日本も同じです。大阪府と大阪市、民間企業が出展する「大阪パビリオン」は、当初、建設費は約74億円と見込んでいました。
しかし、物価高騰の影響などで115億円に。10月26日の府議会で、追加の整備事業費として約20億円の補正予算案が賛成多数で可決されました。
さらに、大阪の市街地から夢洲までのアクセスも課題の一つです。車を使った場合、この人工島へのアクセスは、橋とトンネルの2つだけ。パビリオンの建設が一斉に始まると渋滞が起き、工期に影響が出る可能性もあります。
【ポーランド万博担当エリザ・クロノフスカ・シヴァクさん】
「(視察で)道路ができているということは確認できたんですけど。建設に入るならトラックとか色々な建設機械が入ると思いますが、もしかして混み合うんじゃないかなと。私だけじゃなく皆が気になるところです」
ドバイ万博の開催が新型コロナで1年遅れ、大阪万博への準備期間が短くなっていることも影響しています。
迎える側の大阪市・松井市長は…
【大阪市・松井一郎市長】
「時間があるようでないので、パビリオンの建設にあたって建設の許可は大阪市がやる。市でもスムーズにお手伝いができるようにするというのを伝えました」
万博の開催までおよそ2年半。今、見えている課題への対応が急がれます。
(関西テレビ記者 沖田菜緒)