【急展開】事件から9年 逮捕の“4つの根拠"とは?「餃子の王将」社長射殺事件 暴力団幹部を逮捕 過去の“不適切な取引”解消の取り組みは事件と関係? 2022年10月28日
9年前、「餃子の王将」を運営する会社の社長が銃撃され、未解決だった事件。28日、急展開を迎えました。
警察は、殺人などの疑いで特定危険指定暴力団・工藤会系の組幹部田中幸雄容疑者(56)を逮捕しました。
田中容疑者は、ゼネコン社員を狙った銃撃事件で、2019年に懲役10年の実刑判決を受け、福岡刑務所で服役中でした。
■「名物社長」として知られた大東さん
銃撃され死亡したのは王将フードサービスの当時の社長、大東隆行さん(当時72歳)です。
大東さんはたびたびテレビ番組にも出演し、王将の名物社長として知られていました。
大東さんは事件当日、午前5時半ごろに山科区の自宅から車で会社に向かい、車を降りた直後、何者かに胸や腹を4発、銃撃されました。
大東さんが、毎朝誰よりも早く来て、本社の前を1人で掃除する日課は近所でも有名で、犯人は大東さんの行動を把握した上で駐車場近くで待ち伏せしていたとみられています。
車などには大東さんの所持金現金百数十万円が残されていたことから警察は、金目当てではなく、「強い恨みを持つ者」の犯行と見て捜査を続けていました。
しかし、「恨み」や「トラブル」について王将フードサービスは事件当時会見で以下のように説明していました。
【「王将フードサービス・鈴木和久専務(当時)】
「トラブルにつきましては現在のところ思い当たるようなふしは全くございません」
■逮捕に至る4つの根拠
警察は発射された4発全てが大東さんに命中していた事から拳銃の扱いに長けた人物、つまり、暴力団の犯行ではないかとみていました。
また、犯人がバイクで逃走したとみて現場近くに乗り捨てられた複数のバイクを調べていて、そのうち1台からは銃を発射した際に出る火薬の成分が検出されました。
さらに、別に押収した盗難バイクが犯行時間帯に現場近くを走行していて、その際、九州地方のナンバープレートが取り付けられた不審な車が並走。車はそのまま福岡県の空港に向かっていたことも分かっています。
そして、現場近くで見つかったたばこの吸い殻を調べたところ検出されたDNA型が田中容疑者のものと一致したのです。こうしたことから今回の逮捕に至りました。
大東さんと趣味を通じて知り合ったという友人は逮捕の一報に…。
【大東さんの友人】
「なぜ大東さんが殺されたのかが知りたい。相手の気持ちを思うような方でした。敵を作るような方ではなかったと思いますのでどこでそうなったのかが分からない」
■なぜ大東さんの命は狙われたのか
周囲から慕われていたという大東さんはなぜ殺害されなければならなかったのでしょうか。
事件を受けて王将は、反社会的勢力との関係を調べる第三者委員会を設置。
結果として関係は無かったということですが、別の事実が明らかになりました。
【第三者委員会】(2016年)
「過去に第三者との間で貸付金や不動産取引など不適切な取引があった」
報告によると、王将は1995年からおよそ10年間、ある人物が関係する企業グループとおよそ260億円の不適切な取引を繰り返していました。
ある人物とは王将の創業者と親しかったA氏。一連の取引は当時、代表取締役専務だった創業者の次男が主導していました。
A氏はゴルフ場を運営し、九州に複数の不動産を所有。
1989年に大阪市内の王将の店が火災を起こした時には被害者の遺族との和解交渉をA氏が引き受けていました。
A氏と王将の取引は土地や建物のほかゴルフの会員権の購入など、総額およそ260億円に上り、そのうちおよそ170億円が回収不能になっていました。
大東さんは2000年に社長に就任したあと…
【第三者委員会】(2016年)
「A氏との不適切な取引を解消しようとして努めておられた」
A氏との不適切な取引を時間をかけて精算し、2013年11月に取引の実態と再発防止策についての報告書をまとめていました。
しかしその1か月後に銃撃事件が起きてしまいました。
一連の不適切な取引と関連があるのか、そして田中容疑者は何を語るのか…
真相究明が待たれます。