近畿地方の水がめ、琵琶湖を抱く滋賀選挙区。
6年前の参議院選挙から野党共闘が進められ、前回は野党統一候補で元滋賀県知事の嘉田由紀子さんが競り勝った1人区です。
しかし、今回は野党側の支持母体の1つ・連合滋賀の意向もあり、共闘は実現せず。
その結果、過去2番目に多い与野党合わせて5人が立候補する混戦となっています。
■「嘉田さんの後に続く」立民を離党して挑む 無所属・田島一成候補
【新人・無所属・田島一成(たじまいっせい)候補(60)】
「本当に現場は苦労している、苦労している現場の声にしっかり耳を傾けてそれを政策に反映するのが政治家の仕事ではないでしょうか」
無所属で立憲民主党・国民民主党が推薦する、新人の田島一成さん(60)。
物価高への対策として、消費税の減税やインフレ手当の支給を政策に掲げています。
陣営の合言葉は、「3年前の勝利をもう一度」。
嘉田さんの後に続こうと、幅広い団体の支持を得るために立憲民主党を離党しました。
【新人・無所属・田島一成候補】
「野党候補の一本化が図れなかったというのは残念だと思っています。私自身が考え方とか、また公約とかに変化があったわけでもなく、特段その点で批判を受けるということは一切ありませんので。私らしく選挙臨ませていただいています」
特技はトライアスロンで、「足ではどの候補者にも負けない」と自負する田島さん。
しかし、2021年秋に出馬した衆議院選挙では、事務所で作業中に椅子から転落。
左大腿骨を骨折するケガを押して戦うも、自民党候補に敗れました。
【新人・無所属・田島一成候補】
「松葉杖で同情もいただきましたけれども、やっぱり自分自身が望むような選挙態勢、選挙戦ができなかったという悔しい思いもありました。その分、今回は前回のリベンジも兼ねて、戦わせてもらってます」
■前回の衆院選時の“仲間”と議席を争うことに… 共産党・石堂淳士候補
【新人・共産党・石堂淳士(いしどうあつし)候補(48)】
「物価の高騰が暮らしを直撃し、1日1日の生活が本当に大変になっている。こうした冷たい政治は、参議院選挙で審判を下そうではないか」
共産党の新人・石堂淳士さん。
2021年の衆議院選挙で、共産党は滋賀2区から出馬した田島さんなど、「野党共闘」の候補を支援していました。
しかし今回は、かつての仲間と議席を争うことに・・・
【新人・共産党・石堂淳士候補】
「市民との約束を半年で反故にするっていうのは、やっぱり政治家として裏切りでしかない。ちゃんと市民との約束を守るっていうことを、私どもはしっかり訴えて選挙に生かせられればいいかなという風に思っています」
梅雨明けを迎えた翌日、滋賀県内の最高気温は36.5度まで上がる中、選挙活動で走り回ります。
照り付ける厳しい日差しに、石堂候補も徐々に日焼けしてきました。
【新人・共産党・石堂淳士候補】
「日焼けし過ぎて顔がかゆいよ昨日から。この辺が」
【事務所のスタッフ】
「日焼けは止め塗ってる?」
【新人・共産党・石堂淳士候補】
「顔に塗ってる」
【事務所のスタッフ】
「塗ってそれ?」
【新人・共産党・石堂淳士候補】
「めっちゃ失礼やな、言い方が!すまんな!塗ってこの程度や(笑)」
消費税減税を訴えるとともに、自民党が進める防衛費の積み増しに異論を唱えます。
【新人・共産党・石堂淳士候補】
「安保法制を排除し、9条を守り抜く仕事。選挙区はわたくし石堂淳士に平和の願いの一票を託してください」
■野党統一候補に敗れた3年前のリベンジを…自民党・小鑓隆史候補
【現職・自民党・小鑓隆史(こやりたかし)候補(55)】
「この得体のしれない(コロナ)ウイルスに勝ち抜く、強い意志でこれまで一体となりながらやってまいりました。かつてのにぎやかな滋賀県・日本に戻していく。その大事な大事な時期が今です」
新人候補を迎え撃つのは、二期目を目指す自民党の現職・小鑓隆史さん。
菅内閣では厚生労働省・大臣政務官として新型コロナワクチンの調達などに関わりました。
更なる感染症の波に備える医療体制の整備や、新型コロナで傷ついた経済の再生を公約に掲げています。
3年前、野党統一候補に敗れて議席を失った自民党。小鑓さんが持つ議席は絶対に譲れません。
【現職・自民党・小鑓隆史候補】
「我々としては、どういう状況になってもしっかり訴えて、我々の気持ちを伝えられるように、我々側の体制を構築していくということに尽きると思います」
過酷な暑さの中、街頭に立つ小鑓さんを、支援者たちが強力にサポートします。
【支援者】
「水分補給してくださいね。倒れたら大変やし。甘いのがよろしいでしょ、疲れた時には」
選挙期間中のつかの間の休息、多くの女性支援者に囲まれて、この時ばかりは小鑓候補もリラックスした様子が伺えます。
【現職・自民党・小鑓隆史候補】
――Q.ものすごい女性人気ですね?
「あはは、いやありがたいですね」
【現職・自民党・小鑓隆史候補】
「6年前と比べて、一緒に戦う仲間も増えましたし、その関係も深くなったので。最後まで支援いただく皆さんの支えによって走りぬくということしかないと思います。しっかり勝ち抜いていきたいと思います」
今回も議席を死守できるか、小鑓候補にとって緊張の日々が続きます。
■NHK党、諸派からも
【新人・NHK党・田野上勇人(たのうえはやと)候補(57)】
「海外と比べて、やっぱり日本の少子化問題って深刻だと思うんですね。複数婚が可能であれば、いろんなものが解決できる」
NHK党からは、年金受給者のNHK受信料無料化のほか、少子化対策として多夫多妻制度の実現を公約に掲げる、田野上勇人さん(57)が立候補しています。
このほか、諸派の新人・片岡真(かたおかまこと)さん(30)が立候補しています。
3年前の野党共闘が無くなったことが、今回の参院選にどう影響するのか…。
当選するのは1人だけ、5人の候補の誰が選ばれるのか。
投開票日は7月10日です。
(2022年7月5日放送)