【いっくん&あっくん】
「宇宙の皆さんこんにちは!地球の皆さんこんにちは!僕たちはTHE宇宙少年ズです」
宇宙が大好きな2人の小学生が始めた、前代未聞のプロジェクト!!
【いっくん&あっくん】
「3、2,1」
上空3万mまで気球をあげ、宇宙人にメッセージを届けようというのです。
2人の夢は、果たして、どんな結末を迎えたのでしょうか!?
スペースバルーンで宇宙に声を!
今年1月、京都市を流れる鴨川で、なにやら実験をしている二人の男の子がいました。
小学校6年生のいっくんと、小学校5年生のあっくんです。
宇宙に向けて打ち上げる機材の耐久性に問題がないか、入念に確かめています。
【いっくん】
「宇宙から落ちてくるときはパラシュートで落ちてくるので、落ちてくるときの速度が…」
試行錯誤を重ね、今の形が出来上がりました。
【あっくん】
「だいたいこれぐらいかなって思って、ここで実験していました」
【いっくん】
「この構造で浮くっていうことがわかりました」
2人は「スペースバルーン」という特殊な気球を使って宇宙に挑みます。
スペースバルーンは、空気よりも軽いヘリウムガスの浮力によって、宇宙の入り口といわれる「成層圏」に到達します。カメラなどを搭載することで、気象観測から企業広告の撮影まで、幅広く利用されています。
「宇宙飛行士になりたい」
いっくんは京都市内の小学校に通っています。
両親と妹の4人家族。オンラインゲームが大好きな少年です。
いっくんには夢があります。
【いっくん】
「宇宙飛行士になりたいって前からあって、地球の資源がなくなったら、宇宙にいかなあかんって説があるから、それやったら先に…その頃は誰でも宇宙にいける環境かもしれへんけど、宇宙には絶対行ってみたいなっていう思いがあって」
宇宙に挑戦するのは大人になってから…そう思っていましたが、
【いっくん】
「YouTubeにスペースバルーンの動画が出てきて、人が宇宙にいかんでも風船だけで宇宙を撮影できるのがすごいと思った」
放課後教室で始まったプロジェクト
いっくんが通っている放課後教室。
「やってみたい!」と思うプロジェクトをサポートを受けながら実践することができます。
ここで仲良くなったあっくんと一緒に、スペースバルーンに挑戦する「THE宇宙少年ズ」を結成することを決めました。
【あっくん】
「あはは いっくんやっちゃたね~」
二人は、スペースバルーンの実績が豊富な徳島大学の佐原准教授らを自ら見つけ、協力を取り付けると、約220万円の費用はクラウドファンディングで集めることに。
多くのお金を集めるにはどうすればよいのか、何度も何度も話し合って「宇宙人に声を届ける」プロジェクトにたどり着きました。
(THE宇宙少年ズのYouTube動画)
【いっくん】
「このプロジェクトは風船を成層圏っていう宇宙と地球の境目でよく知られている場所に風船を飛ばして、声を届けます。宇宙人に声を配信します」
支援してくれた人にはメッセージ動画を成層圏で流す権利などをお返しにしました。
その結果、289人から約230万円を集めることに成功しました。
――Q:へこたれそうになったことは?
【いっくん】
「あります。何回か。クラファンの文章を書いてたときとか、何回も直してってなって…。一回、何のために書いているのかわからなくなりました」
「今更「やっぱりクラファンできませんでした」とか言ったら、向こう(協力してくれてる)側も「えー」ってなると思うから。やめるって言ったらあかんと思った」
いっくんとあっくんも、宇宙人へのメッセージを収録します
「宇宙の皆さんこんにちは!僕たちTHE宇宙少年ズです!僕たち地球人はあなたたちに興味津々です!僕たちは地球で、宇宙と地球をつなぐユーチューバーをやっています。ぜひコラボしましょう。バイバ~イ!」
これで宇宙人に届ける動画の撮影はばっちり!
しかし肝心のスペースバルーンの機体は…まだ色々と作業が必要なようです。
(相談する2人)
「4等分にしなあかんってことやでちゃんと」
「どういうこと?」
「ここをちゃんと4等分にしなかったら、斜めやったらあかん、ってことやろう」
「わからん、まぁそんな感じやと思う」
専門家のアドバイスを受けながら、様々な実験を繰り返してきました。
しかし拡声器ほどの重たいものをスペースバルーンで打ち上げたことはあまりなく固定の仕方がわかりません。
打ち上げまで一か月を切りました。
危機感のない2人に…
【放課後教室のスタッフ】
「一旦休憩するけど、やばい!っていうことが起きています。結構、すごい和やかな雰囲気の中、非常にやばいことが起きています。それだけ理解してください」
残された時間はあと少し…成功も失敗も、自分たちの責任です。
がんばれTHE宇宙少年ズ!
準備に10カ月…大興奮の打ち上げ
打ち上げの日を迎えました。
朝5時。京都から、発射地点の三重県香良洲(からす)漁港に向かいます。
漁港に到着すると…ぎりぎりまで苦戦していたスペースバルーンは完璧にできあがっていました!
発射まであと2時間、黙々と打ち上げの準備を進めます。
そしていよいよ10か月間の成果が試されるときです。
2人のカウントダウンで打ち上げが行われます
2人の手を離れ、バルーンはどんどん空へとのぼっていきます
思わず絶叫!大興奮のいっくんとあっくん
【いっくん】
「なんかすごかった、すごかったです!」
――Q:なんで絶叫してたん?
【あっくん】
「うれしかったから」
「宇宙は近かった」
スペースバルーンは成層圏で気球が破裂し、静岡県沖に落ちたカメラなどを積んだ機体を回収しに向かいます。
引き上げられた機体、大きな損傷もない様子。
気になるのは宇宙での様子が収録されたSDカードの状態です。
【放課後教室のスタッフ】
「さっそくパソコンで確認だね。見ましょうか」
地上25000mまで上がったスペースバルーン。
メッセージは、宇宙の入り口で確かに響いていました。
【いっくん&あっくん】
「おーすごい!大成功やん!やば!」
自分たちと応援してくれた人の声を宇宙人に届ける目標は無事達成されました。
【いっくん】
「(宇宙は)近かったです」
【あっくん】
「1年で行けたから近かった」
【いっくん】
「俺は宇宙飛行士になりたいと思っていたけど、宇宙飛行士って色んな人が支えているから宇宙飛行士やから、宇宙飛行士じゃなくても宇宙産業とか宇宙に関わる仕事になりたいなと思いました」
大きな目標に挑んだ10か月。宇宙を夢見る少年たちは、少し大人になりました。
バルーンに搭載された拡声器から、地球を代表するかのような元気なメッセージが響き渡っていました。
「宇宙の皆さんこんにちはー!!!僕たちTHE宇宙少年ズです!」