3月21日、堺市内で開かれた舞台。
舞台に立つのは、障害のある人や不登校の生徒、子どもに高齢者など様々な人たち。
テーマは、「誰もが輝く主役であれ」です。
1年以上かけ、ようやく 開催することができました。
【岩月聡志さん】
「この1年半、みんなと過ごした時間は本当にドラマのような時間で、本当に本当に幸せでした」
【学生】
「どんな環境だって見た目だって何歳だって関係ないよねって、夢を追いかければ誰でも輝けるよね、仲間になれるよねって。出演者の思いを演出する、それは絶対」
舞台の構成を練っているのは、関西大学の学生たちです。
発案者の岩月聡志さんには、ある思いがありました。
【岩月聡志さん】
「僕自身が高校2年生の時に父親を突然亡くして、人って生きることが当たり前じゃないんだって気付いて、障害者の人とか高齢者の人と出会って、何か生きることだけでも生きづらさを抱えていたりとか、社会の目が偏見で挑戦できなかったりとか、夢を持てなかった人に出会って、もっとそういう人が生きるだけでも幸せになって欲しいなと思って」
岩月さんは自ら施設などを回り、舞台に参加してくれる人を探しました。
様々な事情を持つ人が世代を超えて練習していくことになりました。
■不登校だった人も障害を負った人も…皆が前を向くことができる舞台を目指して
演劇やダンスに参加する乗鞍愛花さん(14)。
小学校の時に不登校になりました。
【乗鞍愛花さん】
「これがきっかけで、人とスムーズに話せるようになりました。学校では自分が合わせていて、学校のキャラが自分ではあんまり好きじゃなくて、ここ来た時に自然と自分の素が出せて、生き生きしてしゃべることができるようになって」
学校にはない楽しさがここにはありました。
参加者の中には高校生の時に 障害を負った男性もいます。
金澤功貴さん(23)。
ラグビーの練習中に、首の骨を折り、車いすでの生活を余儀なくされました。
【金澤功貴さん】
「180度変わったといっていいくらい、ラグビーもそうですし、今まで当たり前にできていたことが急に当たり前じゃなくなったので、そこはすごい変わったことでもあるし、けがした当初はすごいショックでもあった」
それでも、周りにいる仲間たちの存在があったからこそ、けがを受け入れ、前を向けるようになりました。
金澤さんは、自身の体験をもとにプロの歌手と一緒に歌詞を作り、気持ちをラップで伝えることにしました。
【金澤功貴さん】
「仲間がいたから僕もまっすぐ進めましたし、自分がまっすぐ進んでいたから仲間もサポートしてくれたと思うので、聞いてもらっている人に少しでも伝わればいいなと思う」
舞台に必要な費用はクラウドファンディングを使い、賛同してもらえる人から募りました。
本番まで、あと2週間。
しかし、想定していなかった事態が。
【岩月聡志さん】
「コロナコロナ言われるのが嫌で、色んなイベント中止になってきているので、きついですね、やれないのはまだ考えられないです」
岩月さんが下した決断は、開催の延期でした。
大学を卒業した岩月さんは企業に就職はせず、不登校になった子供たちを支える活動を始めます。
孤独や不安を抱えている子供や親が気軽に交流できるようにする居場所は、不登校を経験した仲間の声を参考にしました。
【岩月聡志さん】
「(子供が)住むっていうよりも通える場所、学校でもない塾でもないフリースクールでもない自分が許せる場所。ありのままが、ここだったら表現できる場所にしたいなって」
仕事は順調に進む一方で、舞台については、緊急事態宣言などもあり3度延期となりました。
それでも、開催できると信じて、練習を続けました。
しかし、感染のリスクなどを考え本番に参加できない人も出てきました。
【岩月聡志さん】
「出られる子たちでダンスをやるのも一つの手かなって思ったけど、出られなかったメンバーがどう思うかとか」
【運営メンバー】
「ダンスはどこにいても振付が踊れているんだったら、どの場所にいてもつながれるし、それを1つの作品にすることで、みんなで作り上げたっていうのは表現できる」
どうしたらみんなが一緒に輝けるか。
最後の最後まで、話し合いました。
■等身大の気持ちを歌に乗せて…誰もが輝けるステージ
3月、ついに迎えた開催の日。
一般の観客の受け入れは断念しましたが、それぞれが伝えたい思いをもって本番に臨みました。
トップバッターは、金澤さん。
等身大の気持ちを歌に乗せます。
【金澤功貴さん】
「ラップをすることって普通に生活していたら絶対ないことなので、ありがたいし良い経験をさせてもらえた」
ここにいるのは、ありのままの自分。
当日会場に来られなかった参加者も、動画で共演します。
そして迎えたフィナーレ。
【岩月聡志さん】
「あなたが輝く場所は必ずある。人は違いがあるからこそ人生を豊かにできる、今日僕たちの輝いた姿が誰かの一歩を踏み出す勇気になると信じて、輝けthis is me」
誰もが輝ける場所は必ずある。
これが私だ。
(カンテレ「報道ランナー」3/25放送)