東日本大震災から10年となるのを前に、大阪の百貨店で始まった東北物産展。
その会場に、阪神・淡路大震災で父親を亡くした女性がいます。
10年間、東北の被災地と交流を続けてきた彼女がいま、伝えたいこととは?
小島汀さん(29)。
3日から『あべのハルカス近鉄本店』で始まった東北物産展の一角で働いています。
【小島汀さん】
「関西で東北物産展ということができなかったので、東北物産展を楽しみにしている人が多いのかなって気合入れてました」
3歳の時、阪神・淡路大震災で父親を亡くした小島さん。
【小島汀さん(2011年3月)】
「自分にできることを探す思いで東北の現状を受け止めようとしました。しかしながら何もできない自分に無力さを感じ、とても悔しく思いました」
同じ震災で、辛い体験をした自分だからこそ、できることは何か…
大学を休学し、東北の被災地に住み込んで地元の人と触れ合い、その経験を関西の人たちに伝えてきました。
【小島汀さん(2014年)】
「自分に何ができるかなってずっと考えてたんです。何回か行ったところで、私が行ったことで被災地がどう変わるって正直なくて。ある中学校を訪問した時に、校長先生が『子どもたちにとっての未来の姿を見せてくれたらそれでいい』って。私が東北に行っただけで、18年経ったら自分もこうなれるんかなって。『未来像になれたらいいから、背負わずにただ東北に来てくれたらいいよ』って言われて楽になった」
■「東北のファンを作りたい」 就職したのは『東北わくわくマルシェ』
つながりつづけてきた東北への想い。
汀さんは去年、百貨店の催しやイベントで東北産の商品を販売する「東北わくわくマルシェ」に就職しました。
【小島汀さん】
「1月はさすがにしんどかった、1カ月帰れなくて。九州をめぐってた。東北が好きやから、東北のおいしいものとか、知ってもらいたいと思うから、それを全国の人に伝えられるのはうれしい」
去年訪問した宮城県石巻市の洋菓子店。
店舗の一つが津波で使えなくなりましたが、被災者に笑顔を届けるために、プリンを作り続けていることを知りました。
【小島汀さん】
「そういう話を聞くと、そういった思いとかも込めて全国に届けたいと思う。東北のファンを作りたいというか…そうやって東北に触れてもらえることによって、東日本大震災も忘れられないっていう…どこかにそういう気持ちがあるんやと思う」
そして、始まった「東北物産展」。
各地の名産を求めて、たくさんの人たちが訪れました。
商品の背景にある東北の現状を丁寧に説明します。
【接客する小島汀さん】
「震災で蔵が流されてしまったけど、去年ようやく蔵ができて、今がんばっている酒蔵」
東日本大震災からまもなく10年が経ちます。
【小島汀さん】
「10年だからといって、何かが、感じることが変わることもないけど、10年経ってもこれから先も東北の方々とつながりたいし、東北をずっと思い続けていきたい」
(カンテレ「報道ランナー」3/3放送)