大阪・ミナミの雑居ビルの階段を降りた先にあるのは…日本から海外にお金を送る『海外送金所』。
ここに集まる人は、国籍・抱える事情・送る金額も人それぞれです。
――Q:誰に送金したんですか?
【ネパール人留学生】
「夫の母」
――Q:(義母は)どこにお住まいですか?
「ネパール。誕生日のためにギフト」
夫と離れ1人で来日したネパール人女性。
将来グラフィックデザイナーになるため、専門学校で勉強中です。
【ネパール人留学生】
「私就職終わったら旦那さんも来る。日本の就職のためにちょっと頑張ります」
生活費や学費はアルバイトで稼いでいます。
【ネパール人留学生】
「仕事はセブンイレブンのレジ。お金のカードがちょっと色々なカードあってちょっと難しい。店長さんにいつも教えてもらっていいですか、教えてもらっていいですか(と言っている)」
海外送金所『KYODAI Remittance』。
送金できるのは、世界200カ国以上。
手数料が500円から2000円と銀行より安く、届くまでの時間も早いため、毎日多くの人が訪れます。
【ネパール人女性】
「学費は払うときに向こう(父親)からもらってて、そのお返し」
【ブラジル人男性】
「毎月もそうやし、たまたま。年末とか、誕生日月に送ってますね、親孝行みたいな」
ベトナムの人の夫婦。
母国で1人で暮らすお父さんに毎月7万円仕送りをしています。
でも、最近は新型コロナウイルスの影響で大変みたいです。
【ベトナム人夫婦】
「めっちゃ大変ですね、経済も影響が大きいですね。(父は)エンジニアです。(給料は)だいたい7万円ぐらい減っている。ちょっと困る時は、助け合いで、少しでも気持ちで送ってあげる」
海外送金所を訪れるのは外国人だけじゃありません。
この日、初めて訪れたという日本人男性。
なんのための送金でしょうか?
【日本人男性】
「ネパールのポカラというところでボランティア活動してまして、きょうはスタッフにお金を送ります」
レントゲン技師の仕事の傍ら、ネパールの子供たちの学習支援などをしているという男性。
きっかけは30代の頃にネパールを訪れたことでした。
【日本人男性】
「女の子が荷物を後ろにしょっていたんですよ、薪とかをしょって…昼間の11時ぐらいだった。子供やったら学校行く時間ですよね。これは子供の支援をしないといけないということで、日本に帰ってきてから有志を集めてやろうと」
以来30年以上、毎年ネパールに足を運んできましたが、去年はコロナの影響で子供たちに会えませんでした。
【日本人男性】
「今までは私が行くとき、(お金を)持って行ってたんですけど。32年で切れたんですよね、連続記録が…。もう腹立ちますね。コロナのことだけはどうしようもない」
■スタッフは全員外国人 送金だけでなく『人生相談』に訪れる外国人も
送金所の『KYODAI Remittance』という名前は日本語の「兄弟」からきています。
対応するスタッフは全員外国人。
同郷のよしみで、人生相談が始まることもあります。
専門学校でホテルの接客について学んでいるネパール人留学生。
3月に卒業を控えていますが、ホテル業界の求人が減って、なかなか就職先が見つからなかったため、同じネパール出身の店長を頼って来ました。
【ネパール出身 ナレンドラ・バスネット店長】
「留学生の場合はビザがないと、もちろん日本にいる権利がなくなるから」
「やっぱり(本国に)帰らないといけない、結構大変です。」
【ネパール人 男性】
「就職はなかなか出来ないから、もう(1度)学校とか行ったほうがいいと言われました…」
まだ先は見えないけど、少し気持ちが楽になったようです。
■コロナで会えなくても”母国で待つ家族のため” 15人の大家族を支える女性
続いてやってきたのは、フィリピン人のマリキタさん。
【フィリピン出身・山下 マリキタ デラヴェガさん】
「給料入るときすぐここ来ます、みんな待ってるから」
――Q:誰に送金したんですか?
「娘。家建てるから、新しいの家、だから助けてあげた」
マリキタさんは子供5人・孫10人の大家族のおばあちゃんです。
【フィリピン出身・山下 マリキタ デラヴェガさん】
「やっぱり子供たくさんが宝物です、家族は大きい」
平均月収4万円のフィリピン。
マリキタさんが毎月家族に送る3万5000円は大金です。
フィリピンで前の夫と別れたあと、仕事を求めて40年前に来日したマリキタさん。
日本人の男性と再婚しましたが、3年後にがんで亡くなってしまい、以来色んな仕事を転々としながら、1人で家族を支えてきました。
――Q:朝何時から働いてるんですか?
【フィリピン出身・山下 マリキタ デラヴェガさん】
「7時だけど、6時45分、ここはじまったから、ギリギリ嫌いから。すごいみんな優しいです。店長も優しい、みんなも、だからストレスないです、だからここの仕事大好き」
毎年必ず会っていたという家族にはコロナで1年以上会えていません。
【フィリピン出身・山下 マリキタ デラヴェガさん】
「家族にみんな会いたい、さみしいから、家族会いた過ぎる、会えないでしょ」
マリキタさんを支える、家族とのビデオ電話。
【フィリピン出身・山下 マリキタ デラヴェガさん】
「もし例えば膝悪くなったとか、病気なったとか、自分の国に帰ると思います。いつまでかは分からないですけど、できればまた働きたい」
遠く離れていても、待ってくれている人がいる。
それだけでちょっと強くなれます。
この日もぞくぞくとミナミの送金所にやってくる外国人たち…
【フィリピン人女性 来日38年目】
「生活助けなあかん、今コロナやからな、助けなあかん、ボランティア、お母さんボランティアや、向こうは仕事ないからな、日本はまだマシや」
【インドネシア人技能実習生 来日2年目】
「インドネシアは今でも大変ですね、コロナの時は、感謝してますって、あなたが今日本働いててよかったって」
こんな時だからこそ、変わらず届けたい。
ここには大切な人への愛があふれていました。
(カンテレ「報道ランナー」2/3放送)