2021年も始まった、バレンタイン商戦!
髙島屋大阪店には、おやつ感覚で、家族みんなで食べられるチョコレートが数多く並び…
あべのハルカス近鉄本店には、SNSで自慢したくなるような「オンライン映え」を狙ったチョコがずらり。
各社とも、新型コロナウイルスの影響で増えた「おうち時間」を意識したラインナップです。
そんな中、国内最大級のイベントで、例年約25億円を売り上げる阪急うめだ本店のテーマは…
――チョコレートで旅する
【阪急うめだ本店・高見さゆりさん】
「日本国内の移動もできない中で、このバレンタインという期間で、チョコレートを通して旅をしてほしい」
世界各国から3000種類のチョコを集め、旅行気分を味わってもらいたいということです。
阪急百貨店などを運営するH2Oリテイリングは、臨時休業などの影響で、2020年度の中間決算が101億円の赤字。
これ以上の経営悪化を避けるためにも、バレンタイン商戦は絶対に失敗できない戦いです。
去年の特設会場は、見渡す限り人、人、人…お互いの肩がぶつかりそうなほどの盛況ぶりでした。
2021年は、どのようにして「密」を避けるかが課題です。
■感染リスク下げつつ、どう人を呼ぶ…?百貨店の模索「チョコレートでラーメンも」
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「通路幅のレギュレーション(規則)って通常何メートル?」
【特設会場の担当者】
「通常…コロナ前?」
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「コロナ前」
【特設会場の担当者】
「コロナ前…その時その時ですね…決まってない」
メインとなる特設会場を任されたのが、バイヤーの岩本好史さん。
去年12月、売り場の打ち合わせで話し合ったのは、通路幅の拡大です。
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「レオニダスの(店の)ところ3,8メートルあるし…」
【特設会場の担当者】
「たぶん混雑するところをしっかり空けてくださっているので、大丈夫だと思います」
密を避けるため、通路幅は例年の2倍程度を確保しました。
幅を広くした分、会場に入りきらなくなった店舗は、1階から10階までのフロア全てに分散することで、出店数は2020年とほぼ同じ規模に。
しかし、大きな魅力の1つだった店舗ごとの試食は、禁止せざるを得ませんでした。
感染リスクを下げながら、どうやって人を呼び込むか。
岩本さんは、対策を徹底した上で、会場の一部に、カカオを使った料理のイートインコーナーをつくることにしました。
女性だけでなく、男性客をターゲットにするというのです。
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「どきどきしてますね、フレンチとのコラボがどんな感じなのか楽しみです」
2020月12月、フレンチレストランで行われた打ち合わせ。
岩本さんが目玉商品として準備してきたのは…なんとラーメンです。
大手グルメサイト、ぐるなびの仲介でタッグを組むことになった大阪のラーメン店が、カカオを練りこんだ特製の麺を提供。
フレンチレストラン自家製の、野菜などを泡状にした「エスプーマ」を絡めた、バレンタイン限定の商品です。
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「ふふっ。うまいっすねこれ。これでも、男性っていうより女性受けしますねこれ」
【人類みな麺類・松村貴大さん】
「チョコレートの味してくる。なんかよく噛むと、ほのかにプツンプツンって(カカオが)現れてきますね」
全てが順調に進むかに見えた矢先、想定外の事態が…
■”緊急事態宣言”発令「手探りでやっていくしかない」…緊張のオープン初日は
1月13日、大阪府などに緊急事態宣言が発令され、プランの練り直しを余儀なくされたのです。
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「緊急事態宣言が出るってなったら、ぐっと入店客数が減ったりするんですね。我々はどれだけのことができるのかなっていうのは、手探りだけどもやっていかないといけないことだと思います」
――オープン前日の1月19日ーー
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「ここは冷蔵(庫)いるんか?」
【出店ブランド】
「いる」
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「カウンターじゃなくて冷蔵庫。分かった。それは何とかするわ」
岩本さんは、担当するブランドへの対応に追われていました。
緊急事態宣言を受け、有名シェフを招くイベントは全て中止としたほか、準備してきたイートインコーナーには、整理券を導入することにしました。
【出店ブランド】
「こうする形にしたいんですよ。(客に)1回こう並んでいただいてこうなるっていう」
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「でも、ごめん通路幅は絶対守ってもらわないといけないので」
「あそことここで(通路幅)4,5メートル開けてるのね。緊急事態宣言出てから。なので、その通路幅は一旦守ってほしい」
店の前に客を何列にも並ばせたいとの相談もありましたが、安心安全が第一という姿勢は譲れません。
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「いいよって言ってしまうと、他のブランドさんもそういうふうにされると、せっかく通路幅4,5メートルとってるのに、意味をなさなくなってしまうので、その辺はまた調節しながらやりたいと思います」
準備はオープン当日の1月20日まで続き…
開店直前になって、ようやく全フロアの売り場が完成。
通路幅も、各ブランドの協力を得て、無事、広げることができました。
例年ほどの目立った混雑はみられず、ラーメンも初日から完売するなど、上々な滑り出しを見せました。
【来場客】
「(人出は)多いのは多いですけど、(通路幅が)広いので、その分、分散はしてました」
「通路は広かったので、買い物はしやすかったです。毎年これくらいがいいなと思うくらい、快適ではありました」
会場に来ることができない人のために、オンラインストアにも力を入れています。
例年より1か月早く販売を開始し、SNSで商品紹介の動画をアップ。
すでに売り上げが2020年の2倍程度になっているということです。
【阪急うめだ本店バイヤー・岩本好史さん】
「バレンタイン博覧会始まって阪急行ったけれども、通路も広くて気持ちよく買い物できたっていう(SNSの)投稿は見ました。そういうのを見るなとやってよかったなと思います」
「これが受け入れられるのであれば、これを進化させていくのが我々の仕事じゃないかなとは思います」
正解が見えない中での、百貨店のイベント運営。
これからも、新たな形の模索は続きます。
(カンテレ「報道ランナー」1/25放送)