時短要請に応じている大阪市の居酒屋を、緊急事態宣言が発令された1月13日と、翌14日の2日間にわたって密着取材。
経営者が複雑な思いを抱える現実を追いました。
■売り上げ低下の中…さらに”時短” 試行錯誤を繰り返す居酒屋
大阪府などに緊急事態宣言が発令された1月13日。
【種よし・田島みゆきさん】
「元気よく!コロナに打ち勝って、頑張ってね!元気よくね!」
厄除けの火打ち石で客を励ましたのは、大阪市天王寺区にある居酒屋「種よし」の女将、田島みゆきさんです。
2020年12月16日からの時短要請に従って営業していて、席の数を10席ほどに制限するなどの対策をしています。
【種よし・田島みゆきさん】
「お久しぶり!緊急事態宣言出されるのに来た!名古屋から」
種よしでは、新たに『昼飲みの営業』を始めて立て直しを図っていますが…
【種よし・田島みゆきさん】
「夕方4時5時、そこら辺までは、まるっきりポツン1人ポツン2人ポツン1人、みんな金額安いから売り上げあまり伸びない」
一時は満席になりましたが、いつもなら20万円ほどあった1日の売り上げは、約5万円でした。
緊急事態宣言が発令されると、酒類の提供は午後7時まで。
さらなる売り上げの低下が想されます。
【客】
「仕事的に7時で終わるような仕事なんで、たぶんもう外で飲みにいくことはしばらくできない」
【種よし・田島みゆきさん】
「不安な気持ちもありますけど、ずっと心配ばっかりしてたら、マイナス効果が表れるから、それは考えないように決めました」
――”緊急事態宣言”発令の翌日――(1月14日)
【種よし・田島英治さん】
「おはようございます」
朝早く、田島さんの夫・英治さんが大きな鍋を持って店にきました。
――Q:これは何ですか?
【種よし・田島英治さん】
「カレー」
昼間の客足を伸ばそうと試行錯誤しています。
【種よし・田島英治さん】
「緊急事態宣言が出てる間、日替わりで、いろんなことやって、喜んでもらおうかなと思ってます」
午後2時ごろ、お客さんが入り始めましたが…
【客】
「レモンチューハイ!」
頼むのは、お酒やおつまみばかり。
カレーはなかなか注文が入りません。
【種よし・田島みゆきさん】
「昼間は食べ物で、4時以降は飲み物でってしようと思ったら、飲んでますね…困りましたね」
午後5時を過ぎると再び客が増え始め…
午後6時ごろには、サラリーマンから学生まで、幅広い層の客が訪れ、満席になりました。
【種よし・田島みゆきさん】
「あんまり大きい声であれするから、ちょっと(声を落とすよう)話しても、身内だから大丈夫だよって、くっついて、心配だね」
【客】
「みんな生きていかないといけないわけやから。(営業するのは)いいと思いますよ」
【種よし・田島みゆきさん】
「でも責任重大よ。感染したら困るから」
【客】
「でもそれはお客さんの責任でもあるから。オーナーだけの責任ちゃう」
店は酒類の提供を終える午後7時に合わせて閉店。
売り上げは、約4万4000円と、前日を少し下回りました。
下がり続ける売り上げの中、田島さんは営業を続けると決めています。
【種よし・田島みゆきさん】
「感染広がること考えたら閉めざるを得ないんで、でも、家でずっと店閉めて休むことはできないんですね。家賃もあるし、(従業員の)給料もあるし」
「私も従業員もみんな、お互い生活ができたらいいなと思ってます」