まだ食べられる食品や、傷がついたり売れ残った商品を捨てたりすることで生まれる廃棄ロス。
「食品ロス」だけを見てみても、日本では年間612万トン発生していて、これは国民全員が毎日お茶碗1杯分のごはんを捨てている計算になります。
実は今、この廃棄ロスをなくそうと、ビジネスとして取り組む企業が増えているんです!
【アウトレット店 店長】
「当店のコンセプトというのが『もったいない』。売り上げも順調に伸びています」
【ネット販売サイトの運営会社 代表】
「8月から2億数千万累計売れていますね」
さらに回転寿司チェーンの大手も!
【薄田ジュリアキャスター】
「大量にぐるぐる回ってますよ」
【くら寿司 天然魚バイヤー 大濱喬王さん】
「非常においしい魚に変化しました」
廃棄予定のモノを使って、“海の厄介者”がおいしいお寿司に変身?
財布にも環境にも優しい「廃棄ロス」削減とビジネスの最前線に迫ります!
【薄田キャスター】
「大阪市平野区のアウトレット店にやってきました。値段を見て驚いたんですけど、こちら。季節関係なく使えるオムツ。メーカーの価格から半額の800円で販売されてるんです。他にもこれから寒くなって必要になるカイロ。これも通常価格から半額の398円なんです」
今年8月、大阪に初出店したこちらのお店。
日用品や家電、家具、食品など10万点を超える商品をすべて流通価格の半額以下で販売しています。
【薄田キャスター】
「なんでここまで安く販売できる?」
【222平野店 堀店長】
「実は当店の商品は全てワケアリ商品なんですよ」
目を付けたのは、“ワケあり商品”。
中身に問題がなくても箱が破れていたり、デザインが古くなったりしたという理由で売れにくくなったモノを、メーカーから安く仕入れていると言います。
【薄田キャスター】
「お米も?」
【堀店長】
「半額で」
【薄田キャスター】
「どういったワケありなんですか?」
【堀店長】
「こちらに関しては精米日、9月11日。スーパーさんとかですと、一定の精米日を過ぎますと、お店ではもう販売しないと。そういったものを当店が買い付けてお安く販売させていただいてます」
食品ロスが生まれやすい飲食店では、利用者にとってもお得な取り組みが広がっています。
「食べて」と食べ手をつなぐ!安くておいしいサービス
【薄田キャスター】
「大阪府で検索すると、211店舗ヒットしました」
飲食店と利用者を繋げるフードシェアリングサービス「TABETE(食べて)」
商品が売れ残り、廃棄ロスが出そうになった際、飲食店は「TABETE」を通して通常よりも、約2割から7割引で販売します。
商品の画面には“レスキュー待ち”の文字が・・・
【薄田キャスター】
「あ、パンの詰め合わせ残り3個。1000円相当のものが680円。これだけ入ってこの価格は、かなりお得ですね!レスキューしました!」
利用者は、アプリを通じて注文し、指定の時間に商品を店に取りに行きます。
【薄田キャスター】
「こんばんは〜。レスキューチケット」
【ベーカリーファクトリー江坂店スタッフ】
「お待ちしておりました。ご用意いたしますね」
クレジット決済なので、お店では商品を受け取るだけでオッケーです。
【薄田キャスター】
「これだけのパンを簡単操作で、楽チンに購入できていいですね。「TABETE」のサービスに参加されたのは、なぜなんでしょうか?」
【ベーカリーファクトリー江坂店 山下和代さん】
「出品する個数も決めれますし、その日の残り具合で、詰め合わせも選ぶことができますので、フードロス削減としてすごく最適だと感じて、賛同しております」
利用者は安く買えるうえ、飲食店にとっても商品を捨てずに、利益を生み出すまさに双方がお得な取り組み。
2017年のサービス開始以来評判は広がり、現在利用者約32万8000人、1432店舗が登録しています。
【TABETEを運営するコークッキング 川越一磨 代表取締役】
「少しずつ生活者側にも浸透してきてるのかなという印象ですね。まだ救える食品というのはまだ大量にありますので、これからもそのスピードはどんどん上げていきたいなという風には思ってます」
大阪の中小企業も「買って応援、食べて応援」をテーマに今年5月から、食品ロス削減のために新規事業を開始。
新型コロナウイルスの影響で困窮する事業者や生産者などの商品をインターネット上で販売しています。
【薄田キャスター】
「流通してるお金としてはどれぐらい?」
【WakeAIを運営するインシンク 慎 祥允 代表取締役】
「そうですね、8月から2億数千万累計売れてますね」
【薄田キャスター】
「このサイトを介してそれだけのお金が動いてるんですか?」
【慎代表】
「そうですね。例えばですけども、このシャインマスカットの会社はシャインマスカットを出されて、2日間で1300万円ぐらい売れたとかですね」
【薄田キャスター】
「へ〜!!想像もしてなかったかもしれないですね。出店者さんも」
【慎代表】
「そこまで売れるとは思ってなかったかもしれないですけども」
出品した農園では、マスカット狩りをする観光客が激減。
廃棄せざるを得なかったモノを定価の3割引で販売するとすぐに完売したのです。
【慎代表】
「僕も自分でこういった形で小さい会社を運営してるので、そのしんどさがすごくわかるんですよね。手助けできることはないか?という風に感じて、それこそもうコロナがなければ生まれてこなかったサービスっていうような形になりますね」
さらに回転寿司チェーン大手の「くら寿司」では、廃棄予定のモノを使って、新商品を開発していました!
“海の厄介者”がお寿司に変身?秘訣は廃棄予定のキャベツ
【薄田キャスター】
「和歌山県の和歌浦漁港に来ています。いま船で向かっている先でも廃棄ロスを減らす取り組みが
行われているそうなんです」
くら寿司では今年9月から、ある魚に目を付け養殖を始めたと言います。それが…。
【薄田キャスター】
「お。たくさん泳いでますね、ここ。何の魚ですか?」
【くら寿司 天然魚バイヤー 大濱喬王さん】
「これニザダイっていう魚で、こちらの方で飼わしていただいてます」
【薄田キャスター】
「ニザダイ?」
西日本でよく獲れるというニザダイ。
海藻を食べ尽くしてしまうため“海の厄介者”として扱われ、独特の臭みもあり、これまで商品にするのは難しいと言われていました。
【薄田キャスター】
「なぜ大濱さんはニザダイに手をほどこしたんですか?」
【大濱さん】
「歯ごたえがいいとか、そういった部分が魚の身質的には非常に優秀だったんです。難点はその臭みの部分だけだっていうのはわかっていましたので、それさえ解決できれば、非常にお客様喜んでいただける商品になるなっていうのを思っていてですね。それでずっとニザダイを5年間追っかけてしまいました(笑)」
せっかくの海の恵みを生かす方法はないのか…。
そこで、海藻の代わりに廃棄予定のキャベツを餌として与えたところ、驚きの変化が生まれたと言います。
【大濱さん】
「魚の臭みっていうのがとれたのかなっていうのが今の感覚的なとこなんですけども、結果です」
食物繊維が豊富なキャベツを与えることで独特のにおいが薄まることが判明。
臭みの元となる体内の海藻が排出されたからだと見られています。
【薄田キャスター】
「便通よくなる感じ」
【大濱さん】
「そうなんです!非常においしい魚に変化しました」
11月、期間限定で一皿100円のお手頃な寿司ネタとして試験販売を実施。
すると300キロ分のニザダイが一週間で完売するほど好評だったそうです。
今後は生産体制を整え、定番商品としての販売を目指しています。
【大濱さん】
「漁師さんも今までやはりそういった魚なので、とれてもお金に変わらなかったものが、当社が買い受けることができれば、漁師さんの収入にもなりますので、非常にいい取り組みかなと思っています」